125見学ツアーのその夜は?
「ふわわぁ」
あれ? 僕いつ寝たの? 欠伸をしながら周りを見たら、いつの間にか僕はベッドの上。僕スタジアム見学ツアーに行ったよね。それからたくさんお買い物したし、オニキス達に新しい首輪選んであげて。それから夜のご飯買ってなかったっけ?
キョロキョロする僕。でも周りは暗いし、お兄ちゃんやフウ達もグーグー寝てるし。もしかして全部夢だった? これからスタジアム見学ツアーに行くんだっけ?
そんな事考えてたら、オニキスとヒューイが僕が起きたのに気が付いて、僕の所に来てくれました。
「ハルト起きたのか? まだ夜中だ、もう1度寝るといい」
「オニキス、しゅたじあむいっちゃ? おかいものちた?」
「何だ、寝ぼけているのか? ハルトは夜のご飯を買っているうちに寝てしまったんだ。見学ツアーの帰りにな」
ふう、夢じゃなかったみたい。オニキスとヒューイがカッコいいだろうって、格好つけてポーズをとります。それから僕の隣に置いてあるオニキスのぬいぐるみにもちゃんと首輪が付いてました。
そっかぁ、僕帰ってる最中に寝ちゃったんだね。帰りに? 僕それからずっと寝てたの? そう考えたら急におトイレに行きたくなっちゃったし、ついでにお腹も空いてきました。
「オニキス、トイレ」
「分かった」
オニキスがベッドの横に立って、僕はそのままオニキスの背中に乗っかります。いつも通りなぜかおトイレが気に入ってるヒューイも付いて来て、小さい明かりがついてる廊下を3人で進みました。
おトイレが済んで、ふぅ、スッキリ! スッキリしたら余計にお腹が空いてきちゃったよ。オニキスにまた乗って、厨房に行ってみます。オニキスが誰も居ないぞって言ったんだけど、確か厨房に果物が置いてあったんだよね。それが残ってないかと思ったんだ。
それで行ってみたんだけど…。何でいつもあって、料理人さんがいつでも食べて良いよって言ってくれてるのに、今日に限って何にもないの? いつも果物が入ってるカゴの中に何も入ってませんでした。
「ない」
「綺麗に片付いているな」
「何だ、何もないのか。ハルト、俺が魔獣を取って来てやろうか?」
何言ってるのヒューイ。こんな夜中に何しようとしてるのさ。大体魔獣捕まえてきてだれが調理するの。
ヒューイの背中をパシっと叩きながら、今度はご飯を食べる部屋に。あそこにはいつもお菓子が置いてあったはず。
で、ご飯を食べる部屋に到着したんだけど…。もう何で今日はなにも置いてないの! 何にも置いてなくてしょんぼりです。
何にもなかったせいで、余計お腹が空いちゃった僕。ガックリしながらお部屋に戻ります。
階段の所まで来たときでした。
「ハルト、何をしているんだ?」
レイモンドおじさんが階段を上ってきました。手にはたくさんの袋を持ってます。しかもその袋から良い匂いが。
近づいて袋をクンクン。オニキスもヒューイも。
「ハルトが帰って来るとき寝てしまってな。今起きてお腹が空いたと言うから、厨房と食堂を見てきて、何もなくてしょげて部屋に戻るところだったんだ」
「そうなのか? じゃあ食堂に戻ってちょっと待っててくれ」
レイモンドおじさんが階段を上って行きます。僕達はUターン。ご飯を食べる部屋に戻ります。
ライが居なくて暗くて、さっきも廊下の薄明りだけで部屋の中を見てたんだけど、この薄暗い部屋で待つ? うん、ドアの前で待ってよう。
少しして廊下を歩いてくる足音が。何人かこっちに歩いてきます。
「キアル達が来た」
あっ、ほんとだ。お父さんとレイモンドおじさん、それからグレンが向こうから歩いてきました。
「ハルト、部屋の中で待ってろと言っただろう?」
「フウが居なくて、中はほぼ真っ暗だったからな。ここで待っていたんだ」
「ああ、そうかすまんすまん」
「ハルト、お腹が空いたって?」
お父さんが僕のことを抱っこしながら、部屋の中に入ります。それですぐに魔法で部屋の中を明るくしてくれました。そのとたん僕のお腹がグ~って鳴って。
「ハハ、グレン、じゃあ頼む。ハルトはかなりお腹を空かせているようだ」
「畏まりました」
グレンが部屋を出て行って、戻って来るまでレイモンドおじさんに、見学ツアーにお話しました。それでオニキス達の首輪を見せてオニキス自慢をします。そしたらその調子で魔獣自慢大会も頑張れって言われました。
そうだ! 見学ツアーが終わって少ししたら、大会が始まるんだった。オニキスとブレイブ達と魔獣自慢の練習しなくちゃ。
「私に今したようにできれば良いと思うぞ。ハルトのオニキス達に対する思いが伝わって来たからな」
そう? 良し! この調子で頑張って練習しよう。
少ししてグレンが戻って来ました。オニキスの絵がケチャップで描いてあるオムライスと、ジャガイモスープを運んで来てくれて。グレンが作ってくれたんだって。それからスープはさっきレイモンドおじさんが持ってた袋にはいってたやつ。
グレン料理まで完璧なんだね。オムライスとスープを飲んで、ご馳走様したらまた眠くなってきました。うとうとしながらレイモンドおじさんにおやすみなさいして、お父さんと歯磨きしに行って。それで部屋に着くまでにまた寝ちゃった僕。
朝、起きるのが大変だったことは、いうまでもありません。