47オニキスサーカス団
(黒服視点)
「どうだ。確認出来たか」
「ああ、完璧だ。この前の挨拶とサーカスの公演で、他の団員にも確認させた」
「よしでは計画通り最終日に実行だ。俺はあっちの様子を確認してくる。まさかこんなに上手く行くとは考えていなかった」
俺は団長と軽く話をすると、すぐにある場所に向かった。その場所は普通の人間ならば近づかない場所。溶岩がいつ吹き出してきてもいい火山地帯に向かった。移動してすぐ、建てたばかりの2階建ての建物に入る。
「その後どうだ?」
「まだ耐えていますね。さすがと言った所です。様子を見に行きますか。もし行くのでしたらお気をつけて。魔獣達が守って居ますので」
建物から出て、今唯一溶岩が流れ出している場所へ向かう。もちろん氷の魔法で常に体を冷やしている。そうしなければすぐに死んでしまうだろう。
目的の場所に着くと手下の言った通り、私の目的の物の周りに、魔獣や妖精達がその物を守るように囲んでいた。たしかにこれでは簡単に手を出せないか。すぐにでも手に入れてしまいたい所だが。
「また来たのか…。絶対渡すものか。俺達がいる限り絶対だ」
「ふん。いつまでもつことか。まあいい。これから俺も少し忙しくなる。それまでに治ればいいがな」
囲まれている物は私からは見えないが、だいぶ弱ってきているはずだ。あのホワイトノーブルタイガー達を捕まえている間に、こちらもいい具合になるだろう。
来た道を戻り手下にこれからの予定を話す。サーカスの公演最終日までもうすぐだ。完璧にプランを立てておかなければ。ホワイトノーブルタイガーと他の魔獣と妖精、それからあのガキを手に入れ、後はあれを手に入れられれば…。自然と笑いが込み上げてくる。
よしあの方にも報告を入れておこう。俺はすぐに俺達の1番大きいアジトへと向かった。あの方には前回の作戦で、かなりの迷惑をかけてしまった。今回こそいい報告をしなければな。
(ハルト視点)
サーカスを見た次の日、僕は今日は広場に行くのはお休み。最後のサーカス見る日とその前の日は遊びに行ってもいいって。なんか心配するお父さんとお母さんの顔見てたら、リスターとロイがいるけどなるべく行かない方がいいかなって。本当は行かせてって言うつもりだったんだけどね。
遊びに行けなくなった僕は庭で遊んでます。遊んでるっていうか、フウ達がサーカスのマネして遊ぶって。だからロイにお願いして大きな木の所には綱渡り用の綱を、小さな木にはブレイブ達用のブランコ作って貰いました。ブランコは僕も乗れるやつだよ。
まずはブレイブ達がこの前の空中ブランコのマネです。ブレイブがしっぽで勢いつけて、ちゃんとブランコこぐんだ。凄くない?そのまま勢いつけてビョンッて飛んで、反対の木の上にいるアーサーのしっぽにしっぽで掴まります。すごっ!!本当のサーカスみたい。
次はフウとライ。2人は乗り物でピラミッドやってた魔獣達がいたでしょ。それのマネするんだって。僕のおもちゃ箱からちょうど良いサイズの乗り物のおもちゃ持ってきました。オニキスが風で乗り物走らせて、ライがフウの上に乗ってピカピカ光りながらいろんな所を走ります。フウは乗り物が走る所にお花咲かせてました。しかもポーズ?っていうか、2人でおしり振ってるの。か、可愛い!!僕が喜んでたら後ろでロイ達が
「あれ何してるんですかね?ハルト様は分かってるみたいですが」
「確かに2つの光が上下になって、おもちゃの乗り物に乗ってるだけに見えるが」
あっ、そうだった。他の人には2人の姿分からないんだっけ。う~ん。他の人に言っちゃダメって言われてるしどうしよう。後でお父さんに聞いてみなくちゃ。これから僕と一緒に居てくれるなら、きっとそのうち気付くはずだし、まあ声は2人に粉かけて貰えば良いけどさ。
そしていよいよオニキスの綱渡りです。オニキスは揺れる綱の上をすいすい歩きます。そして途中で止まりました。後ろからブレイブとアーサーが綱を渡ってきて、ヒョイってオニキスの背中と頭に。2人ともそこで逆立ちしました。最後にフウとライが、頭に乗って逆立ちしたブレイブの足にそれぞれ乗ってポーズです。おお!おおおおお!!凄い、凄いよみんな!!僕は思いっきり拍手しました。
「え?何これ?僕部屋から見えて、面白そうだったからすぐに来たんだけど、凄くない」
後ろを振り返ったらフレッドお兄ちゃんが苦笑いしてました。
「これが見れるなら、サーカス観に行かなくても良さそうだね。だって空中ブランコに、小さい子達の可愛いショーでしょ、それにこの綱渡り。ほら、これでばっちりサーカス出来るよ。オニキスサーカス団とか名前つけて」
オニキスサーカス団。それ良い!サーカスが帰っちゃっても、いつでも観たい時に見られるね。僕がそんなこと考えてたらフウとライ降りてきて、
「ハルトも一緒にオニキスに乗ってみようよ。フウ、ハルトとやりたい」
「オレも!オニキスに結界張ってもらって、風魔法で上に上げて貰えば良いよ」
「そうだな。それがいい。よし!ハルトやるぞ!」
僕が良いよって言う前にオニキスが僕に風の結界魔法かけました。まあ、結界張って貰えるから大丈夫だよね。この前の事件の時よりも全然薄いって感じの結界です。外の音とかちゃんと聞こえるし、外がちゃんとに見えるんだ。それにこの前は、こう丸い結界の中に入ってたでしょう、今回はそうじゃなくて僕の体に合わせたって感じ。
結界を張り終わると僕の体が浮かびました。風魔法で上まで上げてもらってアーサーの代わりにオニキスの上に座ります。アーサーは僕の頭の上に。僕の頭の上でまた逆立ちしてるみたい。
「フウはブレイブの上ね。ライはアーサーの上だよ」
「えー、そっちの方が上なのに」
「早い者勝ちだもんね。よしカッコいいポーズ!」
「ちぇっ~。じゃあオレもポーズ!」
フウのカッコいいポーズ見る限り、カッコいいって言うより可愛いだよね。言わないけどさ。お兄ちゃんとリスターそれからロイが止めなさいとか危ないとか言ってる。でも結界張って貰ってるから大丈夫だよ。
よし!じゃあ僕もポーズとらなくちゃ。う~ん。やっぱりここは剣をこう上げて、顔はキリって感じ。よし決まった。僕が決まったと思った瞬間、
「何をやってるんだ!!」
お父さんの大きな声が。下を見たらいつの間にか、とっても驚いた顔してるお父さんが。僕はもう1回カッコいいポーズをやり直します。
「おとうしゃん。ぼくカッコいい?」
「いいからすぐに降りなさい」
しょうがない。みんなで下まで降ります。
「ハルト、お前はなんて事するんだ!もし怪我したらどうする!」
「えっと、けっかいありゅ。だからだいじょぶ」
「いやいやいや。違うぞハルト。結界があるから大丈夫とかそういう問題じゃないんだ。結界があっても、もし落ちてその結界が役に立たなかったらどうする?パトリシアが治せない怪我したらどうするんだ。それに、何も知らない使用人やメイド、お客が見たら、ビックリするだろう?」
「オレの結界は完璧だぞ」
そこからはオニキスとお父さんのケンカでした。ずっとケンカしてるの。結界のことから始まって、お父さんが大体いつもお前はって。そのケンカに飽きちゃったのか、ブレイブ達は空中ブランコ、フウとライは乗り物の続き始めちゃいました。それ見てお父さんはまたまた怒っちゃった。
「今は止めなさい!」
そのあとお父さんとの約束。僕はオニキスサーカス団に出演禁止。もしやりたいなら、フウ達みたいに乗り物に乗りなさいって。僕が乗り物運転して頭にフウ達が乗るの。後は普通にブランコしなさいって。う~、残念!楽しかったのに。
でも僕がサーカスしたせいでリスターとロイが怒られちゃったから、それはちゃんと反省しなきゃ。僕は2人にごめんなさいしました。オニキス達もね。2人とも全然嫌な顔しないで許してくれたよ。本当にごめんね。今度広場に行った時は2人にお土産買うからね。
そんなこんなで最終日直前の広場遊びはグレンと遊びに行って、あのお菓子の詰め合わせとってもらって、2人にそれあげました。2人ともとっても喜んでくれたから良かったよ。
いよいよ明日は最終日。最後のサーカス観覧だ。楽しみだけどちょっと寂しいな。もう終わりなんだもん。オニキス達はサーカス研究するって…。何?本当にサーカス団作るの?