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137褒めてご褒美作戦

「ヒューイ、いまはれんちゅ、だかりゃダメ。でもおわっちゃらいい。オニキスはヒューイにいじわりゅダメ。みんななかよち」


 それからも僕は付け加えます。ヒューイにはこれ以上僕の練習邪魔したら、僕がお父さんにこの前お願いしておいた、お酒やお菓子あげないって。


『ふむ。それは困るな』


 ヒューイが僕の話に、貰えないのは困るとか、今日も酒を飲みたいとか、ブツブツ言いながら静かになります。


 それからオニキスには、まぁ、これは僕やみんなのためでもあって少し可哀想なんだけど。ヒューイを大人しくさせておくために、僕のことかしてあげてって。だってふてくされてヒューイが本当の魔獣の姿のまま、街の中を歩かれたら大変。ドルサッチ達のこともあるし、今は目立つことは良くないでしょう。

 だからオニキスに少しヒューイの言う事、聞いてあげてって。その代わり後でたくさんなでなでしてあげるから。それに心の狭いオニキスなんて嫌いだよって言いました。


『ハルト、それはスペシャルなでなでか』


 オニキスが聞いてきます。スペシャルなでなで。それは頭をなでなでするだけじゃなくて、お腹でしょう、背中でしょう、頭でしょう。そう全部なでなでしてあげる事。僕が特別な時にだけしてあげるなでなでのことだよ。オニキスこれ大好きなんだ。


「うん、しょれ」


『こいつの前でやるか』


「…」


『おい、そのスペシャルなでなでとは何だ!? オレも言う事を聞いたらやってもらえるのか!?』


『何を言っている。これをやってもらえるのは、ハルトの家族の俺達だけだ。お前は関係ないだろう』


『そんなことないだろう? オレも今お前達のために頑張って色々やっているのだからな。オレもしてもらう権利があるはずだ!』


 また言い合いが始まっちゃいました。もう、せっかく静かになりかけてたのに。しかもさっきの話と変わってるし。僕を背中に乗せるのでケンカしてたんじゃないの? 


 わぁわぁ言い合うオニキスとヒューイ。僕だんだんとイライラして来ちゃいました。せっかくようやく練習の時間ができたのに、オニキスとヒューイのケンカにかまってる場合じゃないんだよ。もうすぐ大会が始まるんだよ。子供用のメダルだけど、僕はちゃんと上位に入って、みんなでメダルを付けたいんだよ。


「もう! ケンカはダメ!! ケンカしゅるなら、なでなでもおかちもおちゃけも、じぇんぶなち!!」


 フンッ!!って2匹の前に立って睨みます。そんな僕の隣にフウ達が集まって来て、僕と同じ格好して、フンッ!!って立ちました。


『そんな! ハルト、今回は奴が悪いんだ。俺達の邪魔をしてくるから!』


『お前の心が狭いのがいけないんだろう!!』


「ダメ!! もうなでなでなち!!」


 しゅんと静かになる2匹。ヒューイはガックリしたまま、テーブルの所に行って、テーブルの下に潜って寂しそうに伏せします。

 オニキスはまた練習のために僕を背中に乗せたんだけど、やっぱりしょんぼりしてて、今までの元気が。これじゃあ練習にならないよ。僕はため息です。


 そんな事してたら、ロイと剣の練習してたお兄ちゃんが僕の所に。僕にお話だって。オニキスから下りる僕。オニキスはなんだかんだ、ヒューイとケンカしてるのに、隣のテーブルの下に行って、寂しそうに伏せして。2匹ともそっくり。


「ハルト。それだと2匹が元気なくて練習にならないよ」


「う、げんきない。れんちゅうダメ」


「こういう時は、ダメじゃなくて、後でたくさんなでなでしてあげるから、今は僕の言う事聞いてって言うんだよ。えっとね、お母さんが言ってたの」


 前に今のオニキス達みたいなの見た事あるって。どういうふうにそうなったか分かんないけど、お父さんが今のオニキス達みたいに、ふてくされて、寂しそうな顔して、休憩室のソファーに座ってた事があるんだって。


 何かお母さんに怒られたみたい。それでふてくされて、お母さんが用事から帰って来て、そんなお父さんを見て、最初は無視してたんだけど、いい加減面倒くさそうな顔したお母さん。お父さんの所に行って、何か言いました。


 それを聞いてすぐにお父さんは元気になったんだって。それですぐに仕事に行ったお父さん。お兄ちゃんがお母さんに、お父さんに何言ったのか聞いたら。


「いい、叱ったり、罰を与えたりするばかりじゃなくて、褒めて調子に乗らせて、早く仕事をさせるのも、大切な作戦なのよ。あのまま、ここでいじいじしていたら、いつまで経っても仕事が終わらなくて、他の人に迷惑が掛かってしまうわ」


 お母さんの話を部屋にいたグレンも聞いてて、


「奥様、それは教育の一環としてやることでは?」


「あら、同じようなものじゃない」


 って。お兄ちゃんはそうお母さんに教えてもらったみたい。グレンの言う通り、それって僕達みたいな子供に、褒めて育てるみたいなやつじゃ…。お父さん…。

 はぁ、でも、オニキス達がしょげてたら練習にならないから、僕もそれやってみようかな。褒めるっていうか、ご褒美っていうか。


 僕はオニキス達の所に。それでも2匹に言いました。オニキスは練習を頑張ってくれて、ヒューイはその間だけでも静かにしててくれたら、2匹ともスペシャルなでなでしてあげるって。でも煩くしたり、ケンカしたら2度としてあげないって言いました。


 そのとたんピシっとなる2匹。まだお互いのこと睨んでるけど、しっぽをブンブン。これなら何とかなりそうだね。うん、褒めてご褒美。これからはこの作戦で行こう。


 お母さんの教えで褒めてご褒美作戦に変えた僕。その後の練習は、何事もなく順調に進めることができました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新、お疲れ様です\(^_^)/ ハルト、上手くオニキス達の手綱を取る練習をしていますね( *´艸`)
[一言] お疲れ様ですm(*_ _)m ハルトくんは、必殺!飴と鞭!!を覚えた!
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