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My Nightmare  作者: 燕尾あんす
世界を駆ける狼
18/98

『クソFu〇kよ』

# another side


ミザリーとベイカーの二人が港町ベイ・ズールから

王都の南に位置するサウス・リームに向かって出航する船に乗り込み

早くも一週間が立とうとしていた


初めは船旅に一喜一憂していたベイカーも流石に一週間を過ぎると

感動も慣れに変わり


甲板で外の空気を吸うか

船室で時間を潰すかを繰り返し日々を過ごしていた


この日も

ベイカーは船室で初日に行商人から買った大型拳銃の修理をしていた


結局船の中ではすることが限られるのでベイカーは専らこの拳銃の修理に時間を費やすばかりだった


〈ガチャッ〉


甲板に出ていたミザリーが戻ってきた


ミザリーはと言うと、船室で寝たり花香パイプをくゆらせたり

はたまた甲板で風を感じたりと

極々平凡な船旅を繰り返していた


「おかえり、甲板の様子はどうだった?」


壁際に座り込むミザリーに問う


『ん、ビーはこの船に私達くらいの歳の女の子が乗ってたの気づいてた?』


「へ?そんな子いたっけか?」


ベイカーも記憶にはなかった

乗船する時も

乗船してから数日も甲板にそのような女の子の姿を見たことはなかった


『でしょ?私も見かけたときは驚いたけど私が花を買った行商人のお婆さんのお孫さんなんだって』


「へぇ、あのお婆さんの…姿が見えなかったのは?」


『体調悪かったらしくて乗船してすぐに船室で寝込んでたんだって最近になってやっと体調が戻ったらしいわよ』


「ふぅん、またなんとも平和なお知らせだね」


『あと二週間だっけ?この調子じゃ退屈な日々は続くわね』


「まぁ、平和がなによりさ。今までが少し慌ただしかったんだよ」




そうしてこの日も二人は

平々凡々な船旅の一日を終えた



そして更に一週間の日が変わりなく同じように緩やかに流れていった





船旅を始め二週間と一日が過ぎた日の昼下がり


ミザリーとベイカーは

二人揃って甲板で海を眺めていた


同じように甲板には

時間を持て余した旅客や船乗り達が

それぞれ思い思いの時間を過ごしていた


だがこの日は少し曇りがかり

天候の崩れを予感させる空模様だった




なんだか雨が降りそうだ

波も荒れるかも知れないな


そんな船乗り達の会話が聞こえてくる



「雨が降りそうだし、船室に戻ろっか」


ベイカーがミザを促す


『もう少し良いじゃない、船室に閉じ込もる時間なんて少しでも短い方がいいわよ』


そう言いつつ

ミザリーは両手を組み伸ばすように腕を空に伸ばした



その時



〈ギィィーーーンッ〉



鈍い音が甲板中に響き渡った



その音の鳴った原因はその甲板にいた誰もが知り得なかった


ミザリー以外は



『ビー!銃弾っ』


言われたベイカーも気づいた



あの金属音は

どこかから放たれた銃弾がミザリーの手に当たったことによって鳴ったものだと


ミザリーの手に当たり、弾かれた跳弾が甲板の床にめり込んでいる


「誰かが銃で狙ってる!」


ベイカーが叫ぶと

甲板の船乗りたちが双眼鏡を手に

周りを、四方の海を眺め回す


「あっ!!」


内一人の船乗りが声をあげた


次いで他の船乗り達も

乗客たちも恐る恐るとその方向に目をやると


その方向には


50m程度の距離を一隻の中型船がこちらに向かって進んできていた

そのへりにはライフルのような物を構えた男が見える


その帆柱には真っ黒な旗が風に揺れていた


「あれって‥まさか?!」


船乗りの一人が舵取りのある船長室に向かって駆けていった



どう見ても只事ではない


ベイカーが慌てている船乗りの一人に問い詰めた


「あれ!なんなんですか!なんで発砲なんか‥」


「ありゃぁ‥あの黒い旗は海賊だ…この辺りに出るかもって噂はあったがまさか本当に」


ベイカーはミザリーと目を合わせた


「海賊…?」



ザワつく空気の中ベイカーは貨物船の船のへりに取り付けられた小さな旗を見つけた


穴が空いている


どうやら先程の発砲はこの旗を撃ち抜いた、いわば襲撃予告めいたものだったのだろう


その旗を撃ち抜いたのち

射線上にいたミザリーの腕にたまたま当たったということらしい




そこに

この貨物船の船長が駆けつけてきた


初めて船長を見た気がしたが

すぐに初対面ではないと気づいた


その男は

ミザリーとベイカーが港町にて切符を買った

あの筋肉自慢の船乗りだったのだ


だがその顔は港町で見たときの軽い笑顔はなく


厳しい表情が眉間の皺とともに顔に張り付いていた



「皆さん!聞いてください!」



低く、だが良く聞こえる声で船長は言葉を発し始めた


その声色からも緊急な事態と伺える


乗客たちも息を飲み、その言葉に耳を傾けていた


「あれは恐らく、この辺りを縄張りとしている海賊です。だが奴らは金品を巻き上げはするものの無抵抗でさえいれば最悪の事態は回避出来るやも知れません。過去に起きた事件はいずれも人の命を奪うような行為までは行っていないはずです」


船長の言葉にざわめきが起こる


ベイカーは冷静に頭を回していた

(動揺してるな…そりゃそうだ。海賊なんて暴力的なイメージしかない、そんな連中に無抵抗でいれば安心だなんて気持ちの余裕を持てるはずがない。)


「殺人を犯せば、国から本格的な討伐の厳令が降りる。それは奴らにとっての本意ではありません、この距離までの接近を許してしまったのは我々の過失であるがゆえに、その点の言い逃れはできません。」


ベイカーはそこでハッとした

(確かに…なんでここまでの接近を許してしまったんだ?確か時間毎に周りを警戒をしていたはず、そこにもなにかの要因があるのか?)


一呼吸置き

船長が周りを見渡し続けた


「だがこうなってしまった以上、皆様方の安全を第一とするための提案をさせていただきたい!この船には、秘密裏にしている空倉庫があります!それを知るものは我ら船乗りのみ!そこに子供、女性、老人を優先的に隠れ潜んでいただき!残った者達は無抵抗に、金品を差し出し身の安全を要求する。そういう策を取らせていただきたい!」



辺りがしんとする

だが悩んでいる暇はない


船乗り達が

甲板の一角に立つと


その床の一分の隙間に手を差し込み

床板を持ち上げた


そこには深さ2m縦横幅4mほどの四角い空き倉庫があった


その倉庫が甲板の両端に一つずつ

女子供たちなら計20人くらいは入れるだろう


その蓋の役割の床板もがっしりした木材で出来ており

パッと見では周りの床板に馴染み、まるで気づきそうもない


「時間がありません!さぁ、早く!」


船長や船乗りの誘導に従い乗客達がその床倉庫の中に身を隠していく



「ミザも早く入って」


腕を組んだまま佇んでいるミザリーにベイカーが声をかける


が、キョトンとした顔でミザリーがベイカーを見返す


『私?私はいいわよ』


「何言ってんだよ、女の子は隠れてなって言ってただろ?」


動きそうもないミザリーの背中を押し床倉庫の淵に押し込む


『大丈夫だって、なんなら海賊なんて私が…』


「ダメだってば!何年かぶりに言うけどちょっとはお淑やかになりなっ!」


『へ?』


呆気に取られるミザリーを床倉庫に押し落とす


どうやらミザリーが最後だったようで船乗り達が倉庫の蓋となる床板を被せてきた


『ちょっと…ビー!!』



〈ガコンっ〉


重い音を響かせ蓋が閉まる


「大丈夫だから、おとなしくしててよね!」


ベイカーが他の男性乗客、船乗り達と集まり

今後の話合いを始めたらしい


『…なんなのよ、ビーの奴』


仕方なく座り込むと隣に座っていた女性が話しかけてきた


確か旦那さんと思しき男性と船旅をしている人だった


「まぁまぁ、彼もあなたを傷つけたくないのよ」


ミザリーを安心させようと話しかけてくれたのだろう


だがその女性の身体は

蓋が閉められ陽の光も僅かにしか感じない倉庫の中でさえも震えて見えた




「いいか、絶対に抵抗の意思を見せるんじゃないぞ。金品だけ渡して、可能な限り早く撤収させることにだけ念頭を置くんだ」


船長が残った船乗りや男の乗客たちを集め注意を促す


その中にベイカーの姿もあった


(ミザが戦うことに慣れるのは、きっといい事じゃない…これでいいんだ)



〈ガチャンッ〉


大きな金属音が聞こえた

船のへりに錨のような物が引っ掛けられていた


それに繋がれた縄からこちらの船に乗り込んで来るのだろう


縄がギシリと揺れる音

海賊達の小さい笑い声が聞こえてきた


にわかに緊張が走る


(なんとか…乗り切るんだ……)


ベイカーは深呼吸をし自らを落ち着かせようとしていた



だが船に続々と乗り込んでくる海賊達


皆が皆、薄汚れた服装をしているが

手には各々が剣や手持ち斧など武器を構えている


その武器が小綺麗なのがかえって不気味さを感じさせた



こちらを眺めニヤニヤと笑い

武器を振り回したりしている


そんな中


特に体格の良い男が一人乗り込んできた


妙な話


威厳というか、貫禄というか

他の海賊同様薄汚れてはいるもののその佇まいが

その男が海賊の長だと表しているようだった


なぜだか右腕部分を厚手のストールの様なものでぐるぐる巻にしていた


(怪我をしているのだろうか?)

ベイカーがそう疑問に思ったのも束の間だった


その男が喋り始めたのだ


「やぁどうも、なにやら歓迎されているようで…」


こちらの面々を見渡し

口の右側を歪ませ笑っている


「今日はなぁ、略奪なんてする予定じゃなかったんだが不思議と航路が逸れてな?気づけば目の前に船がのんびり航海しているじゃないかと」


「…どういうことだ?」


慎重に言葉を選んでいるかのようにゆっくり船長が海賊に問いかける


「ああ、つまり。神の思し召しさ、目の前の船から幸を、金を奪えってなぁ?」


大げさに両手を振り上げて演技でもしているかのような口調で喋る海賊の長


その仕草を合図とでもするかのように傍に控える海賊たちも笑い出す


「…っ!…金品なら好きに奪ってくれて構わない、その代わり船員や乗客には手出しは…」


「…ああ、ああ。そういうことかい、命の為に金を犠牲にするって選択したわけだな?なかなか賢いじゃないか」


「……そうだ。貨物船だから大した金品などはないが……」


「女はいないのか?」


顎を擦りながらこちらを見渡していた海賊の長が遮った


「…見てのとおりだ。貨物船など、客室も満足にない船に女性は乗りたがらんさ」


どうやら

向こうの海賊船には望遠鏡などの設備がなかったのかも知れない


船長の判断で即座に女性を避難させたことも功を奏してか

海賊達が女性の不在を怪しむことはないようだった


「はあ、そりゃぁつまんねぇなぁ…おい!さっさと金品洗いざらい取ってこい」


顎をあげ、周りの海賊に指図をする


「まあ、俺らもわざわざ人殺しして国に目を付けられようとは思ってねぇ、女も居ねえなら貰うもん貰ってさっさと帰らせてもらうぜ…」


その海賊の長の言葉に

船長は安堵したような、そんな空気を後ろにいたベイカーは感じた


(良かった、これなら被害もなく終われそうだ……‥‥!?)


ベイカーも安心しようとしていた

いや、すでに安心していた


だが船室に

金品を奪いに行った海賊達が

一人の女の子を連れて甲板に戻ってきたことで風向きが変わった


(まさかっ!…隠れそびれてた!?)


年の頃はベイカーとそう変わらないぐらいだろうか


そばかすが頬に残る女の子が

海賊に手首を掴まれ

怯えて声も出せずに連れられていた

その目には涙が今にも零れそうに溢れていた


(もしかしてミザリーが話していたのはこの子か…)


ベイカーは奥歯を噛み締めた

この状況が良くないことは明らかだ

だがこの事態は乗り切れるものなのか?


船長や船乗りたちの間にも

再び、いや以前よりも緊張が張り詰めていた



そして当然隠れていた女性、老人の間にも


ミザリーの隠れている側の床倉庫

にも状況は伝わっていた


暗くて気付かなかったが

ミザリーと同じ場所に行商人のお婆さんがいたのだ


そして孫が甲板にいると気づき

慌て震え涙していた


「なんで…あの子が…てっきり向こうの床下かと」


押し殺すようにか細い泣き声でお婆さんが漏らす言葉


ミザリーはその声の持つ空気を良く知っていた


失うかもしれない


そんな恐怖を抱えた声


(出ていく…べきか…)


ミザリーには甲板の全ての状況が図りかねる

その状態で出ていくことが最善なのか、もしくは逆に最悪へと加速する選択なのかと、疑問がミザリーを立ち止まらせていた




「確か……女は居ねえんじゃなかったのか?」


船長に向かっている視線が少し怒気を孕んでいる


「彼女は…まだ子供だ、女性客としてはリストに記されていなかった」


苦しい言い訳ではあるが

そう言うしかなかった


だが


「俺に嘘をついた罪は重いなぁ…誰か一人殺すか?」


「っ…全ての責任は…私が取る。奪うなら私の命だけで…」


歯を食いしばったまま船長が海賊の長を見据える


その背後から


「その子は…解放してあげてよ」


ベイカーが恐る恐る声をかけた




そしてその声は

床倉庫のミザリーにも聞こえていた


『…ビー…』





「なんだ、坊主…俺に指図か?」


船長に向けられていた視線がベイカーの瞳を真っ直ぐ捉える


ベイカーは萎縮しそうになったが

堪えた、折れてはいけないと感じていたからだ


「そうじゃないけど、海賊が子供を連れ歩くメリットはないだろ?」


怯まぬようにと視線は逸らさず言い返したが


その言葉に


海賊の長だけでなく周りの海賊達も笑い出した


「坊主…知らないなら教えてやる。子供だろうがなんだろうが女は売れるんだよ!この娘はさほど良い値はつかんだろうがな」


未だ高笑いを続ける海賊の長

笑われたことは重要ではなかった

女性を、女の子を軽視するその言葉がベイカーには許せなかった


ベイカー自身気付かぬ間に

ベイカーは拳を握り振りかぶりながら海賊の長の元へと走っていた


〈バキッ〉


鈍い音が甲板に響く


だが崩れ落ちたのは

ベイカーのほうだった


長に届くまでもなく

傍らを取り囲む海賊たちの一人に

事も無げに殴り飛ばされ


挙句、足蹴にされた


「グゥッ…」



その光景を見てもやはり海賊達は笑っていた


「おお、おお。無様だなぁ?正義感っていうやつか?俺にもあったっけなぁ?遥か昔になぁ」


顎で合図すると

また別の海賊がベイカーに歩みより

横たわった顔を蹴り飛ばした


「…っ!!」


頬の肉が裂け、血が飛び散る

最初に殴られたときに

当たった箇所が悪かったのか右目は腫れ上がり始めていた


「だがなぁ、守るっていうのは結局力を持つものが選ぶ、ほんの小さな選択肢の一つなんだよ。本当に強いやつは誰かを守ったりしねぇ、そんな選択肢は踏みつけて唾を吐いてやる。奪うのみが力を持つものの最善の選択よ」


ベイカーに近づいた海賊の長は

その胸倉を掴みベイカーを持ち上げた


「どういうことかってぇとな?力を持たないお前みたいなガキは守るって選択肢がそもそもないんだよ、お前にあるのは奪われるか、死ぬかのどちらかなんだよ」


振りかぶり、ベイカーを放り投げた


ベイカーはミザリー達が隠れる床倉庫の近くまで甲板を転がった



身体が痛むのか、動作が遅いが

それでもベイカーは立ち上がろうとしている



「そんなの…違う…」



目から涙が溢れ出しそうになっている

頬から流れる血は顎を伝い床に滴った


恐怖ではない痛みによる震えが

膝を震わせる


それでもベイカーは立ち上がった

海賊の長に向かい


「力がなくても…気持ちで人を守りたいって思うことのどこがいけないんだ…僕は力なんかなくたって、気持ちで大切な人を守った子を知ってる。その子は…報われてはないのかもしれない、でも守ったんだ!気持ちで人を守ったんだ!」


叫びが甲板に響いた



「なにを意味のわかんねぇことを!…だったら力を持たないお前を力のないこの連中の誰が守ってくれるってんだっ!」


怒気を滾らせ

海賊の長がベイカーへと詰め寄る



心のままに言い放ったベイカーの足の震えは止まっていた

でも恐怖も痛みもベイカーを蝕むのを止めない


だがその中にも折れていないものを

その言葉の芯から感じ取った者がいる


床下の倉庫に




〈〈バキャッ!!!〉〉



落雷の落ちた大木が裂けるような

壁が砕けるような音が甲板を揺らした


それと同時に埃が一気に巻上がり

甲板を一瞬白く包んだ



「なっ…なんだっ!!?」


海賊たちも突如上がった埃に目をやられ

視界が一瞬途切れた



だがそれも程なく

海上を巡る風に流され


甲板の空気は元に戻った



だが埃が巻き上がる前と変わっていたのは


一部分の床板が割れ、甲板に散乱していたこと


そして海賊の長と


傷だらけのベイカーの間に


誰かが立っていた


海賊の長がベイカーの正義感に

孕んだ怒気とは



比べるまでもなく激しい


大気さえ炎さえ焼くような怒気を孕んだ



ミザリーが立っていた



『…クソFu〇kよ‥腐れ海賊…!』


翠色の眼光が海賊の長を捉えた


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