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54お父さん虎魔獣

「えと、ぼくハルト」


「知っている」


 あっ、そうなの? じゃあ次は、僕が名前教えてもらおう。


「おなまえなぁに?」


「お前に名乗る名前などない。さっさと要件を言え。その内容によっては、この場で痛めつけてやる」


 は?何でいきなり痛めつけるとか言ってくるの。あれかなやっぱりマロンが言ってたみたいに、本当に人間が嫌いってこと? もうそれ絶対あの黒服達のせいじゃん。


 威嚇してくるお父さんにオニキスも威嚇し返します。そんなオニキスをなでなでしながら、もう1回仕切り直し。最初が肝心なのにもう躓いてるし。


「くびわくるちい?くびわダメ。みんなくびわダメ」


「だからどうした。お前には関係なかろう。いや、お前も首輪を付けられたな? 我に外せと言っているのか? それともその方法が知りたいと。そんなものは知らん。話がそれだけならば、大人しく座っていろ」


 お父さんがデンっとドアの前に立ち直ります。絶対部屋から出さない、変なことしたら殺すぞって感じ。しかももう話は終わったって感じまで出してます。

 ちょっとちょっと何勝手に話終わりにしてるの。どれだけせっかちなのさ。僕ほとんど話そうとしたこと話せてないんだけど。


「ぼくたちとマロン、マロンのかじょく、みんなでくびわはじゅして、あのわるいやちゅからにげる? みんなくるちいのダメ。マロンしゃみちしょうだった。ぼくマロンしゃみちのやだ。マロンみたいに、オニキスたちしゃみちいのもダメ」


 僕がマロンの名前を出したら、お父さんが乗り出してきて唸ってもっと威嚇してきたよ。ふお?! 怖い! 僕はサッてオニキスのしっぽに隠れます。


「人間如きが、俺の息子の名前を口にするなど。それに言っただろう。首輪の外し方など知らないと」


 そう言って、また元の姿勢に戻りました。僕ちょっとだけ思ったこと。このお父さん勝手に話終わらせすぎじゃない?何かイライラしてきちゃったよ。僕この首輪外せるんだよ。まあ、絶対とは言わないけどさ。

 人間が嫌いなのは分かるよ。だってマロンのことで脅されて、首輪付けられて苦しめられたら、憎くなるに決まってるもん。でもさぁ。


「おはなちきいて!」


「だから話すことなど…」


 よし!ここはちょっと僕が話を聞かないお父さんにお仕置き。僕はフウとライ、ブレイブとアーサーに内緒話です。


「うん分かった。ボク得意!」


「オレも!」


「「キュキュイ!」」


 みんながお父さんに突進します。お父さんは突進したみんなを吹き飛ばそうとしました。ふん! 狭いこの部屋の中ならフウ達の方が小回りきくもんね。でもちょっとだけ心配だからみんなにオニキスに結界張ってもらいました。


 フウとライが上手く攻撃避けながらお父さんの両耳を引っ張って、大きな声でワァワァ騒ぎます。ブレイブとアーサーはしっぽに噛み付いてブランブラン離れません。なんとかみんなを振り払おうとするお父さん。

 強い風魔法使ってみんなを離すけど、すぐにみんながまた突進します。


「ええい! うるさい! 本当に始末してしまうぞ!!」


「始末だって。ライもっとやっちゃおう!」


「おう!」


 あ~あ。2人が耳の中の方にまで入って行っちゃったよ。オニキスが嫌そうな顔してます。前にオニキスもやられた事あるんだ。僕はないけど、あれ、とってもうるさいし、そのあと頭がガンガンするんだって。


「うるさいぞ!! おい人間何とかしないか!!」


 お父さんが何とか2人出そうとしてゴロゴロしちゃってる。よし、ここからはまた僕の番。


「おはなちきいてくりぇりゅ?しょちたら、しじゅかにしゅるよ」


「分かった! 分かったから早く止めさせろ!!」


 よし勝った! 僕の所にみんなが戻ってきます。お父さんが怒った顔で威嚇しようとしてすぐに止めました。フウ達がまた突撃の格好したからね。しゅんってするお父さん。頭がガンガンするってボソって言ってます。


「ハルト。ここからは俺が話す。その方が早い。いつ奴らが来るか分からないからな」


 しゅんとして不貞寝をしてるお父さんにオニキスが話をしました。確かに僕だと時間がかかっちゃうからね。


 オニキスの話を最初は嫌々そうに聞いてたお父さん。相槌も、聞き返すこともしなかったけど、首輪の話をしたときピクッて耳が動いたの、僕ちゃんと見てたんだからね。それでもすぐに反対側向いて不貞寝し始めたけど。


 う~ん。やっぱり信じてもらうのはちょっと無理があるかなぁ。もし僕がお父さんだったら、突然首輪が外せるって言っても信じないかも。どうしようかな。ここは僕が首輪外すところ見せた方がいいんじゃ。ちょっとオニキス達と相談です。


 オニキスに僕の首輪外しても大丈夫か聞いたら、多分なって。こればっかりはこの首輪をつけた人間がどこまで強い魔力を流したかによるみたい。ちょい魔力を流せば流すほど、いろいろできることが多くなるんだって。例えば、首輪に触っただけでビリビリするとか。って言う話をオニキスとロイがしてました。質問したの僕なのに、僕には分からないだろうってロイがオニキスに説明したの。

 あの黒服がどのくらいの魔力を流したか分からないけど、もし強い魔力を流してて、首輪外したのが分かるようになってたら、すぐにここに来られちゃう。


 どうしようか考えてたら、のそのそお父さんが僕達の方に歩いて来ました。


「首輪は外しても、奴にはバレんぞ。奴が首輪に流す魔力はいつも一定だ」


「なぜそれが分かる? 首輪を外したことのないお前が」


「………奴らは今、いつもの話し合いに行っている。しばらくは帰ってこないだろう。今のうちにここでの話をしてやる。どうもお前達の話は本当のようだからな。本気で首輪を外そうとしている。それにその小さな人間はとても暖かく、マロンの言った通り、日向ぼっこをしているようだ。そのような人間が、悪い人間とは思えん」


 お父さんは僕の隣に座って寄りかかってきました。何? 急にどうしたの?


「近くにいると気持ちがいいからな」


 ちょっと、もし僕が敵だったらどうするの? もうまったく…。はぁ、まあ良いか。何か今は力が入ってない感じ。マロンのこととか、黒服に手伝わされてる仕事とか、きっと疲れてるんだろうな。そんな感じがしたんだ。僕が体なでなでしてあげたら、ゴロゴロ喉鳴らしてました。オニキスが何か言おうとしたけど、僕がオニキス見たら黙っててくれたよ。フウ達もね。ロイはハラハラしてたみたいだけど。


 ここに来たのは最近。それまではどこかの森にやっぱりこういう家があって、そこを出入りしてたって。もちろんサーカスでいろいろな街を移動しながらね。サーカスは普通に足で移動して、こういう家に行く時はあの黒服の闇魔法で移動してたみたい。因みにお父さん達が捕まった時には、もう団長達がいたんだって。

 ちょっと聞いただけでも、あの黒服の仲間がけっこういるみたいでした。出入りしてる人数が多いって。同じ人間ではないのかってオニキスが聞いたら、みんな魔力の感覚が違ったから別人だって。黒服達ってどれくらいの規模の組織なんだろう?


 街をサーカスで移動しながら、街で僕みたいに人間をつかまえて、その魔獣を奪ったり、反抗する人間は団長や黒服、黒服の仲間が殺してたって。うん。この話は聞かなかったことにしよう。無理やり従わせてる魔獣や精霊がたくさんいるんだって。


 ここに来たのはある生き物を捕まえるためでした。それでその生き物を捕まえに行ったときいろいろあったみたい。

 話を聞いていくうちに、まさかの名前が出てきたんだけど。男の憧れ? いや、女の子も憧れるのかな? あのね、ドラゴンっていう単語が出てきたんだけど。

 もしかしてこの世界ってドラゴンがいるの?

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― 新着の感想 ―
[一言] お疲れ様ですm(*_ _)m ようやく話聞いてくれたε-(´∀`;)ホッ ようやく話が繋がってきた? あれ?でも、ドラゴンばれてたっけ? 違う子?
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