22人の居るところ
朝起きると、皆んなもうほとんど用意が終わってて、後は僕が寝てたテントと、皆んなで食べる朝ご飯を片付ければ、すぐに出発できる状態でした。
眠い目を擦りながら、なんとか朝ご飯を食べます。のそのそ食べながら、皆んなの事観察です。
朝から皆んな元気いっぱいです。冒険者も騎士も、それぞれが朝の運動したり、自分の武器のお手入れしたり、皆んないつから起きてたのってくらい元気です。僕は朝ゆっくり寝てたい。オニキスのもふもふに包まれながら、好きなだけ寝るの。
「ほらハルト、頑張って食べろ。もうすぐ出発だぞ。」
お父さんにそう言われたけど、無理なものは無理。ご飯を口に入れたまま、また目が閉じて来ちゃった。
「あんまり早く起きすぎたか?」
「いや、ハルトはいつも朝こんな感じだ。」
「そうなのか。まあ、仕方ないか。ご飯はこの辺で終わりにしよう。俺が抱っこして馬に乗るがいいか?」
「ああ。起きたら今度は俺だ。」
僕の知らないところで、どんどん話が進んでいきます。僕はお父さんに抱っこされて馬に、フウとライは僕のお腹の前、ブレイブはオニキスの上に乗っかりました。
ゆらゆら揺れながら、次に目を覚ましたのは、ほんのちょっと経ってから。お父さんに起こされました。
「ハルト起きろ。森から出たぞ。ここからはこの道をひたすらまっすぐだ。」
目をこすり、周りを見ます。今まであった木がなくなって、草原かな?そんな感じの大地がどこまでも広がってます。そして僕が今いるのは、舗装はされてないけど、綺麗に平らにされた、幅の広い土の道の上です。そして…。
「ふああ。人たくしゃん!!」
たくさんの人や魔獣?が道を歩いていました。馬に乗ってる人や、馬車に乗ってる人、サイみたいな魔獣に乗って移動してる人、後は、たくさんの荷物を積んだ荷台を運んでる魔獣。本当にたくさんの人達が道を行き交ってます。
「皆んな、街や自分の村、それから仕事のためにこの道を使うんだ。ここは1番大きな道だぞ。」
そう言うと、僕達も道を歩き始めました。たまに別れ道になるけど、ちゃんと木の看板の標識があるから、間違えないで歩けます。でも僕達はお父さんが言った通り、ただまっすぐに進むだけ。それでも、初めて見るこの世界の人や魔獣に、それから乗り物なんかに、僕は興奮しっぱなしです。あんまり興奮しすぎて身を乗り出し過ぎて、お父さんに落ち着けって何度も言われちゃったよ。だって楽しいんだもん。
「今日はこの後、小さなクルルっていう街に行くんだ。ちょっと小さい街だが、旅の人達が泊まれる宿が、たくさんあるんだ。」
旅の人達がお休みできるように、そういう街が、所々にあるみたい。へえ、そういうのはちゃんとしてるんだね。でも、道の途中でテントとか張って、野宿する人も多いんだって。お金かかるからね。
「こんな話してもハルト分からないだろう。何かもっと簡単な話をしよう。」
そう言うと、お父さんは、通りすがりの魔獣のこと教えてくれ始めました。本当は話分かってるけど、僕の事考えてくれてるお父さん。ありがとね。
ピィーって声がして、空を見たら、ルティーが気持ちよさそうに空を飛んでます。いいなあ。僕も空飛んでみたい。そう言えば、大きい僕みたいな人間を乗せて、空を飛べる鳥魔獣っているのかな?
「おとうしゃん。ぼくのれりゅ、おおきなとりしゃんいましゅか?」
「ああ勿論いるぞ。でも契約するのが難しくて、上級の冒険者か、小さい頃から飼われてる魔獣がほとんどだな。何だ?乗ってみたいのか?」
「おそら、とんでみちゃい。」
「そうか。じゃあ今度、あいつに頼んでみるか。きっと乗せてくれるぞ。」
「あいちゅ?」
「ああ、俺の弟だ。」
へえ、弟がいるんだね。僕乗せてもらえるかな。楽しみに待ってよう。あっでも、小さい僕でも乗れるのかな?ただでさえたまにオニキスから落ちるのに、空から落ちたら怪我だけじゃすまないよ。お父さん一緒に乗ってくれないかな。
そんな事考えながら、どんどん進んでいきます。同じ景色が続くけど、それでも僕にとっては初めての景色。全然飽きません。道を行き交う人達見てるのも楽しいし。お昼は今日はなしです。道具とか用意してると時間がかかって、今日泊まる街に着くの遅くなっちゃうから。
僕はライネルさんに貰ったあの甘いパンを、馬の上でお父さんに支えられて食べました。おやつです。
そんな事してるうちに、いよいよ街に到着。初めての街です。そして初めての人が住んでる場所です。
街の感じは、昔のヨーロッパみたい?な感じです。それから車とか機械とか、そういうのがいっさいありません。そのかわり皆んな魔法使ってます。うん。オニキスや自分の事考えれば、魔法がある世界なの分かってたけど、他の人達が使ってるのみると、改めて違う世界なんだなあって思います。
魔法使うには魔力石っていう、石が必要です。いろいろな石があって、使いたい魔法によって石が変わります。例えば水なら青い石、火なら赤い石っていう感じ。その人の魔力の多さによって、最大に使える魔法も違ってくるんだって。
面白そうだったから、僕もやってみたいって言ったんだけど、子供は魔力がないから使えないんだって。魔力石が使えるようになるのは8歳から。また8歳。ちぇ~。あれ?でも、僕穢れ祓う事できたよね。あれって確か魔力のはず。お父さんにそう言ったら、お父さんが、その話はお屋敷に行ってからだって。それから他の人達にその事言わないようにって。
どうしたんだろう?何か様子がおかしいけど。でもお父さんがそう言うなら、きっと何かあるんだろうな。ちゃんと言うこと聞いておこう。
今日泊まる宿について、僕とお父さんは2人でひと部屋です。この宿は魔獣も一緒に泊まれるんだって。良かった。バラバラにならなくて。お父さんが居てくれても、やっぱりオニキス達が一緒じゃなきゃね。
夕飯は宿の食堂で食べました。ここでもお肉料理とスープです。騎士も冒険者も、お肉が好きな人が多いんだって。やっぱりって感じかな。
ご飯食べ終わって、ただただ馬に乗ってただけなのに、やっぱり初めての事が多くて疲れたのかな。部屋に戻ってベッドに横になった僕は、すぐに眠りにつきました。