142ついに始まるカウントダウン
新しく運ばれてきたマレーを、全部綺麗に食べ終えた僕。でもさすがにちょっと食べ過ぎたかな。お腹パンパン。本当はデザートに果物盛り合わせがあったんだけど。お父さんがね、新しいのを開会式が終わる前に買って、持って帰って食べれば良いからって。お父さん達が全部食べちゃいました。
そう、フウ達も色々食べ過ぎちゃって、みんな果物食べられなかったんだ。
フウ達はお腹をポンポン叩きながら、みんなでオニキスに寝転びます。お母さんが下の所に隠れれば、他からは見えないから、僕もオニキスに寄りかかってても良いって。僕も椅子から下りて、一緒にオニキスのお腹の所でごろん。
寝転がる前に周りを見たけど、まだまだ入場は続いてて、もう少しかかるみたい。
「ハルトちゃん。みんなも。お腹いっぱいで眠くなっちゃったら、寝ていても良いわよ。まだ時間がかかるみたいだから」
うん。ゴロゴロしてたら、眠くなってきちゃったんだ。ウトウトしてるのを見て、お母さんが寝ても良いって言ってくれたの。でも…。僕起きれなかったらどうしよう。だって今日は特別なんだよ。いつもみたいに起きれなかったらって。
「大丈夫よ。夜みたいにしっかり寝る訳じゃないのだから。お母さん達が絶対に起こしてあげるわ。少し早く起こせば目が覚めるでしょう?」
お母さん、絶対だよ。必ず起こしてね。みんなでブラウンさんに貰った箱を開ける予定だったけど、先に寝ちゃおうって決まって。僕達はすぐに寝ちゃいました。
「これだけ騒がしいのに、良く寝られるな」
「良いじゃない。これくらいの子はこんなものよ」
僕達が起きたのは、周りが完全に暗くなるちょっと前でした。朝みたいに2度寝はしなかったよ。しっかりパッチリ起きられたんだ。お父さんが珍しいなって。僕もそう思います。
それで起きた僕は、すぐにスタジアムを眺めました。そしたら寝る前は埋まってなかった座席が、全部埋まってる感じで。それに色々な所で色々な光の玉が飛んでて、スタジアムの中がとっても綺麗に輝いてました。暗くなってきてすぐに、魔法でキラキラにしたんだって。
そして結局、開会式は予定の時刻から、かなり遅れた時間に開始されることに。地球でいう2時間遅れって感じかな。あと、1時間間くらいで始まるって。と、その前にトイレトイレ。だって、開会式の時に行きたくないもん。
お父さんとお兄ちゃんと一緒におトイレに行きます。僕達が居る方のトイレはそんなに混んでなくて、すぐに出てこれたんだけど、ちょっと一般の人達の居る階を覗いたら、トイレの列が大変な事に。最後尾が見えなくなってて。あっ、でも小さい子ように、別にトイレが用意してあって、そっちは混んでなかったから、困ってはないみたい。うん、これならみんなお漏らししないから良いね。
トイレから戻った僕達は、後少し待つ間、ブラウンさんに貰った箱を開ける事に。中にはたくさんのお菓子が入ってました。お菓子の詰め合わせだったよ。帰ってからみんなで分けることにしました。
そしていよいよ開会式まであと少しになった時、一斉に夕ご飯が運ばれてきました。僕達の所だけじゃありません。他の人達の所にも、どんどん運ばれてきて。こう流れ作業みたいに、台に沢山ご飯を乗せて来て、それをどんどん係りのお兄さん、お姉さんたちが配っていくの。
あっという間に、みんなの所にご飯が並びました。たぶん反対側の方も同じだろうってお父さんが。
僕の夜のご飯は、お子様ランチみたいなやつでした。丸いご飯の上にドラゴンの絵の描いてある旗が刺さってて、ポテトフライにハンバーグ。それからエビフライ?にサラダ。ミカンみたいな果物が乗ってて、それからハート型のプリン。ね、お子様ランチでしょう?
お父さん達はステーキセットって感じ。ステーキ、ポテト、ご飯、サラダにスープに果物ね。
ちょっと体を乗り出して、他の席を見てみたら。他の人達も同じご飯でした。急きょ決まったんだって。込み過ぎでしかも時間が伸びちゃってたから、これ以上何も面倒な事が起きないように。大人はこのご飯、子供はこのご飯って。その方が楽だしね。
一緒に運ばれてきたジュースを飲みながら、後少しに迫った開会式を待ちます。ジュースとお父さん達の飲み物は、別に所に置いてあるから、ご自由にいくらでもってなってて。飲み放題みたいになってるんだ。
ドキドキしながら、カウントダウンが始まるのを待ちます。そしてそれはご飯が運ばれてきて、本当にすぐでした。スタジアムの中心、グラウンドから、大きなシャボン玉みたいなのが10個から15個くらい飛んできて。そのとたん、スタジアムの中が一気に盛りあがりました。
「ハルト、始まるぞ。あのフワフワ浮かんでいる物が全て割れたら、開会式の始まりだ」
お父さんがそう言ったら、1つのシャボン玉がすぐに割れました。次々に割れ始めるシャボン玉。あっという間に残りは8個に。割れるにつれて、観客席もどんどん盛り上がって。僕は少し乗り出しながら、シャボン玉を見つめます。
そしてシャボン玉が残り5個になった時でした。