100申請の後の街歩き
お兄さんがくれたのはタカの絵が描いてあるバッチでした。子供だけが貰える記念品だって。お父さんがすぐに僕の胸につけてくれます。それからこのバッチは子供の競技に出る印にもなるんだって。
お父さんがバッチに魔力を流すと、お父さん達に来た招待状みたいに、ポワッと文字が浮かび上がりました。僕の名前が浮かび上がってます。いつの間にバッチに名前登録したの?
「はい、これで終わりですよ。競技頑張ってね」
お兄さんにバイバイして、レイモンドおじさん達の所に行きます。ロガーがすぐに手に乗せてくれて、その後肩の乗せてくれました。
ちょっとゴタゴタはあったけど、申請もちゃんとできたし、お昼までお店通りやスタジアムの周りをみんなで歩く事になりました。スタジアム見学の予約はもう少し後なんだって。もしかしたらオニキスが帰ってくる頃かもってお父さんが言ってました。
この前並んで買ったクッキー屋さんは相変わらず凄い長い列が。クッキーはこの前買ったから、今日は別のもの買おうって、その隣のお店を覗きます。隣のお店蒸し立てのパンを売ってるんだ。湯気がホワホワってとっても良い匂いです。
「ハルトちゃん熱いから気をつけてね」
お母さんにパンを貰ったら熱々、パン落としそうになっちゃったよ。それから半分にそっと割って、中からまた湯気がフワッて。
「ふわわ! おにく!」
まさかの肉まんでした。おにぎりに続いて肉まん。こんなに短期間で元の世界と同じ物が食べられるなんて。これってもっとよくお店を調べたらもっと見つかるんじゃ。そう考えたらアイツのせいでちょっと落ち込んでた気持ちがウキウキに。
僕がハフハフ食べてる横で、ペインおじさんが注文します。
「そっちの箱のやつ全部くれ」
「は? 全部ですか!?」
「ああ、こいつが食べるんでな」
おじさんが親指で指した先にはもちろんロガーが。ロガーが大き過ぎてお店の人ただの石がそこに置いてあるって勘違いしてたみたい。誰だこんな所に石を持ってきたのは、って思ったんだって。ペインおじさんと顔を覗かせたロガーに謝ってました。
ロガーの肉まんを買って、そのままちょっと開けた所に移動。ロガーが1個ずつ肉まんを高く投げて、それを口でキャッチします。次に5個いっぺんに投げてそれも全部口でキャッチ。最後には全部の肉まん投げて、それも全て完璧に口の中へ。僕達みんなで拍手です。
肉まんを食べ終わったら次は、スタジアムの反対のお店が並んでる所へ。そこでは骨董品とか絵とか、それから武器屋とか、いろいろな物を売ってました。お父さん達が武器や防具を見てる間、僕はお兄ちゃんと一緒におもちゃ屋さんに。
小さな子が集まって見てるのは、お店のお兄さんが吹いてるシャボン玉。魔法が使えるようになると、シャボン玉を自分で魔法で作れるようになるけど、小さい子は魔法使えないからね。
シャボン玉の次に見せてくれたのは花火。まだ明るい最中なのに、とっても綺麗にパチパチ光るんだよ。
ここでも元の世界と同じ物です。懐かしいなぁ。ていうかもう懐かしく思えるくらい、僕ここで暮らしてるんだね。
じぃーって見てたら、お兄ちゃんがちょっと待っててって、お店の奥に入って行きます。少しして戻ってきたお兄ちゃんの手には大きな袋が。その袋に手を入れてゴソゴソ。袋から出したのはシャボン玉ケースが付いたペンダントでした。それを僕の首にかけてくれて、自分の首にもかけます。
「ハルトとお揃い」
ニコニコのお兄ちゃん。お揃い…。
「ありがちょ!!」
お兄ちゃんとお揃い、僕もニコニコです。何かとっても嬉しい!
そして何とお兄ちゃん、オニキス達の分も買ってくれました。フウとライは大きすぎるから、チェーンの部分を後でお母さんに直してもらって、カバンをかけるみたいにしてみたら良いよってお兄ちゃんが。みんながお兄ちゃんに抱きつきます。
それから袋の中には花火も入ってました。夜天気が良かったらやろうって。もうお兄ちゃん本当に大好き!! またまたみんなでお兄ちゃんに抱きつきます。
それから隣のお店で売ってた、オニキスの絵が描いてあるコップとお皿も買ってくれました。割れちゃうといけないからロイが持ってくれます。僕の気持ちは最高潮! 下手なスキップしながらお父さん達がいる武器屋に戻ります。
「相変わらずのスキップして、どうしたのかと思ったら良い物買ったな。みんなお揃いか?」
「うん!! おにいちゃかっちぇくれちゃ!!」
「そうか。フレッド良い買い物したな」
「おかあしゃん、あとでフウとライのなおちて。カバンみちゃいにしゅるの」
「そうね長い物ね。じゃあお屋敷に戻ったらすぐに直してあげるわ」
お父さん達をよく見たら、お父さん達もたくさん買い物してました。武器の手入れをする道具。ちょっとした時に使える小さな小刀。防具もいろいろな物買ってました。僕がいっぱいって言ったら、これでも足りないって。
大会が始まるまで、お父さん達はたくさん訓練するから、その訓練用の道具を買ったの。自分の愛用してる大切な物は、ここぞって時に使わないと。訓練してるとけっこう物が壊れるみたい。
買い物してたらもうお昼。みんなでお屋敷に戻ります。お昼はレイモンドおじさん推薦、持ち帰りOKのお鍋です。お鍋…何でお鍋?
「ここの鍋はとっても美味しいんだ。ハルトもきっと気にいるぞ」
どこに持ってきてたのか、自分の屋敷から鍋を持ってきてたレイモンドおじさん。自ら両手に鍋を持って帰ります。そしてそれに付き合うイーサンさん。イーサンさんが持つ鍋から、とっても刺激のある匂いがしてるんだけど。
僕気になって、鍋に近寄って中を覗いてみました。でも木の蓋だったから中見えなくて、でも匂いはさらに刺激の強い匂いに。これ知ってる。絶対唐辛子だ! と、ここで目まで痛くなって来ちゃった。
「い、いちゃい!」
慌てて目を擦ります。お母さんが慌てて僕のこと抱っこして、ハンカチに魔法で水つけて目にあててくれます。
「いつの間にお鍋に近づいたの? ダメよアレに近づいちゃ」
「ハルト君すまない。まさかお鍋見に来たって気づかなくて」
「アレはレイモンドお兄様専用の鍋なのよ。いい、緑のハンカチが手元に巻いてあるお鍋には近づいちゃダメよ」
「うえぇ」
め、目が痛いぃぃぃ。気になったからって近くんじゃなかった。ハンカチを当てて何も見えない僕。レイモンドおじさんが笑う声が聞こえます。
「ハハハハハッ! そうか言ってなかったな。すまんすまん。俺は大の辛いもの好きなんだ。ハルトにはまだまだ分からんだろうが。子供は近づかない方が良いな」
笑い事じゃないよ、まったく! どれだけ辛いもの好きなの!! もうねそのお鍋で人倒せると思うよ!
お母さんに抱っこされたまま屋敷に戻った僕。お屋敷についてやっと目が痛いのが治りました。もう、レイモンドおじさんのお鍋のせいで、街が見られなかったじゃない。
食堂について、僕はレイモンドおじさんから1番遠い席に。メイドさんがレイモンドおじさんのお鍋の中身を取り分けてる時お玉を見てたら、赤いドロドロした液体が…。部屋を出て行くメイドさん可哀想に涙目だったよ。
と、レイモンドおじさんのお鍋の事は一旦置いといて、僕達の普通のお鍋は、おじさんが言ってた通りとっても美味しかったです。お魚の出汁かな? それがとっても美味しくて、それから具もたくさん。パスタみたいな物も入ってました。ラーメンみたいな、スープパスタみたいなお鍋。
モクモクと食べる僕。一生懸命食べても、結局いつも食べ終わるの最後になっちゃう。レイモンドおじさん達は僕にゆっくり食べろって言って、それぞれ自分のお仕事に。
残ったのは僕の家族。先に食べ終わったフウ達が、怖いもの見たさっていうの? それともチャレンジ? レイモンドおじさんのお鍋に近寄っては逃げ、さらに近寄っては逃げ、誰が1番近くまで近寄れるか勝負してました。ちなみに1番近くまで近寄れたのはスノーでした。
ご飯のあと、お母さんが約束してた、フウとライのシャボン玉ペンダントのチェーンを直してくれて、すぐに肩からかける2人。ピッタリです。
お母さんにありがとうして、お庭に出て早速シャボン玉をしました。夜は晴れたら花火もあるし楽しみ!
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いつもご愛読いただきありがとうございます。
「穢れを祓って~」ついに100話に。こんなに続くとは思わず、そしてまだまだ続いておりますが(^^;;
これからもハルト一同、よろしくお願いいたしますm(_ _)m
ハルト「よろちくおねがいちましゅ!」
ちびっこ軍団「「「よろしくね!」」」
オニキス、ディアン「「よろしく頼む」」