48大事件発生!!
さぁ、今日はサーカス講演の最終日。広場での催し物も今日で最後。明日は朝から片付けで、お昼過ぎにサヨナラのパレードしてそのまま帰って行くんだって。次にこれぐらい大きなイベントがあるのはいつになるか分からないみたい。こういうサーカスはみんな自由にいろいろな街を行ったり来たりするから、もしかすると違う人達がすぐに来るかも知れないし、長い間来ないかも知れないし。僕は早く来て欲しいな。だって楽しかったもん。
朝早くから広場に遊びに行きます。今日はバッチリ目が覚めてるよ。お父さんお母さんお兄ちゃんみんなで朝ご飯を広場で食べました。それからゲームしてお店まわって、いろいろな物ゲット。お菓子やおもちゃ。1番凄かったのはグレンがゲームで取ってくれた大きなクッション。僕なんかベッドに出来ちゃうくらい大きいの。僕お昼寝はオニキスに寝転んでるんだけど、オニキスは何も敷いてないからね。これはオニキスに使ってもらおう。荷物が多くなっちゃって、1度グレンが家に置きに行ってくれました。
グレンが戻って来てお昼も広場で食べて、おやつ食べてから僕はお父さんに抱っこしてもらってお昼寝。朝早かったからね。眠くなっちゃって。目が覚めたらもうすぐサーカステントに入場する時間でした。夕ご飯はサーカスが終わってからまた広場で食べるよ。
入り口でチケットを見せて中に入ります。今日は入り口に団長さんが立ってて、テントに入る人達に声かけてました。
「今日で最終日ですが、最後までお楽しみ下さい」
って感じ。僕達の入る順番が来て、最初にお父さんがチケット見せました。次に僕がチケット見せたんだけど。
「坊ちゃん楽しんでいって下さいね。今日は特別な公演があるんです」
「ふわぁ、たのちみ!!」
「ええ、私も楽しみです。いろいろな意味で」
ん?何か変。団長さんいつもの笑顔だけど、何かが違う気がする。うーん何だろう?一瞬考え込んでた僕。団長さんの声でハッとしました。
「坊ちゃん?」
「ふぉ?!だんちょしゃん、がんばる!」
慌てて前で待っててくれてるお父さんの所に行きました。は、恥ずかしい。
席について周りを見てみたら、僕が最初に見に来た時よりも人が多い気がしました。この前も満員だった気がするんだけど…。聞いてみたら最終日は席の数を増やすんだって。テントに入るだけイス入れるみたい。だからこの前より人が多いらしいです。最前列の方なんてぎゅうぎゅうな気が…。
お菓子とジュース買ってもらって開演まで待ちます。今日は開演まで小さな魔獣がお客さんの周りを歩き回ってました。みんな可愛い洋服着て、お客さんを盛り上げてくれてるの。僕達のところにも来てくれたよ。
僕達の所に最後に来てくれたのは、この前的当てのショーを見せてくれた、1番小さい虎みたいな魔獣でした。僕の前でお座りしてくれたの。
「あの、しゃわってもいい?」
「ええ良いわよ」
この前虎のショーやってた女の人が一緒に居たから、許可もらって虎の魔獣に触らせて貰いました。
「かわいい」
虎が僕の手をペロペロ舐めてくれました。
「ルーリーって名前なのよ。よろしくねハルト様」
ん?何で僕の名前知ってるのかな?領主の子供だからかな。まぁいっか。ルーリーにバイバイします。
「ハルト様後でね」
ここでも何か変な感覚。団長さんの笑顔も女の人の言葉も、別に普通なのに何かおかしい気がするんだ。気のせいだよね?そう思いながらもう1回お菓子食べる僕。
僕の隣でオニキス達はサーカスを研究するんだってすでに準備万端。まだ始まらないのにね。でもその格好がとっても可愛いの。オニキスは犬がご飯待たされてる時の何とも言えないお預け食らってる時みたい。フウとライは全然よそ見しないで、1つのクッキーを2人でもくもくと食べてます。ブレイブとアーサーは宙返りしたり、反復横跳びみたいな動きしたりして準備運動はバッチリ。
「まだ、はじまりゃない。じかんまだまだ」
「もしかしたら急に始まるかも知れないだろう」
「ねえ、このクッキー美味しいね。フウもう1枚食べたい」
「オレも!」
「キュイキュイ!」
「キュキュキュ!」
ブレイブとアーサーはすぐに動けるようにだって。出来そうな技とかあったらこの場で練習するみたい。みんないろいろ考えてるんだね。
そしていよいよサーカスが始まりました。もちろん最初は団長さんと羊の魔獣の火の輪潜り。この前よりもたくさんの火の輪が空中に現れて、その全てを魔獣が一気に駆け抜けました。凄い歓声です。僕もみんなも頭の上で思いっきり拍手です。
今日は最終日だから特別なのかな。みんなこの前よりも演技が派手なの。虎の的当ても魔法攻撃が激しくて、すごく見応えがありました。
あと、この前よりも演技の時間が長くなってました。空中ブランコとかも長く演技してくれたしね。
綱渡りは今日は逆立ちバージョンでした。これ観てたブレイブとアーサーがその場で逆立ちして真似します。オニキスも次はあれが出来たらいいなとか、フウとライは…。クッキーほっぺに詰め込みながらじっと観てました。
そんな楽しい時間ももう終わりです。最後のフィナーレで団員が全員真ん中のステージに集まって最後の演技です。最後の演技にみんなが思いっきり歓声と拍手を送ります。もちろん僕達もいっぱい拍手します。
そしてここで的当ての演技してた3匹の虎の魔獣の中で1番大きい虎が、客席に向かって炎の魔法を飛ばしてきました。もちろん結界のおかげでお客さんは無事。炎の魔法の威力にお客さんはとっても盛り上がります。虎は順番に客席をまわって、いよいよ僕達の所に。目の前で見る炎の魔法は本当に迫力があったよ。僕達の興奮も最高潮。
炎が消えて虎は次の場所に。凄かったぁ~。オニキス達も凄いけど、あの虎も凄い!
でも、大きな虎が次の場所に行った時に事件は起きました。
「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
「わあぁぁぁぁぁ!!」
突然の悲鳴に、悲鳴が聞こえた方を見ます。なんと結界が解けて、炎の魔法が観客を襲ったんだ。そしたらその結界が解けた所から、他の魔獣が入って来て暴れ出したの。何かパニックになっちゃって暴れてるみたい。お客さんみんなが慌てて逃げ出します。もうあっちへこっちへひっちゃかめっちゃか。すぐにお父さんが対処に動きました。
「いいか、ここから早く避難しろ。グレンは俺と一緒に。リスターとロイはパトリシアとフレッドとハルトを頼む」
1番たくさん魔獣がいる所にお父さん達が走って行きます。
「リスターにロイはハルトちゃんを守りながら1番先頭をいって。次はフレッド。最後は私が行きます。さあ、行くわよ」
みんなで階段を降り始めました。僕は早く降りられないし歩けないからオニキスに乗っかります。あちこちで観客席が壊れたり、魔法が飛び交ったりしてて、いつ怪我してもおかしくないぐらい。お父さん達も見えなくなっちゃった。オニキスは気配が分かるから無事か確認してもらったら、まだ全然元気だって。良かった。
階段を1番下まで降りてきて、どっちに避難するかお母さん達が話してる時でした。僕達の所にどっかから何個か石が飛んできました。何か紫と黒が混ざったような色してる石。それ見たオニキスが不思議そうな顔しました。
「これは…、魔力封じの石じゃぁ」
魔力封じの石?そんな石もあるんだ。
「ハルトちゃん行くわよ」
お母さんの言葉に歩き出そうとした一瞬でした。目の前にいたお母さんが突然消えました。え?何?全然状況が分からない僕。でもお兄ちゃんが横を見て叫んでました。
「母さん!!」
僕も横を見ます。お母さんのことを次に大きかった虎の魔獣が襲ってました。お母さん襲われて壁の所まで飛ばされてたんだ。お母さんいつの間にか剣を持っててそれで対抗してます。
「魔法が使えないわ!リスターロイ!私は自分で何とか出来るから2人を避難させて!」
「でも母さん!」
「行きなさい!」
オロオロしてる僕に、キリッとしたお顔になったお兄ちゃんが行こうって言って歩き出しました。本当に大丈夫なのかな?魔獣と戦うお母さんを気にしながら、僕も続けてて歩き出そうとしたら、今度は。
「ガッシャーン!!」
お兄ちゃんとリスター、僕とみんなとロイの間に柱が倒れてきたんだ。
「ハルト!」
「ハルトちゃん!!」
みんな別れ別れになっちゃったの。そしてこの後また事件が起きました。