103帰ってきたオニキス! だれ?
ディアンがオニキスが帰ってきたって迎えに行って、僕達はオニキスにお菓子のプレゼントを用意して、準備はバッチリ。
プレゼントはちゃんと僕が袋に詰めて、リボンも僕が結んだんだよ。3回やり直したけど…。袋が切れちゃったり、あんまりにもぐちゃぐちゃになっちゃったり。リボンは輪っかの部分が4つに。でもそっちの方が豪華に見えるからいいよね。ね。
お父さんがなんとも言えない顔してたけど…。レイモンドおじさんもペインおじさんも。他の人達はバッチリって苦笑いしながら褒めてくれたよ。
いつもみたいにお昼寝したけど、ドキドキしてなかなか眠れなくて、やっと寝たと思ったら、もう夕飯の時間です。
ソワソワ、ソワソワ。ご飯を素早く食べて。今日のご飯の味全然分かりませんでした。
「ぐっ!? !? !?」
それに途中で胸につっかえて、お水飲んで背中叩いてもらって、お父さん達とっても慌ててた。
「もう少し落ち着け。今日は夜余裕を持てるようにって、レイモンド殿が早く夕ご飯にしてくれたんだ」
だって、もしかしたら予定より早く帰ってくるかもしれないよ。
なんとか夜のご飯食べ終えて、おトイレに行って、プレゼント持って、僕達は玄関ホールに向かいます。それで階段のはじっこの所に座ってオニキス達を待ちました。
…まだかな? ………まだかな? どんどん時間だけが過ぎていきます。
「いつも止まることを知らないハルト達が、よくじっと座って待ってるな。ちゃんと他の人に迷惑にならないように、端っこに座ってるし」
「オニキスが帰ってくるんだもの。ずっと待ってたのだから」
いくら待ってもオニキス達帰ってきません。どうしちゃったの? 何かあった? もう僕心配だよ。フウ達も心配そうに玄関見てるし。
オニキス達が帰ってこないで、いつもだったら僕寝てる時間だけど、今日はお母さんが起きてても良いって。だからそのままオニキス達を待ちます。
「大丈夫なのか?」
「途中で寝ちゃったら運べば良いわ。それに今部屋に戻っても寝ないわよ」
「それもそうか」
オニキスまだ? ねぇ、本当に何にもないよね。途中で怪我したとか、誰かに襲われたとかで遅くなってるんじゃないよね。不安だけがどんどん溜まっていきます。
そして…
「こっくり、こっくり」
「そろそろ運ぶか。オニキス達遅いな」
「そうね、何かあったのかしら」
お父さんが僕のこと抱っこします。待って、もう少しだけ、もう少しだけここで…。お父さんが階段を上って行きます。
その時後ろをのろのろついて来てたブレイブが、ピタッと止まって玄関の方を見ました。それに続いてアーサーも。それからはみんなが玄関を見ます。
「おとうしゃん、まっちぇ!」
お父さんは僕が起きたからビックリ。それですぐに僕のこと下ろしてくれます。みんなが玄関の前に集まって、僕は少し離れた所に立って。そして。
「ハルト! オニキス帰ってきた!」
フウが叫びました。急いで玄関を開けて外に出ます。もうかなり遅い時間だからね、暗かったからライが光って明るくしてくれます。レイモンドおじさんも外に出てきて、玄関の光の魔力石に魔力流して、玄関の周りを明るくしてくれました。ありがとうおじさん!
そんなことしてたら、とっても強い風が一瞬吹いて、暗闇にまぎれて、バサアァァァァァァッ!! ドラゴンディアンが玄関前に降りてきました。本当にうまく暗闇に紛れたね。僕目の前に来るまで全然気づかなかったよ。
「遅くなった。ちょっと予定外の事があってな」
ディアンがそう言うと、背中からぴょんっ! オニキスが下りてきました。
オニキス。本当にオニキス? 偽物じゃないよね。帰って来たんだよね。僕はオニキスに駆け寄って抱きつきました。
「オニキス!!」
ぎゅうぅぅぅ!! オニキスだ! オニキスの匂い、オニキスの毛の手触り、本当にオニキス帰ってきたんだね。みんなもオニキスにくっつきます。
「オニキス…うぅ、うわあぁぁぁぁぁぁんっ!!」
やっとだよ、やっとオニキス帰って来てくれた。もう遅いよ! 僕とっても心配したんだから!
オニキスが僕の顔スリスリしてくれます。
「ハルト遅くなってすまなかった。もう少し早く帰るつもりだったんだが」
涙を拭いても拭いても、全然涙が止まりません。フウ達がオニキスに遅いって総攻撃して、オニキスがやめろって騒いでます。
そうだ。プレゼント、プレゼント渡さなきゃ。あれ? プレゼントは? 持ってたはずのプレゼントが見当たりません。泣いてるから余計に探せないし。それでもフラフラ自分の周りを探してたら、お母さんがこれよって。お母さんがプレゼント持ってくれてたの。
「ありがちょ、ズビっ」
お母が鼻水かむの手伝ってくれて、すぐにオニキスの所に戻ります。それでみんなで並んで、オニキスにプレゼント渡しました。
「オニキス、おかえり。ぐすっ…おちごとおちゅかれしゃま」
「フウ達みんなで用意したんだよ」
「でも半分以上はハルトが用意したんだ」
「そうか、ありがとうハルト、フウ達も」
オニキスがプレゼントを咥えます。それからもう1度みんなでオニキスに抱きつきました。ふふふ。良かったぁ。オニキス帰ってきてくれた。
抱きつきのが終わったら今度はオニキスの背中に乗っかります。これも久しぶり。乗っかってからまたぎゅうって抱きついちゃったよ。
と、そんな事をしながらお屋敷の中に入ろうとした僕達。でもオニキスが中に入ろうとしません。それから気まずそうに、お父さん達の方を見ました。どうしたのオニキス?
「あ~、ちょっと向こうの森でいろいろあってな。面倒な奴が付いてきたんだ」
オニキスがそう言って、いまだにドラゴンの姿のままのディアンの方を見ます。あれ? そういえば何でディアン人の姿にならないの?
みんなでディアンの方を見つめます。そしたらさっきのオニキスみたいに誰かがディアンの背中から飛び降りて来ました。ディアンが変身した時と同じくらいの男の人です。でも、ディアンのあんなに背の高い所からジャンプで降りてくるなんて、ただの人じゃないよ絶対。
みんながどう思ったか分かんないけど、お父さんやレイモンドおじさん、ペインおじさんが僕達とその男の人の間に立ちます。お母さんは僕の隣にきて、それから手には魔力石持ってました。
レイモンドおじさんが話しかけます。
「お前は誰だ?」
「そいつが今言っただろう。面倒な奴がついて来たと」
「答えになっていないぞ。俺は誰だ? と聞いたんだ」
僕を乗せたままオニキスがおじさんに近づきます。お母さんとお父さんが止めたけど、オニキスが大丈夫だって。
おじさんの前まで行ったら、おじさんが僕達見てニッてわらいました。
「久しぶりだな。相変わらずわちゃわちゃと煩いようだが」
ん? 今の言い方だと僕達のこと知ってるみたい。でも僕達おじさんに会ったことないよね。
考えてたら、フウとライとブレイブが、おじさんの周りをグルグル回って匂いを嗅ぎました。それからハッて顔して、すぐに僕の所に戻ってきます。
「え~、何でいるの!?」
「フウ、ビックリ!?」
『キュキュキュイ!?』
え? 何々、みんなおじさんしってるの? ワタワタする僕にオニキスがゆっくり話し始めます。
「ハルト、こいつは人間ではない。ハルトに話したことがあったろう? あの森で穢れを祓える魔獣がもう1匹いると。それからマロン達を任せたのもこいつだ。こいつに確認をとりに行ったんだぞ」
穢れを祓える? マロン達を任せる? もしかして僕は会ったことなかったけど、森の奥に住んでてお酒が好きで、街にお酒をとりにくるっていう? でも森の魔獣達をとっても大切にしてて、オニキスがとっても信用してる魔獣。
「こいつの話を聞いてな、ちょっと様子を見にきたんだ」
おじさんはそう言って光りだしました。そして光が消えればそこには大型の狼が。
オニキスみたいに真っ黒で光沢がある毛並で、なんか凛々しいって言葉が似合う狼です。
そんなおじさん狼を見て、お父さんがボソッと言いました。
「ダイアー・ウルフ!?」
振り返ってお父さん達を見たら、みんなとっても驚いた顔してます。
そんなお父さん達を無視して、僕に近づいてくるおじさん狼改めダイアー・ウルフ。僕の匂い嗅いでニッて笑いました。
「やはりお前の魔力は暖かいな」