140混み合うスタジアム
テイリーさんを見つけた僕。すぐにテイリーさんの所行きたかったけど、ここでも少し待つことに。一般の人じゃなくてお父さん達みたいに貴族の人ばっかりだから、そんなに混んでないと思ってたんだけど、そうでもなかったです。家族で来てるからね。僕達だって考えたら3家族一緒で、しかもフウ達も居るし。そりゃあ混むよね。
でもまぁ、入口の事考えたらこんな短い列、どんどん進んじゃって、すぐに僕達の番になりました。
「テイリーしゃん、おはよごじゃいましゅ」
ん? おはようございます? 今はお昼で、あれ? でもさっき僕起きたし? 考え込んでたら、お父さん達に笑われちゃったよ。
「確かにハルトはさっき起きたからな。『おはようございます』も間違ってないな」
「ハルトちゃん、今はこんにちはよ」
そうだよね、こんにちはだよね。変な時間に起きたから、挨拶が変な事になっちゃったよ。
「ハルト君こんにちは。入口大変だったでしょう?」
「ぼく、ねてちゃ」
「そっか。なら大丈夫だったかな?」
「テイリーずいぶん混んでるな。こんなに入場に時間がかかったのは初めてだ」
「私達が把握していたよりも観客が居て、急きょ観客席を増やしたんです。その工事のせいで、入場が遅れてしまって。それと今日の昼食と夕食なのですが、皆様にはお席にて注文していただくことになりました」
いつもだったら席で注文しても、買いに行っても良かったでしょう? でも今日は混み過ぎてて、一般の人達と貴族の人達と別けたんだって。ここに来てる時点で、一般の人達と一緒に買ったり食べたりする事、みんな気にしてないんだけど、あんまりにも一般の人達が多いからね。
そんなお話してたら、テイリーさんの所に別の係りの人が、慌てて駆け寄ってきました。それで僕達にお辞儀した後に、テイリーさんに何か言ったら、テイリーさんの顔が一瞬鋭くなって、それからすぐにやれやれって表情に変わりました。レイモンドおじさんがどうしたんだって聞いたら、
「ドルサッチが入口で騒いでいるようで」
またドルサッチだよ。なんか入口でもめてるんだって。せっかくの開会式の日に。何でそうもめるかな。お父さん達もため息です。
「私はちょっと行って来ますので、彼に席まで案内を」
別の人達を座席におくって来たお兄さんが、僕達にお辞儀します。
「私も行こう。少しでも早く片付いた方が良いからな」
「では俺も行こう」
レイモンドおじさんとペインおじさんが、テイリーさんと一緒に行くことになりました。3人が階段を下りて行きます。僕達はお兄さんにくっ付いて、自分達の席に。席に着いたらまず僕達は、手すりにつかまって、グラウンドの方を見ます。でも僕の背だとちゃんと見えなくて、すぐにオニキスに乗っかってグラウンドを見ました。
もうかなりの人達が、席についてご飯食べてたり、一般の人達の方でもみんながぎゅうぎゅうに詰まって座りながら、ご飯食べたりしてます。ああ、本当にいよいよ始まるんだって感じの雰囲気。わくわくしちゃいます。
でも反対側の方は、まだあんまり人が座ってませんでした。お父さんに聞いたら、順番に入口から遠い場所から人を入れていってるから、向こうはこれから人が入るんだって。
お話してたら席の壁が外れて、イーサンさん達と、ルイチェルさん達が見えるように。あのね壁の所、窓みたいにはずせるようになってたんだ。壁は完全には外せないけど、こうやって少しだけ窓みたいに外せるようになってるから、仲の良い貴族同士、一緒に観戦できるんだって。この前のスタジアム見学ツアーでは、この窓の事聞かなかったよね。
「食事のメニューになります」
案内してくれたお兄さんが何個かメニューを渡してきて、みんながそれを順番に見ます。僕は読めないからね、お母さんが説明してくれて。色々な物があったけど、お昼からステーキとかは…。
だから僕はあのお気に入り、カレーに似てるマレーを食べる事にしました。アレとっても美味しいからね。何回でも食べられちゃうよ。
お父さん達もそれぞれ注文して、フウ達の分も注文して、お兄さんがお辞儀して戻って行きました。
注文が終わったら、グレンが僕のこと呼びました。
「ハルト様、お食事が終わりましたら、カバンをこちらへ」
グレンが座る場所の隣。壁と席の間に少し隙間があって、そこに荷物を置いてたグレン。その荷物の上に、ブルーベルの入ってるカバンを乗っければ、もし向こうの席からこっちを見られても、カバンが乗ってるって思われるだけだし。ブルーベルもその場所からだったら、僕がカバン持ってるよりも、しっかり観れるだろうからって。ご飯の時は僕の足元で、隠れてご飯食べれば良いしね。良かった。ブルーベルがゆっくり観られそうで。
試しにカバンを荷物の上に置いてみます。小さな声でブルーベルとお話。
「ちゃんとみえりゅ?」
『うん、バッチリ!』
良し、ブルーベルの席決まり!
それからすぐでした。レイモンドおじさんとペインおじさんが戻って来ました。
「お兄様早かったですね」
「ああ、私達が何かする前に、ブラウン殿が対処していた。たまたま奴の近くに並んでいたらしい」
ブラウン? また新しい人の名前が。ここに来てからいろんな人に会うね。ブラウンさんには会ってないけど。
その話を聞こうとしてたら、今度は料理が運ばれてきて、ご飯を食べながら話をすることに。僕の前にはマレーが。う~ん。良い匂い。