119スタジアム見学ツアー1
「まずはツアーを始める前に、私は今日と明日、案内をさせていただきますテイリーと申します。よろしくお願いします」
お兄さんの名前はテイリーさんでした。テイリーさんが先頭で裏口から中に入って行きます。中もやっぱりたくさんの人が、大会の準備をしていました。
僕達は邪魔にならないように、壁にそって進んで行きます。進みながらもいろいろ説明してくれるテイリーさん。
このスタジアムにはこういう入口が、他に3か所あるんだって。今入ってきた入口が1番広い入口。大きなものは大体ここから中に入れます。
グッズとか、みんなが試合を観戦しながら食べるご飯とか、飲み物とかは別の入口から。他のこまごました物も、他の入口から中に入れるんだって。
中に入って最初のドアが見えてきました。ドアは2つ。1つは大きいドアで荷物を運ぶ方。こっちのドアはずっと開けっ放しです。
もう1つが今から僕達が入るちょっと小さいドア。テイリーさんがドアを開けたら、廊下と何個もドアが見えました。
「お入りください」
みんなが中に入ったのを確認して、ドアを閉めるテイリーさん。
「ここはスタッフが休憩する部屋や、そのレベルに応じて、参加者が待機する部屋があります」
他にも参加者が待機するお部屋があって、ここは1番レベルが下の人達が、何人かまとめて待機するお部屋が集まってるんだって。
テイリーさんがお部屋の中を見せてくれます。中にはテーブルと椅子が何個か。大会が始まったら大会の係りの人達が、お部屋にご飯とか、飲み物とか運んでくれます。
「こちらの部屋もどうぞ」
すぐ隣のお部屋に移動、そのお部屋の中には、トンカチとか工具がいっぱい。武器に何か不具合が生じたときに、すぐに対応できるように、大会が始まると、ここに職人さんが居てくれるんだって。
もちろん他にもこういう職人さんがいるお部屋はあるけど、職人さんにもレベルが。お父さん達みたいに強い人達には、それ相応の武器じゃないといけないから、職人さんも腕のいい人が待機してくれるんだって。
「質問はありますか? ないようでしたら、次へ移動します。明日はキアル様方の待合室を案内しますね」
お部屋から出て、どんどん廊下を歩いて行きます。少し行くと廊下が分かれてて、左は今見たお部屋がまだたくさんあって、真ん中は試合のグラウンドに向うための廊下、右の階段がこれから僕達が行く方です。
「この階段を上がって、客席の方へ行きます。ハルト君は大会に参加するんですよね。宝探しゲームもありますから、しっかり見学して、宝探しゲームを有利に進めちゃいましょう」
そうだ! それもあったんだった。良し、しっかり見ておかなくちゃ。
って、張り切ってたんだけどね、僕は今フーフーです。階段の段差が高いし、5階まで上がらないといけなかったの。最初はなんとか上ってたんだけど、2階で今もうフーフーです。
『ハルトがこのまま上ってたら、いつたどり着けるか分からないな』
オニキスがいつもみたいに、僕のお洋服を咥えます。スノーたちはオニキスの背中に乗っかって、オニキスがひょいひょい階段を上ってくれました。うん、上ってくれたの。1回のジャンプで1階部分を上って、さらに次も1回で上って、お父さん達置いて来ちゃった。
「オニキス!!」
お父さんの声が聞こえて、その後にテイリーさんの声が。
「ハルト君、ドアの前で待っていてください!!」
その声の後にすぐ、ディアンとヒューイが上って来て、またお父さんの怒鳴る声が。テイリーさん今頃驚いてるんだろうな。いくらこの世界の人達の動きがおかしいとしても、こんなに簡単に階段上ってくる人いないよね。
その後もササっと階段を上っちゃったオニキス達。そして後から追いついたお父さんに怒られたのは言うまでもありません。お母さんが怒るのは後よって。そうそう、見学の時間が無くなっちゃう!
テイリーさんが苦笑いしながらドアを開けます。
「さぁ、ここからは客席ですよ。1番上の階まで来たので、スタジアム全体が良く見えます」
テイリーさんが中に入って、次が僕達。それからみんながぞろぞろドアから中へ。
「ふわあぁぁぁぁぁぁっ!!」
『しゅごいねぇ!!』
「ライ見て! あっちに大きな旗がある!」
「ほんとだ。あっ、そっちにはドラゴンの大きな像が置いてあるよ!」
『『キュキュイ!!』』
「僕達の像もあるよ」
すっごく大きくて、たくさんの客席があって、オニキスが僕のこと咥えてくれなかったら、僕椅子のせいで、周りが見えないところだったよ。
フウ達が言ったみたいに、像とかもたくさんあって、僕見たいものたくさん。オニキスが下ろしてくれて、僕は一気に走り始めました。僕の後をスノー達も走ってついてきます。
「ハルト待ちなさい!!」
お父さんの声が聞こえたけど、お子様の僕がそう簡単に止まれるはずありません。そう、止まれなくてね、思いっきり転びました。
どしゃあぁぁぁぁぁぁっ!!
「うっ、いちゃ…いちゃい、いちゃ…。ふえぇ」
オニキスが慌てて僕の所に来てくれて、お父さんもすぐに来てくれます。それで僕のことを抱っこして、
「だから待ちなさいっと言っただろ!」
思いっ切り怒られました。