31やっと出発。そして街へ
僕はふと目を覚ましました。部屋の中はとっても暗くて、夜だって分かったよ。起きた僕に気づいた皆んなが集まってきます。フウが少しだけ光ってくれて、部屋の中が少し見えやすくなったよ。オニキスがほっぺにすりすりしてきました。
「ハルト、今は夜中だ。もう1度寝るといい。キアルもぐっすり眠っている。」
隣を見るとお父さんが寝ていました。本当ぐっすりって感じ。僕達が話してても、動いてても、お父さんは全然起きません。ふう、でも良かった。お父さん隣にいてくれて。安心したよ。
オニキスが闇の力が近づいて来るなんて、とっても怖い事言うから、僕お父さんに何かあるんじゃないかって慌てちゃったよ。怪我とかしてなくて良かったあ。
もう1度お父さんの隣に潜り込んで目を閉じます。あったかい。僕の頭の上辺りにフウとライが寝て、オニキスのところでスノーとブレイブにアーサーが寝ます。僕はすぐにまた寝ちゃいました。
寝たと思ったら、次に起きたのお昼頃でした。完璧に寝過ぎちゃったよ。でも、お昼に起きてもお父さんは僕のそばにいてくれました。僕が起きるの待っててくれたみたい。2人で食堂に行って、お昼ご飯食べて、冒険者ギルドに行きました。
本当は小さい子供が入れない冒険者ギルド。でも今は完璧にギルドの役割を果たしてないから、大丈夫?らしいです。僕はお父さんに連れられてギルドマスター室に行きました。昨日僕がライネルさんと待ってた部屋だね。
部屋に入ると、部屋の中は箱でいっぱいでした。今回の闇取引の証拠と、それ以外にも、ここのギルドマスター達は、いろいろ悪い事してたみたい。全部それの証拠が入ってるんだって。ライネルさんがお父さんに話したことは、こんな感じ?
「それにしても、ずいぶん悪事に手を染めてたんだな。今まで気づかなかったのが不思議なくらいだ。」
「上手く隠してたみたいですね。この証拠の品の数々も、全て封印がされていました。しかも丁寧な事に、視察が入った時に分からないように、他の輩が起こした犯罪の証拠の中に、それを隠していました。」
部屋の中の箱全部が、犯罪の証拠…。僕埋まりかけてるんだけど。どれだけ悪いことしてたのさ。でも、お父さん達が今回皆んな捕まえたから、もうスノー達みたいな可哀想な魔獣はいなくなるよね。少なくともこの街では大丈夫なはず。
お父さん達が明日からの予定を話始めました。今日はこのままここで仕事して、明日朝からシーライトに出発するみたい。シーライトに向かうのは、僕とお父さんとライネルさん。それからお父さんの部下の騎士何人かと、冒険者が何人か。ザインさんは帰るみたい。
ガントさん達がここに残るのは、ここには捕まえた人達が牢屋に入れられてるから、誰もいなくなるのはダメだし、それにまだまだ悪事の証拠が出てくるだろうから、それを見つけたり整理する人が必要でしょ。だから、二手に別れて、お父さん達が街に戻ったらここに応援をよこして、その人達とガントさん達が交代します。悪い人達乗せる専用の馬車があって、その馬車も持ってこないとって言ってました。
何だかんだで、シーライトに行くのだいぶおくれちゃったよ。お父さんはその事も心配してました。帰るのが怖いって。何でだろう。悪い人達捕まえたんだから、皆んな喜ぶと思うんだけど。
夕方までお父さん達が仕事するの見て、夕ご飯は宿に帰ってから皆んなで食べました。食堂では今回の事件の話でもちきり。食事してた人達が、お父さん達が食堂に入ったら、みんな拍手してくれました。
次の日の朝、いよいよシーライトに向かって出発です。僕はオニキスに乗っかって街に向かいます。ガントさん達に手を振って街を出ました。
街を出て、お昼くらいになった時でした。反対から歩いて来てる、多分冒険者の人?剣を持ってたり、オノを持ってたりしてるからね、その人達がお父さんを見て、手を振って早足でこっちに向かって来ました。
「あれはエイダン達か?確か先に帰ったはずじゃなかったか?」
「ええ、確かに先に帰りましたけど、どうしたんでしょう。」
この前先に帰った冒険者の人達みたい。冒険者の人達は僕達の前で止まると、軽くお辞儀をしました。
「どうしたんだエイダン。先に帰ったはずだろう。」
「奥様から、書類を預かってきました。多分キアル様は忘れているだろうからと。」
エイダンと呼ばれた冒険者の人が、お父さんに厚手の紙を渡してきました。何の書類かな?書類を確認したお父さんは、それを見た瞬間軽く自分の頭を叩きました。
「しまった。完璧に忘れてた。ハルトが家族だという書類を用意していなかった。」
「そう言えばそうでした。危なくハルトくん、教会に入れられるところでしたね。」
え?何?教会?僕、お父さんのお屋敷に行けなかったかも知れないの?
「グレンさんが用意してくださったみたいです。」
「そうか。帰ったらまた、いろいろ言われそうだな。すまん。持ってきてくれて助かった。」
「俺達はこれからまた、依頼に行くんでこれで。」
エイダンさん達が僕に手を振りながら、歩いて行きました。
「おとうしゃん。なんのかみ?」
「ああ、これはな、ハルトは俺の家族だって証明する紙なんだ。街に入る時に必要な、とっても大事な物なんだ。これがないとハルトと一緒に暮らせなかったかも知れない。いやあ、良かったよかった。」
ちょっと、そんな大事な書類なら忘れないでよ。一緒に暮らせるって楽しみに街に行って、それでやっぱり暮らせないなんて言われても、困っちゃうよもう。お父さんは紙を大事そうに鞄にいれて、また歩き始めました。
夕方、目の前に大きな壁が見えてきました。シーライトを守るための壁だって。けっこう大きいから、街の中がどうなってるか分からないよ。近づけば近づくほど、壁の大きさにびっくり。壁の上には騎士の人達が立っています。それ見て改めてここが地球じゃないんだって思ったよ。
そして壁の前には行列が。何してるんだろう?
「おとうしゃん、なんでなりゃんでりゅ?」
「ああ、あれは街に入るための検査で並んでるんだ。俺達は別の入り口から入るから、並ばなくてすむぞ。さて、ライネルすまないが頼めるか。」
「はい。」
そう言うとライネルさんは、行列の所にある入り口とは離れた入り口から、中に入って行きました。僕達はその場で待機です。すぐにライネルさんは戻って来ました。手には紙袋が。その中から出して来たのは、青いシンプルな首輪と、わんこの形した銀色のペンダントみたいなのと、ルーリアの形したシルバー色のペンダント出して来ました。あとはとっても小さい可愛いカゴ。
「オニキス達すみませんが、みんなこれをつけてもらえますか。街の中では契約魔獣であるという、印が必要なんです。つけるものは何でも良いのですが、何もないと、討伐対象になったり、拐って自分の魔獣だと言い張る輩が出で来るので。」
ああ、自分のペットですみたいな感じかな。オニキス達は家族だけどね。皆んなにそれぞれ印をつけます。フウとライは小さすぎて印付けられないから、2人がゆっくり座れるように、専用のカゴ買ってきてくれたみたい。
「あとなハルト、後でフウとライについて話があるからな。」
「?」
何だろう?首を傾ける僕を、お父さんが抱っこして自分の馬に乗せました。ここからは街に入るからお父さんと一緒にだって。入る入り口で確認もあるみたい。
入り口に近づきます。いよいよシーライトに入ります!