家に連れてきちゃいました
三話目です!やっぱり切りどころわからないですね、ほんとに書いている皆さん尊敬します。
ってことでようやく物語スタートですね
よろしくお願いします
「ルセラの御守石はそこの小僧の中に入れさせてもらった。しばらく下界でおとなしくしてなさい!」
なぜ僕にっっ!!とかいう感想よりもまず、このおっさん誰だよっっ!!ってことからだった。
なんで僕の家のリビングに知らないおっさんの3D映像が映されているのだろう。妙に神々しさだけあるな。
今の状況、家のリビングに僕と神々しいおっさんとそこに正座させられている少女。なんだろう?外からは絶対に見せられないな。てかさっきから人様に見せられない絵面多くない?
「しばらくしたら返してやるから、しっかり反省するんだぞ!」
プツンッと威圧感のある映像が消えるとその場の空気が少し軽くなった、
チッ!!!!
盛大な舌打ちが聞こえるまでは。
「なんなの!すぐにうえに帰してくれればいいのに!あのクソ親父!!」
あれー?最初はあんなに口調悪くないはずだったのにな。お嬢様っぽい見た目なのに出てきてすぐにキャラ崩壊である。言葉遣い悪いなー、クソ親父なんて僕だって使ったことないぞ。
「さて、とりあえず説明してくれない?僕まったく理解できてないんだけど。さっきの人だれ?そもそも君って何者なの?」
さっきからイライラしている少女に尋ねるのは億劫だったが、まず一番の疑問を解決したかった。
どう考えても変だった。さっきの3D映像だってあんなの映画でしか見たことがないような技術だったぞ。それに普通空から落ちてきた人とぶつかって無事なはずがない。パニック状態で疑問に持つのが遅れたが、いろいろ不自然なことが多すぎる。
たぶんここで初めて僕がいることを思い出したのだろう、はっと振り向いてから、
「私はルセラです。さっきのは父になります。人間界で言えばさっきのクソ親父が神様ってことになります。すごいじゃないですか、あなたの家に神様降りてきましたよ、よかったですねー。」
なんだかあきらめたような顔で、最後の方は棒読みだった。どうでもいいけどさっきから口調治ってないですよー。
「はぁーあ、でもこれからどうしましょう?人間界で暮らす当てなんてないのですが。」
どうやら僕の存在よりも今後について悩んでいるらしい。上の空である。
「まぁ仮に君が神の子だとしよう。なんでこんなところにいるの?」
「さっきのクソ親父の言葉聞いてなかったのですか?天界からこちらに落とされてしまったんですよ。今度神になるための認定試験がありまして、その試験を先にちょーっとだけ拝借させてもらおうとしたのですが見つかってしまいまして。いつもならこんなヘマはしないいんですけどね。それでもこんな人間界に落とすなんてひどい話ですよね。」
口調が最初の方に戻ってからなんか別の怖さがあるな、ていうか口調直してるのにクソ親父は変わらないんだ。
それに口調丁寧なのにやってることただのカンニングとかお嬢様台無しだな。そんなの落とされて当たり前だろ!むしろそれで神様になるための試験を通過しようとしてたって、今後の世界大丈夫かな?って心配になるから!
「じゃあさっき言ってた御守石って何なの?聞いたことないんだけど。」
「あー、それはですね、まあ天界へのパスポートみたいなものです。あとはなんかよくわからない力もあるらしいんですけど、まあとりあえずあれがないと天界に戻ることができないんですよね、ってことであなたの中から早く出してくれませんか?そうすればすぐに帰れるのですが」
「いやー、それができればすぐにでもそうしたいんだけどね。無理っぽいね、今までの体と比べてなんも違和感ないっていうか、まずどこに入ってるんだって感じだから」
「やっぱりそうですよね、まああのクソ親父がそんな失敗するわけないですよねぇ。はぁ」
正直もうお互いにいろいろとあきらめかけている。僕にしたらもうこんなに色んなことが一度に起きれば、ルセラが神の子であることも疑いようがないし、ルセラにしてみれば神様に反抗して勝つことはできないのである。
「じゃあとりあえずシャワー借りてよろしいでしょうか?」
二人ともあきらめた雰囲気を醸し出して沈黙をし続けていたのに、急などこに行ったかすらわからないほど方向転換した質問によって空気がぶち壊された。
「な、なぜでしょうか?そ、そんな急に男の家のシャワーを浴びたいなんて、危ないとは思わないのですか?」
うわぁー、急な質問にどうしていいかわからなくてどもりまくったし、口調が移っちゃったじゃん。恥ずかし(-_-;)
「え?あなた私のことそういう目で見てたんですか?」
少しにやにやしたような顔でこっちを見てくる。
うわー!ここに黒歴史爆誕ですね。確かに初めて女子を家にあげてシャワー貸してなんて言われるとは思ってなかったな。まったく想像にないことを言われると対応できないですね。
てかさっきからびっくりするくらい性格悪くないですか、こいつ!?
ついこいつ呼ばわりしちゃったけど、こうなるとまたまたほんとに神様の子供なのかと疑いたくなる。
「それで貸してもらえませんか?空から落ちている間に砂埃がかなりついてしまったので洗い流したいのですが、ダメでしょうか?」
首をかしげながら上目遣いでこっちを見てくる。こんなの誰も断れないだろ。
「か、勝手に使ってくれてかまわないよ。あと言っておくけどほんとにただの親切だからね。」
ダメだ、言ってから分かったけどこれ否定するとさらに気にしてる感じがしちゃうな。
「ふふふ、ありがたく頂戴しますね。あっちでよろしいですか?」
確かにこいつの神経の図太さで言えば神の子だわ。敵う気がしない。
僕は浴室を案内するとリビングに戻ろうとしたけれど、そういえば着替え何も準備してなかったな、妹の、はさすがに怒られるな、しかたない僕自身のジャージでいいか、そう思い、ジャージを用意して浴室の前まで行った。
ピンポーン
急に鳴り響くインターホンの音でルセラに着替えのことを伝えられなかった。まあでもすぐそこに置いておけば気づくだろう。
「はいはーい、どちら様で」
「旅人ー、今日もどうせ妙子さんいないんでしょ、私の料理の練習付き合ってよー。」
そういってずんずんと入ってくる紅羽。なぜわざわざこのタイミングで来るのだろう、この幼馴染はタイミング見計らってるんじゃないだろうか。ちなみに妙子とは僕の母のことである。
ジャーーーーーー
「あれ?これってシャワーの音じゃない?もう妙子さん帰ってるの?でも靴なかったよね?」
なんでそんな情報処理能力高いの?うちのこと理解しすぎじゃない。確かに母さんは靴を脱ぎ散らかすからないとすぐわかるけどさ。
「あ、そうか好美ちゃん帰ってきてるのか。久しぶりじゃん、ちょっと挨拶ー!」
どうやら僕の妹が帰ってきたのだと勘違いしているようだった。ちなみに妹は現在、全寮制の中学に通っているためもちろん家にいるはずがない。
僕は紅羽を止めるために浴室に向かう彼女の姿を追ってしまった。ほんとになんで追ってしまったのだろう。浴室ではルセラがシャワーをあびていて、まあ女子がそれを覗くのはセーフだろう。
だがしかし僕は女子ではないわけであって………。
ガラガラガラ————
「ひっさしぶりー、こ、の、………………だれ?」
=======沈黙===========
ルセラが僕の姿を確認すると大きな大きな悲鳴を上げる。
その瞬間僕の視界は暗転した。