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夢から紡ぐ未来への系譜  作者: 馬波良 匠狼
四夢 その代償
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2.神代の行方

 次の日、ヒバリは街中を駆け巡っていた。他のメンバーにはムクの動向だけ探ってもらい、今日は何も連絡をしてこない様に告げている。メールだけを寄越すように指示もした。

 ヒバリは昨日、若干うろ覚えで描いた似顔絵を手にし、道行く人に神代の居場所を尋ねては撃沈するもまた尋ねると繰り返している。暴力事件の付近を徹底して探していたが、中々お目当ての人物は見つからない。

(う~ん、やっぱり似ていないかなぁ)

 一週間以上前だったため、かなり想像で描いていることは否めない。記憶を頼りに何とか完成したものの、これであっているのか怪しい所だ。

 それでも名前と共にこれも出しているのだ、こんなに見つからないのはおかしい話である。

 難しい顔をしていたヒバリだったが、不意に自分を見つめる視線に気が付いた。視線は右後ろから来ている。

「誰!!」

 振り返ると路地の陰から、三人の少年少女たちがヒバリを見つめていた。怪訝な顔でヒバリは彼らを睨む。

 その凄味に負けたのか、三人はヒバリに近づいてきた。左は蛇の頭を持ち全身うろこに覆われた少年、真ん中が虎の顔をしている少年と、右に顔立ちの比較的に整った右目に泣きぼくろを特徴に持つ少女だった。

「何? 私金銭なんて持ってないよ。何が目的なの?」

 苛立ちを隠そうともせず、ぞんざいな物言いで彼らを問いただす。

「いや、あのう……。別にカツアゲしようとかは思ってないので」

 右にいた少女が口を開いた。次にヒバリの持っている神に目を向け、続けて話をする。

「その似顔絵って、神代さんですか?」

 問われたヒバリは無言で頷く。すると三人が一歩後ろに下がった。

「もしかして、逮捕しに来たのですか……?」

「?」

 ヒバリは首を傾げた。なんで逮捕の心配をしているのか気になったが、そういえばと思い出し、優しい声で告げる。

「いいえ。彼に色々と話を聞きたいと思っていたの。別に暴力沙汰については咎める気ないから安心していいよ」

 その言葉を聞き安心した三人は、少しだけヒバリに対し警戒を解いた。

「なら良かったです。神代さん、今動けないから」

「どういうこと?」

 少女の言葉にヒバリは疑念を傾ける。三人は互いに目を合わせ、一つ頷き少女が答える。

「ともかく一緒に来てください。神代さんの所まで案内します」

 どうしようかと迷ったがそれも逡巡でしかなく、ヒバリは三人に付いて行くことにした。


 案内されたのは裏路地の更に裏にある小さな扉の前。彼らは周囲に誰もいないことを確認し、自分達から先に入り、後からヒバリが付いてくる形を取った。

 開いてすぐ階段があり、三人は躊躇いなく降りていく。ヒバリも恐怖した様子を微塵も見せず続いた。一階分を降りた辺りで、三人が木製の脆い扉の前に立つ。その扉を奥へ押しやると布団が見え、誰かが横たわっているのが見えた。一度しか顔を見たことはないが間違い様がない。

「神代?」

 三人は無言で頷いた。そして、経緯を話す。

 神代はムクに殴られて以降、全く目を覚まさないという。殴った箇所が悪かったのか、はたまた何か力を使われたのか、詳細は分からないが意識が戻らないとのことだった。三人は必死に看病を続け、何とか命だけは繋いでいるが危険な状態に変わりはなく、心配を募らせる日々が続いていた。

 そんな折、見張りに出ていた蛇顔がヒバリの動向に気が付いた。慌てて二人を呼びに行き、危険な人物であったら隠れ家を移そうと思っていたようである。結果的に彼らの思い過ごしだったため、その心配はなくなったが。

 そこまで話を聞き、ヒバリは苦虫を噛み潰したような顔をした。

(このままだと、ムクを止める材料が手に入らない……)

 唯一の手掛かりが潰え、他に何も考えが思い浮かばなくなった。この可能性に全てを掛けていたため、ヒバリの疲労は倍増してしまう。

「はぁ、ここまで来たっていうのにね」

 思わず溜息混じりの言葉を吐いた。

 腕を組み明日からどうするか考える。深く深く考える。頭が下にもたげるまで考えた。

 そういえばと思い頭を上げ、何か考えを張り巡らせ始める。そして、思わず両手を打った。三人がビクッと跳ねたが、これ程の大きな音でも神代は起きない。

「あぁ、ごめん。別に脅かすつもりはなかったから安心して。こっちのことだから」

 少し茶目っ気を見せながら謝り、それから思考回路をフルに回転させ、ヒバリはある考えに思い至った。それから三人にお礼を言い、その計画を実行に移すため部屋を後にした。


                 * * *

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