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27ん?外れた?

(キアル視点)

 ホワイトノーブルタイガーの子供を結界の中に残し、俺は再びギルドマスターヤクの元へ。とりあえず結界で守られている今、どうにかヤクを説得して、首輪を外させたいのだが。

 ヤクの前に立ち、もう1度首輪を外すように言う。しかし、それで簡単に外すような奴ではない事は分かっていた。案の定、ヤクは笑うだけで、外す素振りさえ見せない。これはやはりシーライトに戻り、専用の器具を使い外すしかないか。

 

 それに少し気になる事がある。それは誰があの子供に、奴隷の首輪をつけたかだ。ギルドにあった箱の封印は、ライネルが簡単に解く事が出来た。ヤクが封印したものだ。てっきり子供の首輪をつけたのはヤクだと思い、ライネルに外すように頼んだのだが。しかし首輪を外す事が出来なかった。

 どういう事だ。確かにヤクは、首輪で子供を痛めつけていた。これは首輪をつけた人間にしか出来ない筈だ。

 私が考えていると、ヤクがさらに笑い出した。


「くくくっ、ハハハハハッ!ずいぶん考え込んでるじゃないか。領主ともあろう人間が、そんな事も分からんとは。」


「‥煩いぞ。外す気がないのなら、黙っていろ。」


「良いことを教えてやる。あのガキの魔獣は、この貴族に渡したあと、この貴族を殺して奪い返す手筈だった。ちょっと奴らが隠し持っている金が欲しかったもんでな。奴が屋敷に居ると金を奪いにくかったから、話を持ちかけてやって、屋敷から遠ざけてやったんだ」


 ヤクの言葉に領主はひっと、声をあげたあと、すぐに屋敷に連れて行けと騒ぎ出した。煩いのがもう1匹増えてしまった。奴には後で、金の事を聞いてみよう。だが今は…。俺はガントに目で合図すると、ガントが頷き領主の所へ行くと、やつを気絶させた。


「それで、それを俺に教えて何になるんだ。」


「いやなにお前達もこれから、大変な事になっていくんだろうと思っただけさ。」


 何を言っているんだ。大変な事になっていく?何をしようとしているんだ。こいつが捕まっても平気な顔をしているのに関係があるのか?

 俺がヤクを睨みつけていると、箱を調べていたアランが、俺の事を呼んできた。近づいて行く。今のところ、確認出来たのは、荷馬車に乗せてあった箱の半分くらいか。


「どうした。」


「今のところ、全部に魔獣が入っているわけではありませんが、これ見てください。奴隷の首輪がこんなに。それから、見つかった魔獣は全て子供です。それで。」


「ここからは私が。」


 アランに代わり、ライネルが1匹の魔獣の子供を連れてきた。ルーリアの子供だ。首輪は外せている。どうも外せる首輪と外せない首輪があるらしい。俺は話を聞く前に、オニキスの元へ。オニキスに結界を広げてもらい、その中に見つかった魔獣を入れた。外せようが外せなかろうが、今は結界の中が1番安全だ。オニキスに面倒を頼み、再び外に出る。


 それでライネル達の話によると、外せた首輪は全て簡単に外せたらしい。しかしダメなものは、よっぽど魔力の強いものが付けたらしく、何の反応もなかった。そしてその外せない首輪をつけているのは、ワイルドボアや、ジャイアントベアー、レッドスネイクなど、将来強くなる魔獣ばかりだった。


「もしかすると、二重契約ではないかと。ヤクの他に首輪に魔力を流した者がいて、その人物が強い魔力の持ち主で、私達に首輪が外せないのでは。」


「で、仮定の話だが、その強い魔力の持ち主のおかげで、ヤクはあんなに余裕で居られるって訳か?」


「そうかもしれません。ヤクと重要人物と思われる人物だけ早く連れて行き、牢屋に入れましょう。もし魔力の強い重要人物が現れても、牢屋に入れば魔力は使えなくなります。」


「そうだな。」


 再びヤクの方へ行こうとした時だった。後ろでカチャンという音がして、何かが落ちた音が聞こえた。振り返ると奴隷の首輪が落ちている。誰かが落としたか?拾い上げ目の前に居たアランを見る。何故か驚いた顔をして、辺りを見渡している。ライネルの方を見たが、ライネルも同じだ。そして今度は、


「何故だ、何故首輪が外れた…。」


 ヤクの声だ。何だいったい。ヤクの方を見ると、ヤクが1番驚いた顔をしていた。そしてオニキスが近づいてきた。


「おい、結界はどうしたんだ!」


 何をやっている。ハルト達が苦しむじゃないか。だがオニキスが言ったことは、俺にとって、いや俺達にとって、予想外の事だった。


(ハルト視点)

 ホワイトノーブルタイガーの赤ちゃんを抱っこして、なでなでしたままお父さんを待ちます。お父さん達の話し合い、とっても長いんだ。それになかなか赤ちゃんの首輪を外しに来てくれないし。道具を使わなくちゃいけないなら、早く街に戻ろうよ。

 そう思ってたら、今度は何匹か魔獣を結界に入れてきました。首輪付けてる子、付けてない子。いろいろです。オニキスに面倒を見てろって言って、お父さんまた外に行っちゃった。その中にルーリアがいて、ブレイブと顔をすりすりしてました。それからブレイブがオニキスのところに。


「ふん、ふん、それで。」


 何かお話してます。オニキスは皆んなの言葉分かるからね。それで分かったこと。首輪を付けたのは、2人の男の人だって。1人はあそこに座ってるギルドマスター。もう1人は、黒ずくめの男で顔は分からなかったって。この2人が一緒に、首輪に魔力を流したみたい。

 首輪が外れたルーリアいわく、ギルドマスターの魔力は大したことないって。もう1人の男の人が凄い魔力の持ち主で、首輪付けられちゃったの、その男の人のせいみたい。首輪を付けられちゃったら逆らうことは出来ないから、ギルドマスターみたいな弱い奴でも、従うしかなかったって。

 ギルドマスターって弱いの?だってライネルさんしか、ギルドにあった箱の封印、解けなかったんでしょう。そう言ったら、魔獣にしてみれば弱いんだって。魔力流された時に分かったみたい。

 そうかあ、じゃあやっぱり早く街に戻って、道具で外してあげないとね。


「あのね、はりゅと。」


「どうちたの?」


 抱っこされたままの赤ちゃんが話しかけてきました。


「はりゅと、まりょくちゅよい。たぶんはじゅしぇる。」


「ほんと?!」

 

 僕外せるの?じゃあ今すぐ外そう。と思ったんだけど、オニキスが魔力使うからダメだって。ちょっとだけ、ちょっとだけだよ、もしダメだったらすぐ止めるから。オニキスは止めてきたけど、ごめんねオニキス。

 えっと、今までの話からいくと、外すには魔力が必要で、それを、それをどうすればいいんだろう?外れろって言ってみるかな。ちゃんと外してる時の様子、見ておけばよかった。あかちゃんなでなでしてて、見てなかったよ。オニキスは教えてくれそうにないし、あかちゃん達に話聞いてる時間もったいないし。だってうまく喋れない同士、会話が進まないんだもん。


 まあいいや。とりあえずやってみよう。魔力の溜め方は、何となく覚えてる。こう体の中にあったかいもの溜める感じ。うん。溜まってきた。それで、


「くびわ、はじゅれちゃえ!」


 魔力を外に出す感じを思い浮かべて、それからそう言いました。体からあったかいのがなくなったから、ちゃんと外に出せたみたい。後ろでオニキスが溜息ついてます。


「ハルト、ただ魔力を外に出して、そう言葉にすれば良いってもんじゃない。それじゃあ首輪が…。」


~カシャン~


「はじゅれた!!」


 結界の中に居たあかちゃん達の首輪が、次々に外れて行きます。


「は?!」


 オニキスがとっても驚いた顔してます。結界の中に居た子達は、全員首輪を外す事が出来ました。なあんだ。けっこう簡単に外せるんだね。


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