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19領主様とお話しましょう

領主様は僕の座ってる椅子の前の椅子を持ってきて、座ると僕の頭をなでなでしてきました。


「よく遊びに来てくれたな。今日はどうしたんだ。」


「えっと…。」


 何から言えば良いのかな。突然街に連れて行って、なんて言えないし、そもそも連れて行ってもらう前提で話してるけど、本当に領主様連れて行ってくれるかな?僕がなかなか話せないでもごもごしてても、領主様はにっこりしたままずっと待っててくれました。そんな中、オニキスが話し始めました。


「ハルトは恥ずかしがりやだからな。俺が話そう。いいか?」


「ああ、勿論だ。」


 オニキスがこれから僕達がどうしたいか全部話してくれました。昨日僕達が話した事全部です。領主様は話を途中で切る事なく、全部聞いてくれました。それで話し終わってすぐ。


「そうか!街に来てくれるのか。良かった!」


 そう言って、僕の事抱きしめてくれました。もうそれはそれは、すごい勢いで喜びながら。あんまりのその様子に、僕の不安だった心はどっか行っちゃって、逆にちょっと引いちゃった…。え?そんなに僕が街に行くの嬉しいの?

 静かな僕に気づいたライネルさんが、領主様の事引き剥がしてくれました。じぃーと見つめる僕。


「悪い悪い、あんまり嬉しくてな。よし、ハルト!一緒に街に行こうな。それからこれから大事な話をするが大丈夫か。なるべくお前が分かるように話すからな。まあ、オニキスが居るから大丈夫だと思うが。それにお前も歳のわりに、理解能力が高そうだしな。」


 ちょっとギクってした僕。でもそれに気づかれなかったみたいでほっとしました。だって本当はもっと大きい子供です、何て言えないもん。


 それから領主様は、これからの事話してくれました。最初から驚く話だったけどね。何と僕は街へ行ったら、領主様のお屋敷で暮らすんだって。僕のお父さんになってくれるらしいです。領主様はニコニコしたまま、自分がお父さんじゃ嫌かって聞いてきたけど、僕話聞いて固まってたから、すぐに答えられなかったよ。

 だって領主様だよ。お屋敷だよ。今まで地球では小さなマンションに住んでて、叔父さんの家に行ってからは、畳6畳が僕の居ていい場所で、ここへ来てからは洞窟が家で。それなのに突然お屋敷、そして権力者の領主様の子供。びっくりしないはずがないでしょう?


「キアル様、突然お父さんと言っても、ハルト君が混乱するだけなのでは。」


「そうか?まあ、ハルトもこう固まってるしなあ。話を飛ばし過ぎたか?でもなあ、俺はハルトの親になりたいしな。家族になりたいんだ。」


「貴方は全く。ハルト君大丈夫ですか?ここまでのお話は分かりますか?」


 ライネルさんの言葉に、現実に戻って来た僕は、こくこく頷きました。それからちょっと待ってって言って、オニキス達とテントの隅に行って、円陣を組みました。今の家族だけのお話し合いです。聞こえないように小声でね。

 オニキスもフウ達も皆んな、僕が決めて良いって。オニキス達は取り敢えず、領主様の事は認めてるみたい。僕の事2回も助けてくれたから。それに、その後のご飯の時とかも、優しくしてもらったからね。


 どうしようかな?僕が領主様のお屋敷で暮らすのか…。全然想像出来ないんだけど。でも優しいのは本当だと思う。だって会ってまもない僕にここまでしてくれて、今は家族になりたいとまで、言ってくれてるし。

 チラッと領主様を見ます。ニコニコ顔の領主様。早く了解しろって感じです。うーん。そして僕は決心しました。

 僕は領主様の所に戻って、領主様の前に立ちました。それからお辞儀して挨拶しました。


「よろちく、おねがいちましゅ。」


 その途端にまた、あのもの凄い勢いの抱きしめにあいました。でも、なんか嬉しいからいいか。今度はビックリしないで、僕もニコニコしたまま領主様の事、ぎゅうううって抱きしめ返しました。

 あれ?でも大丈夫なのかな?他の家族の人とか、僕が突然お屋敷に行って、ビックリしない?何とかその事、領主様に伝えたら大丈夫だって。もう手紙出して、その答えも貰ってるからだって。

 は?いつの間に?だって出会ってまだ何日?それに今、僕街に行くって言ったよね。これはずっと後に知ったんだけど、この時領主様、僕と出会ってすぐ、保護して家族にしようと思ったらしくて、その日のうちに部下に頼んで、家族に手紙持って行ってもらったんだって。それからこれからお母さんになる人の契約魔獣が、領主様に手紙届けてくれて、了解を貰ってたんだって。

 もし僕が街へ行かなかったら、どうするつもりだったんだろう。


「さあ、街へ行って、家族になるのは決まったし、ハルト。これからは俺のことお父さんって呼んでくれ。」


 そうだね。これからは家族だもんね。領主様って呼んだらおかしいよね。僕は、


「おとうしゃん。」


 って言いました。何かちょっと恥ずかしいけど、嬉しいなあ。お父さん。久しぶりのお父さんです。お父さんって言ったのいいけど、お父さんの反応がありません。どうしたのかと思って顔を見てみたら、何か今度はお父さんが固まってました。なのでもう1度、


「おとうしゃん?」


 って呼んでみました。その途端、お父さんにまたぎゅうううってされました。それから、


「うん!いい!お父さん良いな!完璧だあ!!」


 凄いはしゃぎようでした。それに僕はまたしんっ…、てなっちゃいました。うん、この勢いについて行けない…。この後すぐ、お父さんがライネルさんに怒られるのは、言うまでもないけどね。

 そんなこんなで、僕はこの世界に来て、初めて人と家族になりました。急な展開でちょっとビックリだけど、でもそれ以上に嬉しくて楽しみです。こんなに喜んでくれるんだからね。

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