4.互いの主張
こちらも遅くなりました!! とりあえず2000字程度ですが、よろしくお願いします!!!
目的の人物はすぐに見つかった。しかしムクはその場所を聴き、いささか疑問を感じる。
(なんであの場所なんだ?)
そう思いながらもムクとその一行は、目的の場所へと急いで向かう。
道中ヒバリの仲間がいたが、誰も気に留めない。むしろ、目的地へとしっかり向かっているか確認しているようであった。
10分ぐらい走り抜け、ムクは目的地に到着した。だがあえて正面には回らず、あえて近くのビルの屋上からその様子を窺う。
眼下に見えるその場所は、二人が6年前に出会った場所。
ムクがまだ純粋で真っ白で、誰にも黒く染め上げられることがなかった時に出会った場所。
ヒバリがムクの勇姿を見て、桃の果実のような甘い恋心を初めて抱いた場所。
そして、この戦いが始まった、本当のはじまりの場所である。
しかしムクはまた違う疑問を頭に浮かべる。
(ヒバリは女の子じゃないのか……?)
それはヒバリの待ち方が明らかに女子としてははしたなく、みっともなかったからだ。
ヒバリは腕と足を組み、ベンチに座っていた。確かに、女の子らしくはないであろう。
そんな全くもってどうでもいいような考えを首を振って払い、もう一度ヒバリを見た。
ヒバリの目線は遠くを眺め、そこにはない何かをその瞳に投影しているようである。何を思い出しているかは、ムクにも何となく分かる。
少し大人び、身長も高く、女性らしさが増した姿にムクは敵とは思っていながらも、つい観察してしまっていた。そんな時――
「ムク。近くにいるんでしょ?」
ヒバリがはっきりと聞こえる声で、ムクの所在を確認する。何故来たと分かるのか? という問いは、ムクに湧かなかった。
いることはばれているため、観念してビルから降りる。うまく階段や窓枠を使い、ヒバリの背後に降り立った。
「俺の情報は、ここに来る途中で見た連中から受け取っていたんだろ?」
「正解。流石に鋭いね」
そうしてヒバリはベンチから腰を上げ、後ろを振り返る。真正面から対峙するのは、ムクが初めてLDM(夢残たちの使う力のこと:Left Dreamer´s Magicの略)を使用した時以来だ。
少しの沈黙が二人の間に流れる。そして、先に口を開いたのはヒバリの方であった。
「私達が初めて会った時のことを覚えている? 6年も前のことだけど」
「あんなに強烈な夢……でいいのか分からんが、早々に忘れることはできんだろう」
ちょっとムッとしながらムクは返した。
「そうだね。忘れることなんてできないよね……」
ムクはヒバリが何を言いたいのか分からなかった。
「ねぇムク。病院でも一回聞いたけど、こんな事やめにしない?」
ヒバリがムクを見る目は、あまりにも辛そうだった。
「今のムクを見ていても、好きでやっているようには思えないの」
そして、その目の奥には心配と悲しみの感情が映り込んでいる。ムクはそれに引き寄せられそうだった。
「だから、これ以上は無駄なことはやめにして……」
しかし、その言葉がムクの心の闇を強く刺激した。
「……無駄じゃない……」
「えっ……?」
「無駄じゃない!!!」
周りの空気が震えるほどに怒気のこもった声を発する。突如として怒ったムクに、ヒバリは困惑する。
「ヒバリ。君は恐らく順風満帆な生活だっただろう? 君にとって現実世界もクリム界も、両方ともに素晴らしく楽しい世界だろう? でもね、俺にとっては違うんだよ……」
徐々にムクの瞳から色が失われていく。その目は1週間前にあった時と同じ、この世のすべてに絶望している目であった。
(しまった! 言葉間違えた……!)
ヒバリは後悔の念に苛まれそうになった。
「俺はこの6年間、どれだけ周りから痛い視線を受けてきたと思う? どんな仕打ちを受けてきたか分かるのか? それを無駄だと……?」
(いけない! 後悔するのは後回し!!)
しかしそれ以上に、ムクがどんな行動を起こすか分からないため、ヒバリはしっかりと体勢を整える。
「それはいくらヒバリでも許さないぞ……!!」
一気にLDMが高まるのが分かる。いよいよこちらへ飛び込んでくるかと思われた。
しかし、急にムクのLDMが落ち着く。ヒバリはますます困惑した。
「? どうしたの? 何で力を抜いたの??」
「……怒りに任せるのは、意味がないと思ってね……」
そして、ムクは胸に手を当て乱れた呼吸を整え、再びヒバリを見つめる。
「なぁヒバリ」
「な、何急に?」
じっと見つめられ、しかも少し男の子らしい声にヒバリは胸がきゅんとする。どれほどムクが好きなのかがよく分かる。
それでも何とか気丈に振る舞い、ヒバリはムクの次の言葉を待った。
「提案があるんだ」
「提……案?」
こくんとムクは頷いた。そして少しヒバリに近づき、両者の手の届く範囲で立ち止まった。
「決闘をしてほしい。決着をつけたいんだ」
ヒバリが見たムクの瞳には、確固たる意志と揺るぎ無い自信が宿っていた。




