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50ここは何処?何が起きてるの?

「うゆ…」


 目がしょぼしょぼ。目を擦って周りを確認します。


「起きたかハルト」


「ハルト大丈夫?!フウとっても心配したんだよ」


「俺も心配したぞ!」


「「キュキューイ」」


「ハリュトー!!」


「ハルト様良かった。気がついたのですね」


 何々?僕起きたばっかりでよく分かんないんだけど。ていうかここどこ?何かとっても小さい部屋に僕達いるけど。何でこんな所にいるの?


「ハルト、何があったか覚えているか?」


 オニキスにそう言われて、何となく重たい感じのする頭を働かせます。確か僕みんなと一緒にサーカス見てて。最終日で前よりも迫力のある演技たくさん見たよね。それで最後のフィナーレ見て感動してたら、そしたら…。

 そうだ!突然大きな虎魔獣が暴れたんだった。それでお父さん達が虎魔獣からお客さん守りに行って。僕達はお母さん達と避難したんだよね。あとは…。何だっけ?


「そのあと、柱が倒れてきて他の出口に向かっただろう?」


 あっ、そうそう。柱のせいでお兄ちゃん達と別れちゃって、お母さんは別の魔獣が襲ってきたからその魔獣と戦ってて。そうだ、僕達も虎魔獣に襲われたんだ。オニキスが上手く避けてくれてたけど僕落ちちゃって。ん?その後どうしたっけ?


「そこからは流石に記憶が曖昧か。ハルト、ハルトは小さい虎魔獣に洋服咥えられて、連れて行かれたんだ。テントの上まで行ったときハルトは気を失った」


 オニキスはここに来るまでのこと、詳しく話してくれたよ。僕が気を失ってるときにいろいろあったんだね。でも追いかけてきてくれてありがとう。


「ここどこ?いえ、とおい?」


「どうだろうな。俺はあの森から出たことがなかったからな。しかし話だけは聞いたことがある」


 ここはうちからとっても遠く離れた、火山地帯じゃないかって。魔獣もあまり近づかない、いつもどこかで噴火が起こる危険な場所。ここに住んでいる魔獣は、よっぽどのバカか、火や暑さに強い魔獣だけだって。何で森から出たことがないオニキスが、そんな情報知ってるのかと思ったら、何か昔々に、あの森にここから来たっぽい魔獣が話してくれたんだって。


「オニキスが言っている場所と、私が知っている場所が一緒かは分かりませんが、私も地図で見たことがあります。今まで人はほとんど、いや絶対に近づかない、とても危険な火山地域があります」


 火山地域。へえ、そんな所があるんだ。でもそんなに危険な場所なら、僕達こんな所にいたら暑さで倒れちゃうんじゃ。


「しゅこちだけ、あちゅい」


「俺が魔法を使っているからだ。それから奴らに渡された氷の魔力石をロイが使って、なんとかここまで涼しくしたんだ。あいつ等も俺達を殺すつもりはないらしい」


 そういえばあいつ等って、僕達をここに連れてきたのは、あの虎魔獣を従えてたあの女の人?だって命令できるのはあの人だけでしょう?オニキスにそう聞いたらちょっとだけあってるって。

 何と、僕をここまで連れてきたのはあの女の人と、サーカスの団長さん、それからスノーと出会ったときにお父さん達の前に現れた、あの闇魔法を使う男の人だったって。何で団長さんと黒服が一緒に?それにどうして僕なんか。もしかしてまたスノーを狙ってきたの?


 僕がウンウン考えてたら、近づいてくる足音が。オニキスとロイが僕の前に立ちます。僕はスノー達をギュって抱きしめて、フウとライは僕の肩に乗りました。


「いいかハルト。今からあの黒服が来るはずだ。だが絶対逆らうな。俺に任せておけ。絶対だぞ」


 強く言ってくるオニキス。何か様子が変。分かったよ僕静かにしてる。そういえばなんか首に違和感が…。首に触ろうとしたときドアが開きました。入って来たのは団長と全身黒の洋服を着た男の人でした。


「ようやく目が覚めたか」


 団長さんが声をかけて来ます。今までの優しそうな団長さんの笑顔じゃないの。何か嫌だって感じの笑い顔。


「話はしたか?」


「今目が覚めたばかりだ」


 団長さんの質問にオニキスが答えます。


「ふん。早く説明して言うことを聞かせろ。出なければ…。アブラム様」


 黒服が手を上げました。


「止めろ!これから説明するんだ!!お前達がいてはハルトが怖がって話が出来ない!」


「………早く話をしろ。いいな。お前の主人の命は私が握っているのだからな。それに話がつくまでは食事はなしだ」


 黒服が何か物騒なこと言って団長と一緒に部屋を出て行きました。

 部屋から2人が出て行って、また僕達だけになりました。オニキスが僕の隣に座って顔をスリスリしてくれます。


「ハルト、そっと首を触ってみろ」


 言われた通りそっと首を触ります。何か首に付いてる…、これって!!僕はバッてオニキスを見ました。オニキスはうなずいてすぐに手を離すように言ってきます。これってあの首輪?どうして僕首輪つけられてるの。早く外さなきゃ。僕が首輪を外そうと魔力を貯めようとしたんだけど、オニキスがそれを止めます。何で?奴隷の首輪だよ。僕そんなのつけてたくないよ。


「ハルト。外さないのには理由がある。俺の言うことを良く聞くんだぞ。と、その前にブレイブ、アーサー、スノー、頼んだぞ」


「うん!!」


「「キュキュイ!!」」


 3匹揃ってドアの前まで行って何かおしゃべり始めました。それからオニキスがフウとライ見て頷きます。2人は僕とオニキスとロイの周りを飛びまわって、キラキラした粉を撒いてます。さらさらさら。撒き終わったフウがサッて僕の所に戻って来ました。とっても不思議な粉なんだ。落ちたら舞い上がり落ちたら舞い上がりを繰り返して、いつの間にか僕達を包むようにドームを作ります。上が閉まりそうになったとき、


「これで大丈夫だよ。よかったねこの粉持ってて。フウのおかげだよ。ボク一生懸命集めたもん。」


「あ~、ズルイぞ!俺だって集めてたんだからな!」


 ドームの外にいるライが怒ったところで上の部分が閉まりました。この粉、魔力を使わないのに結界が張れる、妖精にしか使えないとっても珍しい粉なんだって。粉は花の花粉なんだけど、その花が咲くのは100年に1度あるかないかぐらいで、さらに咲いた姿を見られるなんて奇跡に近いらしいよ。

 

 それが何と僕達がいた森に咲いたんだって。しかも1本や2本じゃなくて何百本と。朝僕が寝てる間にフウ達が見つけてオニキスに報告して、オニキスが集めておくように言ったんだって。2人とも全部の花粉集めて少しだけ自分達で持ってて、残りはあの花の入れ物にいれておいたみたい。

 その入れ物は森を出るときオニキス達お父さんに頼んで、お父さんの鞄に入れてもらって、今僕の部屋に隠してあるみたい。とっても珍しい物だからね。

 

「もし俺が魔法が使えない状況でも、これなら結界を張れるからな。やはり集めて持っていて正解だった」


 いろいろお話するのに、外に居る見張りにお話聞かれちゃうのはまずいし、声を聞かせないようにオニキスが魔法で結界を張ると、すぐにあの黒服達が来ちゃうし。この粉はちょうど良いって。

 声が外に聞こえない。強度がある。フウとライは出入り自由。しかも何とこの粉、何回か使い回しができるんだって。良いこと尽くめの結界です。

 もし足音が聞こえたら、外に居るライがフウを呼んで、2人でいっきに粉を片付けます。花から粉を取るのは時間かかるけど、粉だけならすぐに片付けられるんだって。


 安心して話を始めます。僕が寝てる間にオニキス達と団長さん達が話してたことを、分かりやすいように教えてくれました。

 団長さん達の狙いはロイを除いた僕達全員。スノーは伝説の魔獣だからね。ずっと狙ってたみたい。闇に隠れてずっと僕達のこと監視してたんだ。それでね僕がオニキス達連れて歩いてたでしょう?街の人達はお父さんがオニキスと契約してると思ってるけど、あの黒服は何でだか僕がみんなと契約してるって気付いたみたい。


「お前達と契約できる程の魔力の持ち主だ。俺たちの役に立ってもらう。言うことを聞かなければ首輪で従わせるだけだ」


 って言われたみたい。なら尚更早く首輪外さなきゃ。


「ダメだ。ここを逃げ出して家に帰る方法がまだ考えられない。今は大人しく言うことを聞くフリをして、チャンスを待つんだ。それに、ロイにハルトのことを説明しなければ。急に外してみろ。驚くだろう?」


 あっ、そうだ。ロイに僕のことあんまり説明してないんだった。黒服のせいで僕がかなり魔力を持っているのはバレちゃったけど、首輪外せるくらい魔力持ってるなんて知らないもんね。


「ロイ、これから話すことはこんな状態でなきゃ話さないことだ。俺はあんまり気が乗らないがしょうがない。これからの作戦を考える上で必要だからだ」


 ロイが真剣な顔つきで頷きました。


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