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要らねえチート物語  作者: 汐乃タツヤ
第三章
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第31話 力こそパワー

「……マサヤ、マサヤ!」

「う……」


 俺を呼ぶ声に目を開けると、セレスが心配そうに俺の身体を揺さぶっていた。


「シールドを解いたらマサヤが倒れていましたので、急いで回復魔法を掛けましたが大丈夫ですか?」


 言われてみれば身体の痛みが完全に消えている。試しに身体を少し動かしてみても違和感が無く万全の状態だった。


「大丈夫、回復魔法のおかげで助かったよ」

「良かった。しかし、身体が強化されているマサヤが意識を失う程の怪我をするなんて、一体何があったのですか? 地面に大きな穴まで開いていますし……」

「……普通に力を入れてボールを投げると、どうやっても殺人クラスの剛速球にしかならなかったんだ。だからスピードを落とすようにイメージして必殺シュートを投げたら、スピードは良くても威力がもっと凶悪になって地面にクレーターができるし……」

「……え?」

「それで必殺シュートのエネルギーを浪費させて威力を落とそうと試行錯誤してたら、俺の方に飛んできたボールに当たって気絶した。……要は威力が有りすぎるんだよ。せめて必殺技の威力を落とすコツとかってないの?」


 俺の質問にセレスの表情が固まった。


「す、すみません、魔王を倒すには力が必要だと思いまして、能力を付与した時に与えられる恩恵も攻撃力を最大限に発揮させることばかりを考えていました。力なき正義は無力という言葉もありますし」


 だからって、威力を出すのに特化しすぎだろ。

 勝つ必要があるけど、殺しちゃいけない相手に手加減する必要があったらどうするつもりだったんだ。


「ちなみに聞くけど防御面は?」

「……防御力の上昇と状態異常を一通り防げて、防御の技が少し使えれば大丈夫だと判断して、後は攻撃面を伸ばすことに専念していました。魔王と1対1の戦いになった時に必要になるのは防御より攻撃ですし、攻撃は最大の防御とも言いますので……」


 この女神、発想が完全に脳筋だ。

おまけに対魔王戦ばかり考えて、それ以外の対応がおろそかになり過ぎてるし。


「ひ、ひとまず……必殺技に耐えられるようにマサヤにも防御魔法を掛けます。もし怪我をされたらまた回復魔法を掛けますから、が、頑張って下さいね?」


 一切のアドバイスを出さないまま、慌てて防御魔法を掛けるセレスを見て、ボールの威力を落とす手段は自分で見つけるしかないと確信した。


 防御魔法が掛かった後、もう一度シールドで辺りを囲んでもらい、練習を再開する。

 

 防御魔法の効果を試すために必殺技にならない程度の力で投げ、跳ね返ったボールを受けてみたが全然痛くなかった。

 これなら必殺シュートが当たったとしても、さっきよりはマシになるだろう。


 とはいえ、どういうイメージでボールを投げれば正解なのか見当がつかない。

 しょうがない、思いついたのは全部試してみよう。

 

× × ×


 つ、疲れた……。

 練習を繰り返して限界を迎え、俺は地面にへたり込む。


 色々イメージを変えながらボールを投げてみたが、どれも思い通りにはいかなかった。


 とにかくボールのエネルギーを使い切ろうと、前後・上下・斜めと全8方向へ同時に力が加わるように投げたら、ボールが空中で完全に止まってしまい、仕方なくボールに触ったら、空中に弾き飛ばされる。

 ボール内のエネルギーを一気に放出するようにイメージしたら、ボールから全方位に発射されたエネルギー光線に吹き飛ばされる。

 それを踏まえて、エネルギーをボール周辺にまとわせるようにイメージして投げたら、ボールから発生した竜巻に巻き込まれて、ボールと一緒に俺まで飛んでいった。

 

 あれこれ試してみたがその度に失敗し、自分にダメージがいく。

 セレスの防御魔法のおかげで、必殺シュートを喰らっても多少痛い程度で済むようになった。しかし吹き飛ばされるのは変わらなかったため、もう何度自滅して宙に飛ばされたか覚えていない。


 さまざまなイメージをするのに頭を使ったせいで、俺は肉体的だけでなく精神的にも疲れてしまい、集中力が続かなくなっていた。


 休んでいると、周りを囲んでいたシールドがフッと消える。

 時間が来たのだろう。

 セレスが俺の様子を見に、こっちへ近づいてきた。

 

「マサヤ、今度の練習は上手くいきましたか?」

「いや、大して……。ところで今何時だっけ?」

「今は……ちょうど11時ですね」

「そんなに時間が経っていたのか……家に帰ろう、今日はもう無理……」


 さしたる成果も上がらないまま、今日の練習は終了した。

 こんな調子で、残り2日以内に普通のボールを投げれるようになるのか不安でしかなかった。

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