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自称女神と異世界生活  作者: 水野清一
第2章 最初の…
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第27話 緊急事態2

 アリエスが俺の上から重みの原因を退かしてくれた。

そのお陰で動ける様になり俺は起き上がって直ぐに後ろを振り返った。

そこには全身傷だらけで血を流している少女がアリエスに抱えられて居た。

それを見た瞬間頭が真っ白になり掛けたがどうにか持ちこたえ即座に少女の容態を確認する為に近寄った。


「アリエス!彼女は!」


「まだ生きています。しかし、このままでは………」


「回復魔法は!」


「私は最低限の物しか使えません。ヴィルエルジュなら問題無いのですが………」


「アテナ!」


 フィリアの正体は恐らく国王にはバレていると思うが一応隠しておいた方が良いだろうと思いアテナの方で呼んでおいた。

警戒して損はないからな。

呼ばれた本人は自分が呼ばれた自覚は無い様で反応が遅れていた。


「………。すみません私の回復魔法では先にMPが………」


 瞳の色が変わった。

どうやらアテナ本人がフィリアと変わって出て来た様だ。

しかし、回復させるには足りないか!なら!。


「アリエス!2人だったらどうだ!」


「足りません。できても喋れる位にしか………」


 っく!他に方法は………!。


「ラナ!回復薬は!」


「ここまで重症だと………」


 くそ!どうすれば良い!どうすれば!。

回復魔法はフィリアだけだとMPが足りずかといって2人でやっても喋れる程度………回復薬も今の状態じゃ効かない!どうする!どうすれば良い!。

俺は必死に考えた………そして、ある1つの可能性を見つけ出した。


「ラナ!喋れる程度に回復したら効くか!」


「っ!はい!それなら効きます!」


「良し!アテナ!アリエス!2人は回復魔法を!ラナ!彼女が回復したら直ぐに薬を!」


「「「はい!」」」


 そう返事をしてフィリアとアリエスは彼女を挟んで左右から回復魔法を発動しラナはその二人の邪魔にならない様に少し離れた位置に移動した。

何とか治ってくれる事を祈りつつフィリア達に指示を出した。

何故これ程俺は彼女が回復する事に執着してるのかは分からないが何故か彼女を死なせてはならないと俺の中の何かが強く訴えている。

何がそうさせるのかは分からないが彼女を死なせると後で後悔する事になりそうな気がする。

それ以前に助けられるのに助けないのは俺の心情的にも良くない。

そうして暫く見守っていると彼女が目を開けた。


「………こ…こは?………っ!?っく!ぁ!?」


 回復魔法が効いて彼女の意識が戻った。

そして何かを思い出して慌てて直ぐに動こうとして体が痛み声を上げそうなのを我慢していた。

その行動は相当痛い筈だ。

その証拠に顔は苦悶の表情で彩られている。

それこそ叫ばないのが不思議な位だ。

そんな彼女の様子に少し離れていたラナがフィリアの代わりに横に来て彼女に声を掛けた。


「無理しちゃダメ!話はちゃんと聞くから今はこれを飲んで!」


「………こ…こは?」


狩人組合ハンターギルドです………」


 ラナはそう答えながら意識を取り戻した彼女に薬を飲ませ始めた。

その薬を少しずつ彼女は飲み薬の効果が現れ出した。

最初は傷口から血が止まらずに出ていたのだが、ある程度飲み干した所で傷口から出てくる血の量が減り1/3程を飲み干した所で血が出なくなった。

そして、完全に飲み干した所で体に付いていた小さめな傷が完全に消えた。

俺はその過程を見ながらこの世界の回復薬の性能に驚いていた。

しかし、どうして最初の状態では回復薬が効かないのだろうか?これだけの効能が有るのならば効きそうなものだが………。

もしかしたら一定以上の状態だと薬が効かないとかそう言うのが有るのかもしれない。

まぁ、それは後で皆に聞こう……今は彼女に何が起きたのかを聞かなければ………。


「落ち着きましたか?」


「……………はい……」


「それで一体何が?」


「………仲間達と昨日から北の森に調査に出ていたのですが………森にゴブリンの大集落が出来てました」


「「「「「っ!!?」」」」」


「マジか!?」


「規模は!」


「………集落の大きさは砦クラス………最低でもジェネラルが率いていて最悪キングが居るかもとリーダーは言ってました………」


「「「「「ゴブリンキングっ!?」」」」」」


 皆は彼女が言ったキングが居るかもと言われて驚いている。

しかし、俺はこの世界の出身では無い為それがどれ程大変な事なのか分からない。

誰かに聞くにしてもそれを聞ける状態じゃ無い。

そう思ってフィリア達の顔を見てアリエスを見た瞬間彼女と目が合いそして………。


『カズキ様、ゴブリンキングの驚異度がどの位なのか分からないと思いますのでご説明します。まず、ゴブリン1匹の驚異度ですがかなり低いです。それこそ7才の子供がナイフ1本で倒せる程です………』


 アリエスの声が最初の神託の時の様に聞こえて来た。

お陰で声に出して誰かに聞かずにすんだ。

しかし、ゴブリンってそこまで弱いの?そんな風に考えていたのだが。


『ただしこれはゴブリン1匹だけの場合です。この世界ではステータスに表示されているレベルが一定以上になると【進化】をする事が出来る様になります。例えばゴブリンですが、最初の進化は10レベルで行います。その際に進化に必要な条件を満たす事で以下の進化を行います。物理戦闘系スキルを所持した状態でレベル10になる事でゴブリンソルジャーに。攻撃系魔法スキルを所持しレベル10になる事でゴブリンマジシャンに。トラップ系、又は索敵系スキルを所持しレベル10になる事でゴブリンスカウトに。回復魔法系を所持しレベル10になるとゴブリンプリーストへと進化します。これらは人族の間では初級職業ファーストジョブと呼ばれるモノになります。更にその職業ジョブで特定条件を達成しレベルMAXにすると更に進化しソルジャーはリーダーに、マジシャンはソーサラーに、スカウトはシーフに、プリーストはハイプリーストに進化します。そして、問題のキングですが只のゴブリンからこの進化を8度経験してなるものです。そして、魔物はこの進化を経験する事で加速度的に強くなります。只のゴブリン1匹でしたら先程も申し上げた通り子供でも倒せます。しかし、進化を1つしただけで戦闘系スキルを持って無いと戦いにすらならなくなるのです。では、キングはどれ程のモノかと言いますと人族で戦闘系の上位職業サードジョブになっていて尚且つレベルが50を越えた人が5人居て犠牲を出して初めて倒せる魔物です。しかもキングには他のゴブリン種を纏め上げ指揮する能力が有ります。詰まり敵の規模やキングの指揮能力によりますがキングを含めた一団1000匹と仮定し指揮能力を最低としてもそれを倒すには少なくとも上位職業サードジョブになっている人が50人、中級職業セカンドジョブになっている人が150人、初級職業ファーストジョブになっている人が500~1000人は必要になります』


 それを聞いて流石に驚いた。

上位職業サードジョブの戦闘力がどれ程のモノかは分からないが少なくともかなり危険な相手だと言う事は分かった。

それならば皆の驚き様も分かる。

さて、そうなるとそのゴブリンキング達だが俺達に倒す事が出来るだろうか?。

この国の戦力がどれ程のモノか分からないと判断できないが最悪逃げる事も考えなければならない。

少なくともまだやりたい事が有るのだ。

それを全部やりきらないと悔やみきれない。

逃げるにしろ戦うにしても今俺の出来る全力を尽くす。

だがどちらにしても先ずは皆の意見を聞いてからだ。

そう決めて俺は皆に話を聞く事にした。




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