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33出来る執事に出来るメイド

 男の人が話かけてきたと同時に、メイドさんがお茶を運んできました。


「ちょうど来ましたね。旦那様、我々も紹介を。ハルト様、私はこのお屋敷、旦那様に使える筆頭執事のグレンと申します。よろしくお願い致します。それから…。」


 グレンさんはメイドさんの方を見ました。メイドさんがピシッと立ちます。


「私はビアンカと申します。ハルト様の身の周りのお世話、全て私がやらせて頂きます。よろしくお願いしますね。」


 物凄く良い笑顔なんだけど、何か迫力が…。でも挨拶はちゃんと返さないと。


「えと、ハリュトでしゅ。よろちくでしゅ。グレンしゃん。ビアンカしゃん。」


 そう言った途端、ビアンカさんが一瞬よろけました。でもすぐにまたピシッて立ってそれから。


「奥様ありがとうございます。こんなに可愛い坊っちゃまのお世話係に任命して頂いて。ビアンカこれからますます、頑張って働かせて頂きます。それでは私はこれからまだ仕事がありますので、失礼致します。ああ、アメリアに手紙を出さなければ。ハルト様がどれだけ可愛いかを書いて、それから…。」


 独り言を言いながらスキップして、テンション高く部屋を出て行くビアンカさん。どうしよう何か怖い…。ビアンカさんの迫力に、僕はソファーに深く座り過ぎちゃって、ジタバタしちゃった。お母さんが助けてくれたけど、その後のお母さんの言葉に、さらに不安が増したよ。


「ビアンカはハルトちゃんのお世話全てやってくれるわ。夜中のトイレにもついて来てくれるから、安心してね。勿論、お母さんかお父さんでも大丈夫よ。」


 トイレ…。絶対1人で行くよ。オニキス達もいるし大丈夫。絶対呼びに行かない。絶対付いてくるだけじゃなくて、僕の隣に立ちそうだもん。そう、この世界のトイレは殆ど地球と変わりないからね。違うところは、最初から水を流して終わったら水を止めるって事ぐらい。水は魔力石で出してるから、なくなる事はないんだって。


「ハルト、グレンとビアンカにはさんは必要ないぞ。ただのグレンとビアンカだ。2人はハルトの事ハルト様って言うけど、それも決まりみたいなものだから気にするな。」


 慣れないことばっかり。僕はお父さんの家の養子だからかな。様付け…。早く慣れないと。お屋敷にも慣れなくちゃいけないし。慣れなくちゃいけない事たくさん。

 その後、今自己紹介しなくちゃいけない人達はもういないみたいで、ご飯まで少し時間があったみたいだから、僕は自分の部屋に案内されました。3階の1番奥の部屋。

 

 中に入ってまたビックリ。僕1人には広すぎる部屋でした。広さでいうと畳20畳くらい。真ん中にドンって大きなベッドでしょ。その隣にはオニキス達のベッドも用意してありました。机と椅子も用意されてて、いろいろ飾りがついてる、買ったら高いんじゃないかって感じのやつです。それから大きな窓が、正面の方と横に付いてます。そして豪華なカーテンが。クローゼットもとっても大きかったです。これ、本当に僕の部屋?


 ボケッと部屋を眺めてたら、ビアンカが大きな箱を5つ、積み上げて部屋に運んできました。スゴっ。何が入ってるか知らないけど、ヨタヨタすることなく、箱もグラグラさせないで、颯爽と部屋へ。


「奥様お持ちしました。ハルト様、この中にはハルト様の喜ぶ物が入っているのですよ。」


 そう言って、どうやって箱置くのかと思ったら、見えてないはずの机に迷うことなく進んでいって、スッて箱を置きました。それからジャンプして1番上の箱をヒョイと取りました。その動き全部が凄すぎ。

 ビアンカが取ってくれた箱を開けます。中からたくさんの車みたいなおもちゃや、おままごとの道具?それから積み木、いろいろな物が出て来ました。他の箱からも、絵本やおもちゃがいっぱい。


「ハルトちゃんが家族になるって聞いて、急いで揃えたのよ。半分くらいお兄ちゃんのおふるだけどね。これ全部ハルトちゃんのよ。たくさん遊んでね。」


 これ、僕のために全部揃えてくれたの。僕のために…。なんかジンッとしちゃった僕。お母さんに抱きつきました。


「ありあと。」


「いいのよ。だってハルトちゃんは、私達の家族だもの。」


 おもちゃで遊ぶのは、ちょっとためらいがあるけど。でもせっかく用意してもらったんだから、オニキス達と遊ぼう。

 

 おもちゃは僕達が夕飯食べてるうちに、ビアンカが片付けてくれるから、僕達はそのまま食堂へ。食堂…、ここもとっても広かったです。うん、驚かなくなってきちゃった。

 僕専用の椅子まで用意してあって、机にぴったり。食器もご飯の量も全部が僕サイズでした。本当にありがとうって思ったよ。


 ご飯の後はもう1度休憩室へ。あったかい紅茶みたいな飲み物を皆んなで飲みました。それでそこでオニキス達の話に。


「旦那様、手紙で聞いていた魔獣の数と、だいぶ違うようなのですが。何があったのですか?」


 お父さんオニキス達のことも手紙に書いてたみたい。そうか。スノー達と家族になったのは、ついこの間だもんね。2匹も増えて、全部で4匹と2人。随分増えたよね。

 お父さんが家族皆んなに、街まで来る間に何があったのか説明しました。説明している間、オニキス以外の皆んなは、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、部屋の中走り回ってました。そこで僕はまた驚くもの見ちゃった。

 スノーが走り回ってて、机にぶつかっちゃって、端の方に置いてあった、お砂糖取るためのスプーンが落ちそうになったんだ。そしたら全然違う方見てたグレンが、やっぱり違う方見ながら、スプーンが落ちる前にすくい上げたんだ。えっ、どうして分かったの?

 それからやっぱりふらふらしてたブレイブとアーサーが、グレンの後ろに置いてあった花瓶を倒しそうになったんだ。それもサッと後ろ向いて花瓶を元に戻して、何事もなかったように、お父さんの話聞いてました。


 ちょっとおかしくない?ビアンカは見かけによらず、女性とは思えない感じで、たくさんの荷物を平気で運んでるし、グレンは見もせずに、いろいろ対処しちゃうし。僕、お父さんの話どころじゃなかったよ。

 何度か呼ばれたみたいで、気づいて慌てて返事したら心配されちゃった。


「どうしたハルト、ぼーっとして。疲れたか?と、もうお前は寝る時間だな。もうビアンカも部屋の準備は終わってるだろう。」


 そうお父さんが言ったちょうどその時、ビアンカが部屋に来ました。僕の部屋の片付けが終わったこと知らせに来たんだ。

 僕はお母さんに連れられて、歯磨きとトイレを終わらせて、お父さん達皆んなで僕の部屋に。夜用の洋服、うん、寝巻きをお母さんがクローゼットから選んでくれて、それを着ました。クローゼットの中には僕の洋服がいっぱい。これも僕が家に来るって聞いて、全部用意してくれたんだって。本当に本当にありがとう。


 ベッドに入ってお父さん達が1人ずつ、僕の頭撫でながらお休みして、それからお父さんが魔力石の光を消して、皆んなが部屋から出て行きました。部屋の中は月明かりだけだから、けっこう暗くなったよ。少しして、お屋敷の廊下を歩く人達の足音もあんまり聞こえなくなりました。


「ライ。あかりおねがい。」


 ライに少しだけ明るくしてもらいました。僕はベッドから抜け出してオニキスのところに。皆んなも集まって来ました。


「どうだ、ハルト。この家で大丈夫か?」


「うん。みんないいちと。ぼくのこと、しんぱいちてくれてりゅ。」


「そうか。じゃあ、ここで暮らしてみるか。嫌になったらすぐに出て行って、あの森に戻ろう。」


「うん。でも、ねりゅとき、いっしょがいいね。あちた、ベッドでいっちょにねていいか、きいてみりゅ。」


「僕も!ハルトと寝たい!」


「オレも!!」


「ボクは絶対!」


「「キュキュキュ!!」」


 明日起きたらすぐに聞いてみよう。でも今日はこのまま、オニキスに寄りかかって寝たいな。そっちの方が安心するし。皆んなにお休み言って、そのまま寝ました。

 

 今日からここが僕達の家。少し話しただけだけど、お母さんもお兄ちゃんも、グレンにビアンカも、皆んな優しい人。どこの子供かも分からないのに、こんなに良くしてくれるなんて。僕、とっても幸せだよ。

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