117スタジアム見学ツアーの準備をしよう!!
ついに明日はスタジアム見学ツアーの日。そして嬉しい事がありました。嬉しい事? 嬉しい話?
朝、いつもにみたいにこっくりこっくりしながら、朝のご飯を食べてた僕。あ僕でもお父さんが明日のことをお話始めたらちょっとは目が覚めたんだけど。アレを聞いたとたん、完全に目が覚めませた。
なんとスタジアム見学ツアー、1日だけで終わるんじゃなかったんだ! なんと2日かけてスタジアム見学するの。
そのこと聞いて完全に目の覚めた僕、お父さんに駆け寄ります。そんな僕を軽くひょいと抱っこするお父さん。僕を自分のお膝の上に乗っけます。
「ハハっ、目が覚めたみたいだな。見学ツアーは見る所がいっぱいだからな。2日間に分けて見学するんだ」
1日目、明日見学するのはスタジアムの外壁と、中の客席と、スタジアムの中に最初から設置してある、スタジアム限定の商品を置いてあるお店見学。
2日目が、お父さん達が自分の試合が始まるまで待ってる控室、それから実際に試合をするウラウンドの見学です。ちびっ子レースをする僕にとっても、このグランドはちゃんと見て置かないとね。
ちゃんとガイド付きだから、説明聞いて自由に見学してると、とっても時間が掛かっちゃうから、みんながゆっくり見学できるように、2日間に分けて見学するんだって。
まさかの2日間のスタジアム見学ツアーに、僕のテンションは最高潮です。足を激しくぶらぶら、お父さんの僕を抱えてる手をバシバシ叩いちゃったよ。
「ハルト落ち着け。そんなに興奮すると、また鼻血出すぞ」
「あなたが言うからじゃない。明日終わったら次の日も見学だって言えばよかったのに」
「いや、思わずな」
話を聞き終わった僕達、明日の見学ツアーのための準備のために、お泊りしてるお部屋に直行します。あんまりはしゃいで走ったりスキップしてた僕。廊下の途中で思いきり転んじゃいました。ズシャアァァァァァァッ!! って。
「うっ、いちゃ…」
「ああ、もう、走っちゃダメって言ってるでしょう」
僕のお洋服を咥えて起こしてくれたオニキス。僕は咥えられたままぶらんぶらん揺れながら、痛くてお母さんにも怒られて、自然と涙が。
打ち付けた膝をお母さんが冷やしてくれて、イーサンさんが痛くなくなる薬くれて、何とか怪我が治った僕。オニキスがぶらぶらしたまま僕を部屋まで運んでくれます。
部屋に入ってすぐ、お母さんがヒューイのことを呼びました。ちなみに今ヒューイは魔獣姿に戻ってます。お外に出るときは人の姿に変身するんだ。この前買ってもらった、ヒューイ専用おままごと道具は、僕達のおもちゃ箱にしまってあって、ちゃんとおままごとの時に使ってます。
「ヒューイ、あなたもスタジアム見学ツアーに行く?」
『もちろんだ。ハルトの行く所ならどこへでも行くぞ』
「なら私はこれから、あなたの参加の申請に行ってくるわね。見学の最後にプレゼントがもらえるから、人数をきちんと知らせておかないといけないのよ」
そう言ってお母さんがお部屋から出て行きました。
ん? 今お母さんなんて言った? プレゼントって言った? 言ったよね。僕だけじゃなくてフウ達もプレゼントの言葉に反応します。
『プレゼントだって、何が貰えるんだろうな!』
『フウは可愛いものが良いなぁ』
『可愛い物? 人形とか?』
『しゅのーも、可愛いのが良い!』
『『キュキュキュイ!』』
『木の実が良いと言っているぞ』
『ボクも!!』
『オレは酒が良いぞ』
『俺の分は、できればハルトにやろう』
見学以外にも楽しみな事ができました。
わくわく、そわそわ、ドキドキしながら、準備を始めます。フレッドお兄ちゃんも一緒に準備。準備が終わったら、お父さんかお母さんに確認してもらおう! まずは…何を用意しようかな?
僕はもう準備を始めてるお兄ちゃんをチラチラ横目で見ます。僕の準備はいつもお母さんやビアンカがしてくれて、僕はいつも横でそれを見てるの。ちょっとした準備は自分でするけど。でもこういうのは初めて、お兄ちゃんは持って行くのかな?
お兄ちゃんはまずちょっと大きめのハンカチをカバンに入れます。僕はブルーベル専用のオニキスカバンを持つから、いつものオニキスカバンはオニキスがもってくれるの。だからお兄ちゃんのマネして、棚の中からハンカチ出してカバンに入れます。
それで僕の入れたハンカチを見て、オニキスがもう少し大きいハンカチの方が良いんじゃないかって。
次にお兄ちゃんは小さな折り畳みの袋と、メモ帳?みたいなのとペンをしまいました。何で? 不思議に思いながらも僕も部屋の中からおんなじような物探して、カバンに入れます。
そしたら今度はヒューイが、ペンはこっちの方が僕は持ちやすいんじゃないかって、何でヒューイ、人間のペンの事ちゃんと分かってるの?
うん、良く分からない物も入れるけど、このままお兄ちゃんのマネして入れていこう!
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「旦那様、何を覗いておられるのですか?」
部屋の中をそっと覗いていた俺の所にグレンがやって来た。
「グレン見てみろ」
グレンが一緒に部屋の中を覗く。
「ハルトを見てみろ。フレッドのマネをして、一生懸命準備をしている。その姿が可愛くてな」
俺はさっきからのハルト達の様子もグレンに教えてやる。
「フレッド様はハルト様のお手本をしっかりとなさっておいでですね。それにしてもオニキスとヒューイは、まるで母親と父親ですね」
「まったくだ」
ニコニコしながら準備をするハルト達。いろいろあったが明日からの見学ツアーは、今までの嫌なことを吹き飛ばすように、心から楽しいんで貰いたいと思う。
それと気を付けることはドルサッチのこともあるが、さっき見学ツアーの話をしたときのあのはしゃぎよう。ツアーの最中に鼻血を出さなければいいが。