15ちょっとドキドキ
あれ?何かふわふわする。僕どうしたんだっけ?僕はふっと目を開けました。霞む目をゴシゴシこすり周りを確かめると、オニキス達が僕のこと覗き込んでました。
「どうだ?苦しくないか?」
「ふえ?」
「ハルト病気で咳コンコンしてたんだよ。覚えてる?」
そう言えば朝から具合が悪くて、咳は止まんないし、熱でフラフラだったはず。でも今は何ともない。元気です。もう治ったの?フウ達のお友達が治してくれたのかな。ちゃんとありがとう言わないとね。
「ようしぇいしゃん、なおちてくりぇまちたか?ありあというでしゅ。どこいるでしゅか。」
そう聞いたら、オニキスがちょっと待ってろって。それから外に出て行って、すぐに戻ってきました。外に誰か居るみたい。僕のこと治してくれた妖精かな?僕は立ち上がって、皆んなと一緒に外へ。体はいつも通りのお子様な歩き方。フラフラしないから大丈夫。
オニキスがびっくりしても俺達がいるからなって。え?誰が居るの?何か怖い魔獣でも居るの?ちょっとドキドキにながら外に出ました。外にいたのは、この前の男の人達でした。僕の近くにいた2人です。バッてオニキスの後ろに隠れました。
「ハルト、この前みたいに、この人間が治してくれたんだ。」
僕はやっぱりこの間みたいに、しっぽの陰からチラチラ見てそれからありがとうを言いました。ちゃんとお礼は言わなくちゃ。
「ありあと。」
そう言って、またサッて隠れました。だってなに話していいか分かんないんだもん。オニキス達との生活に慣れちゃったから、逆に人が何か苦手?そしたら男の人の1人が話しかけてきました。
「こんにちは。体はもう大丈夫か?俺の名前はキアル。君の名前は?名前言えるか?」
「…ハリュト。」
「ハリュト…。ハルトか。ハルト、近づいてもいいか?」
僕は一瞬だけびくってしたけど、しっぽから顔出して頷きました。オニキスは何も言ってないから、大丈夫なんだよね?キアルさんがゆっくり近づいてきて、僕に目線を合わせるようにしゃがんでくれました。それから僕の頭をなでなでしました。
「うん。顔色はいいな。このロードファングが君のために、俺達を呼びに来たんだ。ちゃんとお礼するんだぞ。俺の言ってること分かるか?」
そっか。そうだよね。オニキス達にもちゃんとお礼しなくちゃ。心配かけちゃったし。僕がオニキス達にありがとうって言ったら、家族なんだからあたり前だって。僕それ聞いて嬉しくてニコニコです。ふへへって笑ったら、フウ達もふへへって。そしたらキアルさんがボソッと小さい声で可愛いって。誰が?フウ達?そうでしょう。フウもライもブレイブも、とっても可愛いでしょう。オニキスはカッコいいだけどね。
キアルさんが、僕とお話したいって。何か聞きたいことがあるみたい。家に皆んなで入って、お話する事にしました。
どうしてここにいるのかとか、家族は居るのかとか、ここでいつから暮らしてるのかとか、いろいろ聞かれました。どうしてここに居るのかは、多分言っても信じてもらえないだろうから、分かんないって言っておいたよ。それから家族はもちろんいるって。オニキス達は僕の大切な家族だよ。いつからって言うのは、この前って言っておきました。だってもう何日過ぎたか分かんなかったし。それでいいよね。
あとは歳とか、いつも何食べてるとか、そんな感じ。何でそんな事聞くんだろうね?たくさん話して、ちょっとお腹空いちゃった。だって朝ご飯食べてないんだもん。僕のお腹がくう~ってなりました。
「おなか、しゅいたでしゅ。」
「ああ、そうか。朝ご飯まだだったな。どれ今日はどの木の実を食べる?」
「ああ、それなんだが。俺達の所でご飯食べないか。ハルトはもう回復したとはいえ、一応用心はしたほうがいい。俺達のテントの所には、薬草の入ったスープがある。どうだ。来てみないか?」
薬草のスープ?何か苦そう。でも、いつも同じご飯が多いから、ちょっと食べてみて、これから僕達のご飯にしてみてもいいかも。火とかオニキスいるから大丈夫だし、鍋は…、鍋はあの花の器使えないかな。あの花、固まると全然燃えないから、いいと思うんだよね。
オニキスの方チラッと見ます。オニキスは僕が行きたいなら良いぞって。うん、行ってみよう。キアルさんは良い人みたいだから、きっと他の人達も大丈夫だよね。僕は小さい声でオニキスにそう言いました。そしたらオニキスは、何かあれば守ってくれるって。俺が負けるはずないだろうって。だよね。
「いきまちゅ。おなかしゅきまちた。」
「よし。じゃあ行こう。」
僕達はオニキスに乗って、キアルさん達は歩いてテントのある所まで行きます。僕の家に来たときは、オニキスに乗せてもらってすぐ着いたのにって、ぶつぶつ言ってました。それからもう1度乗せてくれないかって、オニキスに頼んでました。でもオニキス、あのときは緊急事態だったって、今お前達を乗せる理由はないって言って2人でケンカしてました。もう、仲良くなったんだね。だって乗せるか乗せないかって、どうでもいいようなケンカ出来るんだから。
うん。でもキアルさんの言う事分かった気がする。けっこう遠かった。でも、無事に?テントの所まで着きました。キアルさんがちょっとここで待ってろって。テントの前に行く前に僕達を止めて、先に2人だけ行っちゃいました。少しして、来ていいぞってキアルさんの声がしたから、オニキスに乗ったままテントの前に進みます。テントの前にはたくさんの人達が立っていました。




