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要らねえチート物語  作者: 汐乃タツヤ
第一章
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第10話 発想の転換

「……本日午前中に埼玉県のY山で土砂崩れが発生しました。事故現場では現在巻き込まれた人がいないか調査が行われています。今まで土砂崩れが起きる兆しのなかったY山で突如土砂崩れが発生したことに、周辺の住民は不安を強めているとのことです」


 大爆発を起こした時みたいに世界中に広まった訳じゃないが、またニュースに取り上げられてしまった。

 やっぱりこれも犯罪だよな……。


 あの短時間の飛行で俺は東京都から隣の埼玉県にまでぶっ飛び、Y山で生き埋めになった。地上へ脱出するためにやみくもに地中を掘り進めたせいで土砂崩れを引き起こし、流れる土砂と一緒に崖下に落ちてもう一度生き埋めになった。


 どうにか抜け出した後、能力を使って人がいないか確かめるために、全力で『探索!』と念じて周りを調べようとしたけど、草だの石だの枝だの、どうでもいい細かい情報が規則性も無く頭の中に流れ込んでくる始末。


 位置を示す印が表示されたりもしたが、細かい情報を拾いすぎたせいで印の数が余りにも多くなり、どこに何があるかが分からない上に、入ってくる情報の取捨選択(しゅしゃせんたく)も並び替えもできないせいで、探索スキルとしては全く役に立たなかった。


 やむなく周辺の土砂をかき分けて、他に埋まった人がいなかったのを確認したから、土砂崩れに巻き込まれたのは俺以外いない……はずだ。


 もし土砂崩れに飲まれた人が他にいたら、という不安がどうしても残る。

 せめて直接の犠牲者だけは出ないで欲しい。


 確認が終わった後、能力は使わないで電車に乗って家まで帰ってきた。

 下手に能力を使って飛ぼうものなら今度はどこに飛んで、何にぶつかるか分かったものじゃないからだ。

 普通、飛行できる能力があれば移動が凄く便利になるはずなのに、俺の場合は制御のできないまま何かにぶつかるまで超高速で飛んでいくだけ。

 あれじゃあ単なる人間ミサイルだ。いや、狙った所へまともに飛んでいけない分ミサイル以下かもしれない。


 ……もう嫌だ。一応の力加減は分かったんだし、能力が発動しそうなことは何もしたくない。


 俺は完全に心が折れて、次の日はずっと家の中に引きこもっていた。


× × ×


 月曜日、三浦から聞きたいことがあると言われ、俺は屋上に呼び出されていた。

 ……何をたずねてくるか、大体想像がつくけどな。


「土曜日にあったY山の土砂崩れ、もしかして吉村君がやったの?」


 三浦の質問は俺の予想通りだった。

 俺が土砂崩れを起こすまでの顛末(てんまつ)を説明すると、三浦の表情がだんだんと引きつってくる。


「そ、そう……。でも昨日のニュースで土砂崩れに直接巻き込まれた人はいなかったって言ってたから、まだ良かったよね」

「本当、それだけが救いだよ」

 

 確かに死人は出なかったけど、このまま能力に振り回されていたら、今度はどうなるか分からない。

 とはいえこの能力は外れないし、何とか制御しようとする度にやらかしたわけだし、こうなったら何もしないのが一番マシか……。


「何とか能力を上手く扱えるようにならないの?」

「それができたら苦労しないよ。力を入れたら能力が勝手に発動して、抑えることもできないんだから」 

「じゃあ、吉村君に能力を渡した、セレスっていう女神に会って、何とかしてもらうのはどうかな?」


 セレスに会う……?

 三浦の言葉に、俺は目の前が開けた気がした。


 そうだよ!! こうなったらセレスに直接会って、この余計なチート能力を解除してもらえばいいんじゃないか!! 何で今まで気づかなかったんだ!!

 元々、この能力はセレスが間違って渡したんだから、本人も嫌とは言わないだろう。

 三浦は能力を上手く扱えるためにセレスに会えないかって意味で言ったんだろうが、俺にとってはこんな能力は邪魔でしかない。


 よし、そうと決めたならセレスに会う方法を早速考えて……。


 待てよ。セレスがいた神殿はこの世界と全く違うから、空をかっ飛んでどうにかなるわけじゃないし、そもそも死者が集う場所でもあるって話だったよな。

 そこに行くためにまさか死ぬわけにもいかないし、いくら能力があるって言っても、そんな所にどうやって行ったら良いんだ……?


 希望が見えたかと思ったらいきなり壁にぶち当たり、一転して絶望的な気分になる。


「どうしたの? 表情が明るくなったと思ったら、急に元気を無くして」

「セレスがいた場所って、異世界どころか死後の世界かもしれないんだよ。そこにいくための方法が全然思いつかないんだ」

「死後の世界……」


 やっぱり、この世界にセレスがいないなら、どうしようもないよなあ。

 三浦も、それは無理って言うだろう――。


「1つ心当たりがあるんだけど、どうかな? 能力を使えば何とかなると思う」

「え、心当たりあるのか!?」

「うん。会いに行くのとは少し違うんだけどね。私も手伝うからやってみない?」


 三浦がイキイキとした表情になっているのが引っかかるが、俺だけじゃやり方が全然思いつかないし、この能力を何とかするためにも三浦に頼らせてもらおう。


「分かった。三浦の案でやってみたいから、手伝って欲しい」

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