4 祈れ! 書け! 未来の名作のために!
「それで、結局のところ、大量のポイントを得るにはどうしたら良いのでしょうか?」
「お主も諦めぬのぅ」
だって、もっとポイントが欲しいんですもの。
「さきほどまで話し合ったことを踏まえて、ワシが言えることは…」
「言えることは…」
「祈ることじゃな」
まさかの神さま頼みの推奨だった。神さまに神さま頼みを勧められてしまった。ここは笑うところだろうか? それとも、実行に移すところかな? 目の前の神さまに祈るのは、むしろ望むところなのだけど。
「別にワシに祈らずとも良いのじゃぞ? ポイントが付きますように、と心の中で誰に言うでもなく祈るのじゃ」
「祈る…」
「小説の神などというのは、ワシの知り合いにおらぬのでな」
神さまの衝撃発言が僕の脳天に直撃した。
マジですか、いらっしゃらないのですか。
「漫画の神というのはおるのじゃが…」
「そっちはいらっしゃるのですか」
「ベレー帽がトレードマークじゃ」
小説家の誰かに『神』の二つ名を付けたら、いつかは小説の神が生まれるのかな?
「…祈っても大量のポイントが付かない場合はどうすれば?」
「その時は、小説を書き続けるのじゃ。一心不乱に書き続けるのじゃ」
きりりとした顔で右手の拳を握る神さま。
神さまの拳が真っ赤に燃える。小説を書けと轟き叫ぶ。
「たとえ書き上げたものが誰かに駄作と呼ばれても、お主が諦めずに書き続ける限り、名作が生まれる可能性はあるのじゃ!」
なんて力強いお言葉! 僕は感動の汗で前が見えません。
「神さま、僕は小説が書きたいです!」
「おぉ、書け書け! 誰かに貶され腐りかけようとも、不死鳥のように蘇り、小説を書き続けるのじゃ!」
感極まって神さまと抱き合っていると、視界が徐々にぼやけてきた。
目覚めの時が近いのかもしれない。
「神さま、どうやらお別れみたいです」
「そうか…。腐らずに頑張るのじゃぞ」
「はい」
視界が完全にぼやけた後、暗闇が全てを覆い尽くした。
僕の思考も飲み込まれていった。
◇◆◇
僕はいつものベッドで目が覚めた。清々しい朝だ。
下半身を見る。テントはいつも以上の元気さだ。
「僕は紳士だ、ロリコンじゃない。僕は紳士だ、ロリコンじゃない…」
よし、自己暗示完了。
それに呼応するように、テントはゆっくり萎んでいった。
「ふぅ…。さて、真面目なことを考えよう」
僕は体を起こしたまま、夢の内容に思いをはせる。
…もう少し頑張って書き続けてみようかな。
書き続ければいつか、僕のこの手から名作が生まれるかもしれない。
そうすればまた、あの金髪幼女神に会えるかもしれない。
「神さま…」
「兄ちゃん朝だよー」
「兄さん起きてくださーい」
部屋の前から妹たちの声が聞こえた。どうやら僕を起こしに来てくれたらしい。
さて、新しい一日だ。今日も頑張って小説を書こう。
僕はベッドから抜け出し、部屋のドアを開けた。
こんな怪しい小話を読んでいただき、ありがとうございました。
「金髪幼女のじゃロリ神」の一言だけでも感想をもらえると、作者は(蔑んだ目をしつつ)喜びます。