113まさか、そんな!?
『ハルト、僕今日ね、とっても楽しかったよ。クッキーもジュースもとっても美味しかったし他のご飯も。それからおままごと?で遊べたのも楽しかった。お外に出れるようになったら、お外でもやりたいな』
「うん! みんなでしゅる!」
「早くハルトのお父さんが、ドルサッチ達捕まえてくれないかな。フウ、街でもブルーベルと遊びたい」
「ぼくも!」
今日人口芝のあるお部屋で遊んだ僕達。もちろんそのお部屋だけじゃなくて、練習するお部屋や、窓からロガーと一緒に遊べるお部屋、それからレイモンドおじさんが、お家の中なら探検して遊んでいいって言ってくれたから、お家の中を探検したり。探検の方はお家の半分も探検できなかったから、明日また探検しようねって。
夜のご飯になって、今僕達は食堂に居ます。
ご飯が運ばれてきて、イーサンさんがまだ来てません。それからいつも監視してるグレンも居ないの。朝、2人共、良いもの作ってくれるって言ってたよね。今も作ってくれてるのかな? 何かまだ分かんないけど、ちゃんとみんなでありがとうしないとね。
でもそれよりも、今僕には大切な使命があります。使命というかブルーベルに注意しないと。命にかかわる事だもんね。
注意した後はフウ達とどうやって遊ぶかは自由。でもこの前のブレイブみたいな事に、ならないようにしてもらわないと。
そう、レイモンドおじさんの激辛料理です。午後遊んでた時に使用人さん達が、今日の夜のご飯、レイモンドおじさんは激辛鍋だってお話してるの聞いたんだ。
ブルーベルが激辛鍋ってなぁに? って聞いて来て、オニキスが命に関わる。上級攻撃だって説明したの。
それじゃあ分かんないよって、僕はお母さんにお父さん用の、まぁまぁ辛いお煎餅をちょっとだけブルーベルに食べさせてあげました。
恐るおそる近づいて突くブルーベル。一瞬止まったけど、すぐに全部食べちゃって、美味しかったって。
ほんと?って、驚く僕達。僕達お父さんの辛いお煎餅でも食べられないのに。
でも、お煎餅は大丈夫だったとしても、レイモンドおじさんの激辛関係はレベルが違うもんね。
僕はブルーベルが間違って近づいちゃったり、匂いと刺激で泣いちゃわないように、ブルーベルをそっとお手々で包んであげます。
いつも最後に運ばれてくる、レイモンドおじさん専用激辛料理。ついに激辛鍋が運ばれてきました。
フウ達は僕の後ろに隠れて、オニキス達は部屋の端っこに避難。オニキス達の毛の中にブレイブ達が隠れます。
ムワァ~。僕も目をつぶって、息を止めて。お母さんが良いわよって言うまで動きません。お手々の中でブルーベルが動いてるのが分かります。指の間から外を見ようとしてるみたい。ブルーベル、もう少しだけ我慢して。
「ハルトちゃん、もう良いわよ」
そっとお目々を開けました。息をして、部屋中にあの激辛臭が。
それからはいつも通りのご飯の時間でした。美味しいご飯をたくさん食べて、ブルーベルも初めて食べる物ばっかりってとっても喜んで。クフスは何でも食べれる鳥なんだって。お野菜もお肉も魚も果物も、クッキーとかケーキとかも全部。雑食性なの。
だから今日は料理人さんがブルーベルにたくさんご飯作ってくれました。たくさんって言ってもブルーベルが食べる量なんてそんなにないから、ひと口ずついろいろな物を用意してくれて。
そんな楽しいご飯の時間が大体終わりに近づいて、あと少ししたらデザートの時間になった時、ブルーベルが、まだ激辛鍋を食べてるレイモンドおじさんの方に飛んで行っちゃったの。
「ぶりゅーべりゅ!? あぶにゃい!!」
僕思わず叫んじゃったよ。フウ達もみんなブルーベルに戻って来るように言います。でもブルーベルは大丈夫って言って、レイモンドおじさんの頭の上に止まりました。
「近づいて大丈夫なのか? お前達にはとても危険なものだぞ」
『う~ん、でも僕良い匂いだと思うの。それからとっても美味しそう。舐めてみても良い?』
な、何て事を!?
僕達はダメって叫ぶけど、ブルーベルは絶対舐めるって譲りません。
僕もう怒っちゃうよ! 危ないからダメって言ってるのに。ブルーベルなんか知らない! 1度食べてブレイブみたいになっちゃえばいいんだ!
レイモンドおじさんがスプーンの先に、激辛鍋のおつゆをちょっとだけすくいます。ブルーベルがテーブルまで下りてきて、スプーンに近づいて。僕達は息をのみます。
そしてあれだけ近くに近づくだけでも凄いのに、もっと凄い事が。
おつゆを舐めたブルーベル。とっても嬉しそうな、楽しそうなお顔になって、
「美味しい!! もっと食べさせて!!」
って叫んだんだよ。
僕達も驚いたけど、お母さん達もビックリ。レイモンドおじさんまで最初ビックリしたお顔してました。
ほんとに? ほんとうに大丈夫なの?
最初ビックリしてたレイモンドおじさんだけど、すぐに今までで1番のニッコリお顔になって、スプーンにまたおつゆをすくいます。
「そうか、そうか、美味しいか。もう今日は具がないからな。おつゆで我慢してくれ。今度はちゃんと具も用意するからな」
『ありがとう!!』
どんどんレイモンドおじさんがおつゆをあげるから、お母さんが怒ります。
「お兄様! 与えすぎです。辛すぎる物は体に悪いのに。ブルーベルの体を壊すおつもりですか!」
「良いじゃないか。せっかく辛い物好きの同士ができたんだ。なぁ、ブルーベル」
『ん?』
ブルーベル分かってません。
この後、もっとって言うブルーベルに、デザート見せて諦めさせて、何とかご飯は終了。今回はフウ達の激辛レースもなし。すぐにご飯を片付けてもらいました。
はぁ、これから激辛すぎるご飯が、どんなに体に危険かお話しなくちゃ。