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自称女神と異世界生活  作者: 水野清一
第1章 出逢い
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第7話 試験1

 気の良いおっさんがいた広場から5分程歩いた場所に狩人組合、通称ハンターズギルドは在る。

建物の造りは木造3階建ての巨大な西洋造りの建物だった。


「ここがハンターズギルドか、正にって感じだな」


 その見た目は木造建築の洋館、入り口は簡素な造りながら何人もの人が行ったり来たり出来るように大きく作られ開かれていた。そこからは沢山の人が行き来している。


「さて、中に入ろう」


 二人は大きく開かれた扉から中に入った。

そこで最初に見たのは広い広間の様な空間だった。

右側の壁には大きなボードが在り沢山の紙が貼られそれを眺める人達がいた。

左側にはテーブルとイスが沢山並べられており、何人かはそこで思い思いに雑談したり食事をしている。

そして中央には大きな木製のカウンターが在り、そこには等間隔に人が並んでいた。

恐らくはそこが受付なのだろう。

そうして入り口の横で眺めていると女性が彼らに声を掛けてきた。


「何かお困りですか?」


 女性はそう聞いてきた。

カウンターの所にいる人と同じタイプの服を来ている事からギルドの職員なのだろう。

そう思い女性に聞いてみた。


「ハンターの登録試験を受けに来た」


「登録試験ですね。試験は初めてですか?」


「ああ、ここへも今日来たばかりだしな」


「分かりました。

では、試験の説明をさせて頂きます。

先ず試験を受けるにあたり小銀貨5枚を受験費としてお支払して頂いています。

試験は一人で受けて頂きます。

試験会場はここの裏にあり。

試験にはこちらが用意した魔物と戦って頂きます。

武器の持ち込みは自由、もし必要な場合はお貸しできますので仰って下さい。

試験は直ぐにでも始められますがいかがなさいますか?」


 一樹は職員の女性から説明を受け先ず思った事は(おっさんに騙された)だった。

武器は確かに必要だろう。

しかし、持っていなくても借りられたのだ。

武器を貰ってしまった以上、おっさんの頼みを聞かない訳にはいかなくなってしまった。

一樹だけなら試験に受かった後バックレれば良かった。

だが、恐らくアテナはバックレるなどの行為はしないだろうと考えられる。

そして、アテナがおっさんの頼みを断る事がない以上、一樹に逃げることは出来ない。

故に(おっさんに騙された)である。


「質問だ、試験に魔物を使うと言っていたが俺達の安全性と魔物の種類を教えてくれ」


 試験に使う魔物と安全性の事を聞いた。

魔物の事を事前に聞くことで危険を少しでも減らす事が出来るからだ。

そして、安全性に関しては魔物などと言う存在を相手にするのだ。

命に関わる傷を負った場合に治療をどう行うのか知っていれば、今後何か有ったときの対処法を確保できる。


「はい、戦って頂く魔物はFランクのウルフです。集団行動に特化した魔物で獲物を囲み襲うことを得意とし単独でしたらそこまで強い魔物ではありません。また、安全性に関しては回復薬がありギルド専属の治癒魔法の使い手が居りますので問題ありません。」


(魔法!!この世界には魔法があるのか!)


 この世界には魔法があるその事実に彼は驚いた。

彼の世界には魔法は存在しない。

正確にはそれを使える者がいなくなったからだ。

しかし、ここには魔法が存在している。

もし、魔法に関する知識を元の世界に持ち帰れれば、世界にある沢山の問題の幾つかは解決できる。

そして、使えるのならば使ってみたいそう思っていた。


「それで、試験ですが、直ぐに始めますか?」


「ああ、直ぐに頼む」


(魔法の事は後で調べよう)


 そう心に決めて目の前の試験に気持ちを切り替えた。


「分かりました。それでは、お二人で宜しいですか?」


「ああ」


「では、お一人様小銀貨5枚ですので、お二人で銀貨1枚になります」


「金貨しか持ってないが大丈夫か?」


 そう言って金貨1枚を女性に渡した。


「はい、大丈夫です。直ぐに両替をしてお持ちします」


 彼女は金貨を受け取りカウンターへ向かい同僚に両替を頼んだ。

少しすると両替を終えて、試験費を引いた残りを持って戻ってきた。


「それでは、こちらが試験費を引いたおつり小金貨9枚と銀貨9枚になります」


「確かに」


 彼は広場を離れる前に露天のおっさんにこの世界の通貨を教えてもらっていた。


(おっさんに聞いておいて良かった)


 騙された事に思う所はあるが、それを引いても良い男なのである。


「それでは、こちらです。着いてきてください」


 そう言って彼女は二人を試験場に案内した。

試験場は長方形の広い部屋だった。

その広さは、遺跡で戦ったミノタウロスの部屋程の広さがあった。


「ここが試験場になります。試験ですがどちらが先にお受けになられますか?」


 俺が先にそう言おうとした時、アテナは前に出た。


「私が先に受けます」


 アテナは躊躇い無く進み出た。


「分かりました。それでは、あなたはこちらへ」


 そう言って足元に引いてある線の外へと向かい、一樹をそちらへと促した。

一樹が言う暇もなく彼女が先に受ける事が決定してしまった。

仕方ないそう思い外へと向かった。


「それでは、始めます」


 アテナの試験は開始された。

最初に足元の線が輝きだし外と内を分けた。

次に試験場の中央に魔方陣が浮かび、そこに一匹の狼が現れた。

魔方陣が消えたその場所に立つその狼は人程の大きさもありその目は自らの獲物を目の前にしギラギラと輝いていた。

そして、アテナもまた、自らの敵を目にし今から行われる戦いへとその闘志を高ぶらせ狼を見ていた。

二つの視線は互いの存在を認識し唐突に戦いの火蓋は切って落とされた。


「ふっ」


 そんな短い呼吸と共に盾を正面に構え狼へと走り出した。

狼もアテナに答えるかの様に走り出した。

そして、アテナの間合い少し手前で狼は足に力を込めアテナへと飛び掛かった。

アテナはその攻撃を予測していたのだろう。

盾を使い飛び掛かってきた狼を右へと反らしながらその首を下から切り落とした。

狼はそのまま地面に落ち絶命した。

そして、アテナは振り返り一樹を見て微笑みこちらへと歩き出した。

こうして、アテナの試験は終わった。


「次は俺の番だ」


 勝利したアテナを見て一樹も闘志を静かに燃やした。

お待たせしました。

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