37お店通りで遊ぼう! 1
いよいよお店通りで遊ぶ日です。僕はスノーとお揃いのうさぎの着ぐるみを着て、準備万端で、玄関ホールでオニキス達と待ちます。今日はお母さんが、お店通りに行きながら、街のいろいろを教えてくれるみたい。なんか昨日の夜のお母さんとビアンカのテンション、やけに高かったけど。
「ああ、こんなに可愛いハルトちゃんを連れて歩けるなんて、マイナに会ったら可愛い自慢しなくちゃ。明日はもちろん、スノーちゃんとハルトちゃんはうさぎのお洋服よ。それが1番似合うもの。」
「ああ、一緒に行けないのが、とても残念でなりません。奥様、お帰りになられたら、すぐに可愛いハルト様の報告をして下さいませ!!」
「もちろんよ!全てを記憶して、必ず伝えるわ!」
そう言ってから、2人はがっしりと腕組み。そして黙って頷きあってた…。うん、その事は忘れよう。僕何も見てないよ。2人の笑顔が怖かったなんて、そんな事あるわけないよ。ね?
玄関ホールで待ってたら、次に準備が終わって来たのはお兄ちゃん。お兄ちゃんはカバンを肩からかけて、それから今日はシンプルな洋服着てました。いつもは学校の洋服着てるか、訓練用の洋服着てるか。あとは騎士の人達が着るような、ちょっとカッコいい洋服着てます。
「今日はお店通りにいくから、少し汚れてもいい洋服着てるんだ。それと動きやすいようにね。だって、食べ物を立ち食いしたり、小さなお店に入ったり、いろいろする事があるからね。」
食べ物を立ち食い?貴族が?何かあんまり想像出来ないんだけど。お母さんも立ち食いするの?あっ、最初に来たときは、冒険者の女の人は立ち食いしてたっけ。でもあれは冒険者の人だったからで、貴族のお母さんのその姿は、想像出来ないんだけど。
僕が考え込んでたら、お父さんとお母さんが一緒に階段を降りて来ました。2人ともやっぱりシンプルな洋服です。街の人達が着てるような服。
「よし、みんな揃ってるな。じゃあ出発だ。」
「皆様、行ってらっしゃいませ。」
「奥様!ビアンカは奥様のハルト様の可愛い姿のお土産話を、楽しみに待っております!!」
「ええ、必ず、たくさん話を持ち帰るわ!」
今日も相変わらず、テンションおかしい…。僕は普通にお店通りで遊ぶだけだよ。
グレンとビアンカに手を振りながら、歩いてお店通りに向かいます。僕はオニキスに乗って移動です。本当は馬で行っても良かったんだけど、お店に入る時とか、いちいち馬を預ける場所に行かなくちゃいけないから、面倒くさいみたい。馬を預ける所は、お店通りに5カ所。一定の距離に用意してあります。でも預けたりとか、その時間がもったいないからって。
お屋敷を出て、最初に気づいたのは、大きな畑と家畜小屋です。しかも2つともけっこう広くて大きいんだ。
これは、街や周りの森で何か起こった時ように、用意してるものなんだって。
例えば街の外、森とか林で魔獣が暴れたりとかして、商業の人達が外に出られなくなっちゃったりとか。逆に街の人達が外に出れなくなったり。それからもし盗賊とかが街を襲って来て、街を封鎖しちゃったら。そうしたら皆んなご飯とかに困るからね。そのための畑と家畜小屋です。
あと、その近くに池があって、そこには食べられる魚魔獣がいます。これも街の人達が作ったんだって。いろいろ考えてるんだね。
そこを通り越して、一軒家が建ってる所を通ります。一軒家が建ってる所にも、何軒かお店があるみたいです。でもお父さんが、
「こっちのお店は、ハルトには関係ないものを売ってるから、別に見なくて良いだろう。」
って。どんなお店があるんだろう。僕に関係ないもの?うーん、分かんないや。まあ、いつか見れたらいいかな。
一軒家が集まる場所を通り過ぎる頃、いい匂いがしてきました。お店通りが近くなって来た証拠。
「ハルト、いい匂いがするだろう?ご飯のお店が始まるのは、朝早くからなんだぞ。朝早くから冒険に出かける人や、仕事で出かける人達のために、朝ごはんを売ってるんだ。俺達はお昼と夕飯を、今日はここで食べるぞ。だから今日はゆっくり、たくさんお店を見れるからな。」
おお!やったぁー!たくさんのお店があるからね。お店を全部見る事が出来なくても、夜までだから、いろいろ見られるはず!
お店通りに着いてびっくり。朝早いのに、もう人だらけ。朝からこんなに皆んな動いてるの?まるで通勤ラッシュだよ。でもそんな事気にしてられない。端のお店からどんどん見て行こう!
「ハルトちゃん。見たいお店があったら言ってね。」
「はーい!」
手を挙げて返事。あ~あ、完璧に子供だ…。だいぶ子供扱いにも、自分が子供って事にも慣れてきたんだけど、たまにふと考えちゃうよ。
僕が最初に気になったのは、いろいろな物を売ってるらしいお店。本当何でもありますって感じで、カバンにタオルに、コップやランタン。雑貨屋さんみたいなお店。オニキス達用のブラシあるかも。ここは早速おねだりだ!
「おとうしゃん。このおみしぇ、みたいでしゅ。」
「ん?何か欲しいモノが見つかったか?」
「オニキスやスノー、けをサーって。」
こっちではブラシの事、ブラシって言うのか分かんなかったから、とりあえずジェスチャーで伝えます。お屋敷で、僕の髪の毛セットしてくれるのはビアンカで、その時の道具はクシって、同じ名前だったけど、ブラシは違うかも知れないからね。
「ああ、毛をとかすのか。スノーの毛は飛ぶからな。あれは顔が痒くなる。それにくしゃみがな。」
やっぱりお父さんもそうだったんだ。ねぇー、アレ痒いよねぇー。
「じゃあ、魔獣用のブラシだな。よし見てみよう。」
何だ。ブラシでいいのか。お父さんがお店の人に、ブラシを売ってるか聞いてくれます。お店のおじさんは、積んであったお店の商品に手を突っ込んでゴソゴソ。いっぱい積んであるから、商品がどんどん落ちます。それでいいの?売り物でしょう?でもね、周りのお店を見ると、けっこうこういうお店多いんだ。それで、お客さんもあんまり気にしないで買い物してるの。これが普通なのかな。
少しの間、ゴソゴソしてたおじさん。下の方からブラシを取り出しました。おお~、なかなか大きくて、柄の部分がいい木を使ってますって感じの立派なブラシ。お父さんがそれを受け取って、オニキスの毛をとかします。
「オニキスどうだ。痛いとか毛がツルとかないか。」
「大丈夫だ。これならスノー達も大丈夫だろう。」
「よし。じゃあこれをくれ。」
紙に包んでもらって、お父さんのカバンの中に入れます。僕の最初の目的達成です。早速今日帰ったら、皆んなブラッシングしてあげよう。僕が皆んなにそう言ったら、皆んなとっても喜んでくれました。
さあ、次はどんなお店かな。そうそう、海賊肉は絶対食べなくちゃね。でもお昼までまだまだ。夜もここでご飯だし。ちゃんと考えて食べ物選ぼう。僕、そんなに食べられないからね。
(ある黒服の男視点)
俺は洞窟の前にテントを張っている、サーカス団の所に来ていた。ある話をするためだ。団長のテントまで行くと、団長はヘビの魔獣に、奴隷の首輪を付けている最中だった。
「来たのか?」
団長が俺に気づき、手を止める。
「予定通りか?」
「ああ。お前の情報通り、1人偵察に行かせたが、やはりあの街にいる事は間違いない。次の公演場所はシーリアスだ。」
これからの予定を、団長と話し合う。この前の変異種のフェンリルの方は、大失敗に終わってしまった。その失敗を取り戻さなければならない。そのためにも、こちらの仕事は成功させなければ。
それにこの仕事が終わったら、俺には行く所がある。あの時、あいつと別れた場所へ行き、あいつがどうなったのか確かめなければ。
あの突然現れた男は、一体誰だったのか?人の姿をした化け物。俺達とはレベルが違い過ぎるほどの、圧倒的な力。調べなければ。後々俺達の障害になりかねない。
「何か考え事か?」
「いや。さあ、作戦を考えよう。」
とりあえず、まずはこちらからだ。待っていろ、ホワイトノーブルタイガーめ。次は逃がさない。
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遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m
いろいろ話が繋がってきました( ̄▽ ̄)
コラボは、もう少々お待ち下さい。
別に枠をとりますので。