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40街にサーカスがやって来る

 この間のお店通り歩きから数日後、僕は急に時間の空いたお父さんと、それからいつも仕事で忙しいグレンが今日は休みっていうことで、もちろんオニキス達も一緒に、お店通りに来ました。


 今日の予定はブレイブとアーサーを、ザインさんと一緒に暮らしてるルーリアのルイに会わせてあげようと思って、午前中はザインさんの家に。午後はこの前見られなかった残りのお店を見ます。


 ザインさんの家は一軒家が並ぶ所の1番端っこでした。分かりやすい所に家があったから、もう少し大きくなったら僕だけでも遊びに来られるかも。ブレイブとアーサー、ルイと遊ばせてあげたいもんね。

 ザインさんの家についてドアをノックすると、バンって勢いよくドアが開きました。そしてドアが外れました…。は?そしてドアを持ったまま外に出てくるザインさん。


「おっと、またやっちまった。まあ後で直せば良いだろう。それよりよく来たな」


「お前は相変わらずだな。ミリーはどうしたんだ。」


「ああ、今お菓子焼いてるんだ。今日ハルトが来るって聞いてな」


 そんな話をしてたら家の中からルーリアが飛び出して来ました。この子がルイだね。ブレイブとアーサーがオニキスから飛び下りて、3匹で戯れてます。3匹とも楽しそう。遊んでるブレイブ達を何とか家の中に入れて、僕達も中に入りました。


「こんにちは。お久しぶりですキアル様。それと貴方がハルトちゃんね。私はミリーよ。よろしくね」


 奥の部屋から、とっても綺麗な女の人が出てきました。名前はミリーさん。ザインさんの奥さんです。


「はじめまちて、こんちわ」


「あら、ちゃんと挨拶できて偉いわね。もう少しでお菓子焼けるから、待ってて頂戴ね。2階の子供部屋に息子のルーニーがいるの。2人で遊んで待っててくれるかしら」


 そう言われて、皆んなで子供部屋に移動です。この世界に来て初めての人の子供と遊びます。いじめっ子じゃないといいなぁ。そう思いながら子供部屋に入ったら、僕の心配は何だったのか。僕よりも小さい男の子が、床をゴロゴロして遊んでました。ルーニー君、もうすぐ2歳の男の子です。


「ぱぁぱぁ」


「ほらハルトお兄ちゃんだぞ。一緒に遊ぼうな。」


「こえ」


 ルーニー君が僕に渡してきたのは、乗り物のおもちゃ。僕はそれを思い切り走らせます。床をシュッて走っていくおもちゃ。ルーニー君が楽しそうそうに追いかけます。よし、どんどんおもちゃの乗り物走らせてあげよう。

 スノーやフウにライも一緒に追いかけます。そして何気にこれが疲れる。ミリーさんのお菓子が焼けるまでずっとやってあげてたら、腕がね…。これ今までの大きな体だったら絶対筋肉痛になってるやつだ。


「出来たわよー!」


 呼ばれて下に降りながら、腕をまわします。


「ちゅかれまちた」


「はははっ、大人みたいな事言うな。それにその仕草」


 だって本当に疲れたんだよ。

 ミリーさんが焼いてくれたお菓子は、クッキーとマフィンみたいなお菓子。


「おいち!!」


 とっても美味しくてパクパク食べちゃった。お昼の前におやつ。何か嬉しい。でもきっと今日のお昼は食べられないや。せっかくお店通り行くのにちょっと残念。でもお菓子食べられてラッキー?良く分かんないや。


「そんなに美味しそうに食べてくれて、私嬉しいわ。また遊びに来る時も作ってあげるからね」


「うん!!」


 お菓子の後また少し遊んで、それからお昼前にザインさんの家を出ました。


「じゃあ行って来るな」


「夕方までには帰って来てね。ハルトちゃんまたね」


「バイバイ!!」


 僕達にくっ付いて、ザインさんがルーニー君抱っこしてお店通りに行く事になりました。ルイもね。3匹であっちに行ったりこっちに来たり、ふらふらしながら付いてきます。

 お店通りについてすぐ、大人2人は屋台で串焼き買ってました。僕はひと口だけもらったよ。大人2人は串焼きの他にも、お肉の塊に魚魔獣の燻製焼にサンドイッチでしょう。凄い勢いで食べていきます。ミリーさんのお菓子食べた後なのにね。そしてその隣で静かにだけど、やっぱりいっぱいいろいろな物を食べてるグレン。静かになのに何か圧を感じる。


「おとうしゃん、いつもたくしゃんたべりゅ。ぼく、ちょっとだけ」


「旦那様はお屋敷で1番お食べになりますね。もともとたくさん食べる人が多いのですよ。ハルト様は少し少ないですね」


 え~。僕普通だよ。この世界の人達のお腹の中ってどうなってるんだろう。地球に行ったら大食い選手権とか出られそうだね。


 この前見れなかったお店の所から、ゆっくり歩きます。この前のおもちゃ屋さんとは別のおもちゃ屋さんに入りました。ここはルーニー君がよく来るお店なんだって。それでね、ザインさんが僕とルーニー君にお揃いのうさぎのぬいぐるみ買ってくれました。ルーニー君は大喜び。僕も何気に、地球にいた時からぬいぐるみ好きだったから、買ってもらって普通に嬉しかったよ。僕の部屋、今ぬいぐるみだらけ。そして地球にいた時の僕の趣味、ぬいぐるみを作ること。………別にいいでしょ。


 夕方ちょっと前までに、何とか全部のお店を見る事ができました。夕ご飯を買って今日のお店通り歩きは終わりです。

 ふと人のざわつきにそっちの方を見たら、お店通りの少し先、街の門の近くに人集りが出来てました。何だろう?


「おとうしゃん、あれ」


 僕は人集りのほうを指差しました。


「ん?あそこは掲示板の所だな。行ってみるか。」


 人集りの方に移動して、順番に前の方に。やっと前まで行ってお父さん達が張り紙を見ました。


「ハルト、サーカス団が来るらしいぞ。グレン連絡来てたか?」


「いえ、まだそのような知らせは」


 こういうサーカス団とか劇をする人達が、街で公演する時は、普通は先にお屋敷に連絡があるはずなんだって。その連絡がまだ来てないみたい。

 でもサーカスか。この世界のサーカスってどんなだろう。魔法とか魔獣とかで凄そうだね。見てみたい。


「おとうしゃん、シャーカシュみたい。おもちろい?」


「ああ。サーカスは面白いぞ。きっとハルトはびっくりするものが多い筈だ。ちゃんと俺の所に連絡が来たら見られるからな。」


 ザインさんとルーニー君に、手を振りながらさようならして屋敷に帰ります。今日買って貰ったぬいぐるみは僕のベッドの上に。うさぎとくまのぬいぐるみの間にスノーが座りました。これ、何も知らない人が見たら、スノーのことぬいぐるみと間違うんじゃ。


 お店通り歩きした数日後、サーカス団の団長さんと仲間の人何人かが、お屋敷に挨拶しに来ました。お父さん遅いってとっても怒ってたよ。こういう報告は、街の中で勝手に催し物して、何か事故でも起きたら大変だから、ちゃんとお知らせ貼る前に挨拶に来るようにって。うん。それは大事なことだよね。

 団長さんはちゃんと謝って、それから特別にって、僕に羊みたいな魔獣の魔法火の輪潜りを見せてくれました。


 お外で見たんだけど、団長さんが屋根の方にまで魔法で火の輪を作って、軽~く魔獣がそれを潜り抜けてみごとな着地。凄い凄い!地球のサーカスよりも全然迫力が違います。


「どうでしたか坊ちゃん。楽しんで頂けましたか」


 僕は頭の上で拍手。みんなには見えないけど、フウとライも頭の上で拍手してます。スノーとブレイブとアーサーは跳ね回って喜んでました。


「サーカスは8日後からです。是非見に来てくださいね。待ってますよ」


 団長さんと仲間の人が、お父さんに頭を下げながら帰って行きます。団長さんが僕の横を通り過ぎた時でした。


「これから仲良くしましょうねぇ」


 ん?どゆこと?僕は振り返りって去っていく団長さんを見つめます。団長さんの声は僕にしか聞こえなかったみたい。みんな気付いてません。

 何だろう、仲良くしましょうって?たくさん見に来てって事かな?

 でも本当にサーカス楽しみ。どんな凄い技見れるかなぁ。


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