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452人の護衛

 お父さんは2人の横に立つと、2人の紹介を始めました。最初はお父さんよりも年上、さっきのギルマスくらいの歳の人。髪はけっこう短くてショートで茶色。目の色は青で背はけっこう高いです。180センチないくらいで歳は50歳くらい?


「この男の名前はリスター。ずっとうちで騎士をしている男だ」


「初めましてハルト様。リスターと言います」


 リスターさんが僕にお辞儀してきたから、僕はまたまた慌ててオニキスの後ろに隠れて顔だけ出して挨拶しました。

 次にもう1人の男の人の紹介。こっちの人はやっぱり背が高くてリスターさんと同じくらい。髪の毛はちょっと長めのショート?色は緑で目の色は青。この世界の人は目の色が青い人が多いのかな。


「そしてこっちは最近うちに来たロイスタス。やはり騎士だ。まだ若いが優秀な騎士なんだぞ」


「ハルト様初めまして。ロイスタスです。ロイと呼んで下さい」


 僕は隠れたまま挨拶しました。お父さんが僕の方に来て僕を抱っこして2人の前に。


「いいかハルト、今日から2人が、ハルトが何処かへ出かける時は一緒についてくるからな。2人はハルトのための騎士なんだ」


 僕のための騎士?お兄ちゃんと一緒でお付き兼護衛ってこと?え~、僕大丈夫だよ。でもこれってお父さんが言ってた安全ってことだよね。どうしよう、仲良くなれるかな。本当こっちに来てから人見知りが激しい。最初に一緒に暮らしてたのがオニキス達だからかな。それかあの叔父さんのせいかも知れない。


「ハルト仲良くだぞ」


「………うん」


 う~ん複雑。早くなれなくちゃ。

 

 その日は1日慣れるためって言って、2人がどこに行くにも付いて来ました。ご飯の時も、部屋にいる時もずっと。逆に緊張してなれないんだけど…。はぁ。

 部屋でおままごとして遊んでても、目の横に入るからあんまり面白くない。フウ達もいつもみたいに元気ないんだ。


 ご飯を食べるマネしてた時、ロイさんが急につかつか寄ってきて、おもちゃ箱の中から同じお碗を3つ取りました。


「あっ、何するの!それフウ達のだよ!」


「そうだよ!」


 フウとライ、ブレイブとアーサーがロイさんを攻撃します。


「わわっ!待って待って!ハルト様止めてください!」


「みんなダメ。」


 みんなが僕の所に戻ってきます。


「しょれぼくたちの」


「分かってます。でも、見ていて下さい。」


 ロイさんはそう言ってお碗を3つ、逆さまにして置きました。真ん中のお椀にだけ、小さなおままごとで使ってる石を入れます。これって…。

 何回かお椀を動かして僕達に石がどこに入ってるか聞いて来ました。これ、いつになっても分かんないよね。どうやってるんだろう。僕とスノーは真ん中。フウとライは右、ブレイブとアーサーは左です。当たったのは僕でした。


「何で?!フウちゃんと見てたよ!」


「オレも見てた!どうして真ん中なの分かったのハルト?」


 2人はかなりビックリして、お椀の周りをグルグル飛び回ってます。これ完璧にたまたまなんだけど。確かに普通だったら右だと思うけど、これのこと知ってる僕はワザと別の選んだんだよ。でもそんなこと言えないよね。ブレイブとアーサーは石の匂いクンクン嗅いでます。


「よし、もう1度やりますよ」


 次に当たったのはブレイブ達。そしたらフウとライが怒っちゃって、プンプンしながら次を催促します。声聞こえてないの忘れてるでしょう。僕が2人にそう言ったら2人は慌てて粉をロイさんにかけました。ついでにリスターさんにもね。それで早く次、次って改めて催促しました。


「これが妖精の粉か。よしどんどんやりますよ!」


 お椀の前に陣取るフウとライ。僕は姿が見えるからその姿が面白くって。真剣な顔して、前に乗り出しながらお椀の動きを見張る2人。でも何回やっても2人だけ当たらないんだ。どうしてかな?運が悪いか、それともロイさんが面白がって2人に当てさせないようにしてるか。


「さあ、次ですよ。石が入ってるのはどのお椀ですか?」


「「これ!!」」


 ロイさんが全部のお椀を開きます。全部のお椀に石が入っていません。もうこれにはフウとライの興奮は最高潮。スノー達まで走り回り出しちゃったよ。僕も全然気づかなかった。


「ハルト様、そのうさぎさんの洋服のぽっけに、手を入れてみて下さい」


 ゴソゴソぽっけに手を入れます。


「?!」


 なんとぽっけの中に石が!いつの間に?!凄い!


「他にもいろいろ出来ますよ。見てみたいですか」


 みんなで頷きます。それからロイさんはいろいろな手品を見せてくれました。ハンカチを使った手品や、トランプみたいなカードを使った手品。あとは木の板に紙が貫通しちゃう手品。いろいろです。最後の方はみんな拍手喝采でした。

 

 最後の手品を見終わった時、お父さんとお母さんが部屋に入って来ました。僕達はお父さん達に駆け寄ります。


「おとうしゃん、しゅごい!!」


「ぼく、じぇんじぇんわかりゃない」


「「あれ何!!」」


「「キュキューイ!!」」


「待て待てハルトとスノー以外、何言ってるか分からん。まぁ2人も何のことかは分からんが」


 リスターさんがお父さん達に説明してくれました。僕興奮してて上手く話が出来なかったから。だってロイさん本当に凄いんだよ。

 それで僕達気づいてなかったけど、いつのまにかロイさんとリスターさんと仲良しに。もしかしてロイさんこれを狙って?


 明日はサーカスが来て3日目。いよいよサーカスが見られるよ。まずは朝から広場に行ってカフスボタン買わなくちゃ。楽しみだなぁ。


(キアル視点)

 ハルトが寝てから2人を俺の仕事部屋に呼んだ。入ってきた2人にソファーに座るようにいい、グレンに棚からお酒を取ってもらい、グレンを含めた4人分のグラスを用意してもらう。


「で、よくあれだけ早くハルトを懐かせたな。最低でも3日はかかるかと思ったが」


「ロイの手品のおかげです。あんな特技があったとは」


「子供の頃私も人見知りが激しくて……」


 話を聞いてみてば、ロイ本人も子供の頃人見知りが激しかったようだ。ある日冒険者の父親の友人が家に遊びに来た時、初めはやはり近づけなかったらしいが、その冒険者に手品を見せてもらい、その手品に夢中になっていたらいつのまにか、その冒険者と仲良くなっていたらしい。

 大人になり人見知りはもうほとんどしなくなったが、自分ような子供がいたら、今度は自分がその子供達のために何かしてやりたいと思い、感動した手品を覚えたらしい。


「そうか。ハルト達にはバッチリだったな。それでうちのハルトはどうだ。可愛いだろう」


「旦那様、それは今関係ないのでは」


「何だ。これが1番大事だろう」


 ハルトの可愛さが分からんやつに、ハルトを任せるわけにはいかないからな。


「確かに可愛いですな」


 リスターが苦笑いしていたが気にしない。

 それから俺は、ハルトのことをすべて話した。森で出会った時から今までの事を、そしてあのウサギの着ぐるみを着ているのはホワイトノーブルタイガーだということも。話を聞き最初は驚いていた2人だったが、最後にはなぜ自分たちが護衛として付かなければいけないのか納得していた。


「確かにそれでは護衛がいりますな。それだけの力や契約者を従えていれば」


「なぜあんなに小さいのに、そんなに大きな力を」


 ハルト自身の話をした後はこれからの事だ。2人には俺たちがハルトと一緒にいる時でも付いて来てもらうことにした。あれだけの闇魔法を使う奴だ。俺やパトリシア、オニキスだけでは対応しきれないかもしれないからな。


「2人にはこれからハルト専属で付いてもらう。それ以外の仕事は当分の間なしだ。それで頼みたい。いいか?」


 騎士の仕事が出来なくて悪いが。2人は大きく頷いた。よしこれで少しは安心か?

 後は奴らにバレないようにサーカスを探るしかないが。何も起こらず、ハルトがサーカスを楽しめればいいのだが…。

 


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