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要らねえチート物語  作者: 汐乃タツヤ
第二章
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第19話 事態は解決しない

 とはいえ事情は分かった。

 つまりタカヒロって人は、肉体は強化されたけれど、精神を全く強化されなかったせいで、魔王軍に魔法か何かで洗脳を受けて操られ、異世界の人達にとって恐怖の存在になったわけだ。

 で、結果的にセレスは異世界のパワーバランスを人類側優勢にするどころか、魔王軍を圧倒的優勢にしたと。

 

 ……色々やらかしてる俺が言えたもんじゃないけど、ひどいな。


「タカヒロの方は本当に何とかなんの……?」

「はい……あちらの方が問題が深刻ですので、私よりも上位の神が対応しているはずです」

 

 それならそっちは上位の神が上手く対応してくれるのを願うくらいしかないか。

 

「じゃあ俺の方だけど、この能力を外して欲しいんだ。そうすれば能力で問題を起こすこともなくなるから、セレスの仕事も終わりになるだろうし」

「………」

 

 俺の言葉に何故かセレスが黙り込んだ。

 

「……外せません」


 ……は?


「能力を敵に解除されたり、奪われたりしないようにと、自分でも解除できないくらい強固に能力を定着させましたので、外せないんです」

「外せないのかよ!! じゃあどうやって俺の対処をするつもりだったんだ!!」

「ま、まずはあなたに会って能力の説明を行い、その後は私の力を使って周囲に被害が及ばないように抑えるつもりでした。ですが、こちらの世界に来たところで思った以上に力が弱まってしまい、マサヤを見つけることも呼び掛けることもできなかったのです」

「力が弱まってる?」


 だから俺を呼び掛けた時も、魔法じゃなくって直接声に出していたのか。

 でもどうして力が弱くなったんだ?


「程度の差はあるのですが、神が直接他の世界へ行った場合、本来の神の住処である元の世界にいる時よりも決まって力が弱まってしまいます。私達が現界して直接的に世界に関与するよりも、私達の世界から他の世界へ祝福を授けたり、私達の世界に来た人を通して間接的に他の世界に関与したりする理由もそこにあります」


 あー、だから直接他の世界に行って力を使うよりも、死んでセレスのいる世界に行った時に何かをする方が力を最大限に発揮できるから、神にとって都合がいいのか。

 

「じゃあ、元々いた世界から俺に向けて、魔法を使えばよかったんじゃ? こっちの世界に来たら力が弱まるわけだし」


「最初はそのつもりだったのですが、私の力では元の世界からあなたに関与できませんでした。だからといって、手をこまねくわけにもいかず、そこで力が弱まるのを覚悟の上でこちらの世界にやって来たのですが、思った以上に力が弱まっていました。そのため、元の世界に帰る力も無くしてしまい、この世界で生活せざるをえなかったのです……」


 無理したせいで完全に詰んでる……。

 せめて、別の帰る手段を用意しておけばこうはならなかっただろうに。


「そういや、あっちの世界で会った時にいた天使は一緒にいないの?」

「亡くなった人間に能力を授け、異世界に転生させる担当を外され……いえ、担当が変わったのは私だけでしたので、こちらの世界に来たのは私1人で来ました。それに今となっては連絡を取ることもできません」

「今、担当を外されたって聞こえたんだけど」

「い、いえ、担当が変わったんです」


 俺から目を背けながら言っても何の説得力もないんだが。


 しかし、どうしたもんだろう。

 この女神をそのままにしておくのは、生き返らせてもらった恩もある訳だし、流石に気がとがめる。

 それに俺の余計な能力も何とかしてもらわないと、周りに迷惑を掛けっぱなしになるのは確実だ。

 

 ……ああ、もう仕方ない。

 こうなったそもそもの原因は女の子を助けようと道路に飛び出して、全く関係ない人を

 巻き込んだ俺にもあるわけだしな。


「あのさ、今は魔法を何も使えないの?」

「いえ、使えなくなった魔法は確かに多いですが、回復魔法や防御魔法などはまだ使えます」

「その回復魔法で腰痛とか治せる?」

慢性的(まんせいてき)なものを完治させるのは難しいですが、症状を抑えるくらいなら……それがどうしたんですか?」

「母さんが最近腰痛に悩んでるみたいだから、症状を抑えるだけでも助かるだろうし、俺が一旦死んで生き返ったのも知ってるから、魔法で腰痛を治療して、俺を生き返らせたのがセレスだって話せば信じてもらえると思うんだ。その上で事情を話せば……家に置いてもらえるんじゃないかなあ……」


 俺の言葉にセレスが表情を輝かせた。


「ぜひ、お願いします! ああ、これで水しか飲めない日々から解放されるんですね……」


 飢える心配が無くなって心底喜ぶセレスに再び憐れみを感じる。

 そこまで喜ぶって、どれだけ飢えに苦しんでいたんだろうか。


 未だに女神らしさを感じられないセレスを連れて、俺は家へと歩いて行った。

 ……やたらキラキラした瞳で俺を見てくるのが、凄いプレッシャーなんだけど。

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