第22話 夢と2度目
本日2話目の更新です。
更新の方ですが色々多忙な為暫くCONTINUEと共に不定期更新にさせて頂きます。
毎月楽しみにして頂いている方には申し訳無いのですが何卒ご理解お願いします。
夢を見ている………。
何故夢だって分かるのか………簡単な理由だ。
今俺が立っているのが一度も俺が経験した事も無い場所だからだ。
遠くから叫び声が聞こえる。
その声は怨嗟に満ちていた。
ある者は助けを求めて。
ある者は恨みを込めて。
ある者は友の名を呼び。
ある者は怒りの雄叫びを上げ。
ある者は誰かの亡骸を抱き抱えて。
そこに慈悲は無く、何も産み出さない……いや、負の感情のみを産み出す。
そんな場所に俺は立っている。
そんな俺の前には1人の少女が立ってこちらを悲しいのかそれとも怒りでなのか分からないが表情を歪めて睨んでいる。
「……………何で!?」
彼女は俺に………いや、夢の人物に問い掛けてきた。
何を聞きたいのかは分からないが1つだけ分かった事がある。
夢の人物と彼女はお互いを知ってる………。
「答えて!何でなの!?」
「………何故か、………それを話してもお前は俺の言った事を信じられるのか?。いや、お前はそれを嘘だと言って絶対に信じ様とはしない………。何故なら、お前は俺を信じて無いんだからな………」
「信じられる訳ないじゃない!だってあなたがあんな事をしたなんて!」
「だったら聞く意味など無い。お前にとってはそれが真実なのだからな………」
夢の人物はそう冷たく言い放って彼女を見ている。
それでも彼女は諦められ無いのか問い掛けてきた。
「真実が聞きたいんじゃない!私は本当にあなたがあんな事をしたのか聞きたいの!?答えてよ!」
問い掛けられた夢の人物は少しの間目を閉じて上を向いてから目を開けて何かを決意したのだろう、再び彼女を見つめてそして言った………。
「事実だ………」
「………ぁ、あぁ、あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
彼女は怒りと悲しみが混ざった顔で叫びそして………。
彼はその刃をその胸で受けた。
「っ!?」
俺は夢から覚めて飛び起きた。
「何だったんだ今の夢………。」
そう呟いて仕舞う程、普通の夢じゃ無かった………。
匂いや雰囲気だけじゃない………。
あの刃が胸に刺さった時の感触………。
その時の痛み………。
それだけじゃ無いあの最後の瞬間彼女の瞳に写っていたのは………。
「おはようござ………一樹さん!?一体!どうしたんですか!お体の具合でも!今回復魔法を!」
フィリアが部屋に入って来るなり慌て出し俺に回復魔法を使って来た。
どうやら相当酷い顔色をしてるようだ。
とにかく安心させなくてわ………。
「……フィリア、……大丈夫だ。……少し夢見が悪かっただけだから」
「本当ですか!?嘘だったら許しませんよ!」
どう許さないのだろうか?少し興味は有るが………。
他愛の無い事を考えていたら少し落ち着いてきた。
「もう、大丈夫だ。心配掛けてすまなかった………」
「いえ、でも………」
「本当に大丈夫だ………」
「はい………分かりました。そこまで言うんでしたら一樹さんを信じます。………ですが辛かったら直ぐに言って下さいね」
少し………いや、凄く嬉しかった。
こんなにも彼女は俺を心配してくれている。
ちょっと残念な娘だけど美少女に心配して貰える事が嬉しくない訳がない。
そもそも親戚以外とこんな会話をしたの初めてだったか?………うん、初めてだ。
桃子さんの所は人口が少なかったから同年代の女の子何て居なかったし一番歳の近いのだって桃子さんの娘………俺の従妹だけだったし。
しかも、俺よりも5つも下だ。
アレを異性としてカウントしても良いのかも微妙だ。
詰まり完全に血の繋がりが無い異性は彼女が初めてだ。
………ヤバイ、意識したら何話して良いのか分からなくなってきた。
「あの………一樹さん?」
「あ、あぁ、大丈夫!ホント!大丈夫だから!?」
何をやってるんだ!俺はぁぁぁぁ!いくら緊張したからって何焦って返事してんだよぉぉぉ!思春期の子供か!?とにかく!落ち着け!俺!?今日は色々と動かなくっちゃいけないんだから!普段道理行けば良いんだ………アレ?普段道理ってどんなんだっけ?と、とにかく何か言わなければ!?。
「えっと!?それよりも!朝早くに俺の部屋に来てどうかしたのかたのか!?」
「………えっと、今日の行動の確認と昨日の怪我の状態確認をと………」
「あ、あぁ!成る程な!身体の方は大丈夫すっかり良くなった!それで、今日の行動だけど取り敢えずリーゼの部屋に行って【解呪】を使ってから買い物だな!?」
一応昨日の時点で今日はこう言う行動を仕様と思っていたからそれを答えた。
リーゼの呪いを解くのは約束してるしてないに関わらず俺としては解呪してやりたい。
一応MPが全快状態なら【解呪】を2回使えるから何とかなるだろうと思う。
「分かりました。ですが、先程も言いましたが無理はしないで下さいね………」
「あぁ、分かった」
別に無理をする気は無い。
無理をした所でどうにかなる訳ではないし。
何にしてもさっきまでの俺の顔色とか態度の所為でフィリアはまだ納得出来て無いみたいだけど………。
何にしても着替えて行動しよう。
「えっ!あの!わ、私先に下に下りてます!?」
そう言ってフィリアは慌てて部屋から出て行ってしまった。
いきなりだった所為で呆けてしまった。
何だったんだ今の………?。
そこまで考えて自分の格好に気が付いた。
「しまった………」
俺はまだ冷静ではなかった様だ。
何にしても過ぎた事を悔やんでも仕方ないとにかく着替えて降りよう。
その後俺は着替えてリーゼの部屋に向かった。
「さて………こんな時どんな顔をすれば良いんだろう」
気分を紛らわす為にネタに走ってみたが正直意味が無かった。
分からないモノは分からない。
人間結局の所知らない事をやれと言われて出来る訳が無いのだ。
何時までもこうして居ても仕方ない。
覚悟を決めて俺はドアをノックして部屋に入って固まった。
「お待ちしていました!」
リーゼが居たそれは別に何ら問題ないここは彼女の部屋何のだから………だがどうして三つ指立てて俺に挨拶してるんだ!?。
「何をしてるんだ………」
思わず問い掛けてしまった。
だってドアを開けたらいきなり土下座で丁寧な挨拶だぜ!?俺の反応間違ってる?。
まあ、理由は大体予想は出来てるんだが………。
「はい!これから私に残された最後の呪いを解いて貰えるんです!こうしてお待ちするのが礼儀だと理解しています!エルフの国ではこれが最高位の敬意の表し方なんですけど………もしかして!カズキさんの国では違うのですか!?だったら今すぐ教えて下さい!直ぐにその姿勢に………はっ!ま、まさか………この姿勢がカズキさんの国では不敬に!?でしたら直ぐに!直ぐに姿勢を正しますから!教えて下さい!?」
「ちょ!?待て!落ち着け!?そもそも!何で土下座をしてるのかを聞きたかっただけで姿勢がどうのとかそう言うのじゃないから!?取り敢えずその姿勢を止めて普通にしてくれ!?」
「はい!止めます!」
早っ!反応早っ!まぁ、土下座されてるよりは良いんだけど!?。
しかし、何かもう毎度の事ながら皆何でこんなにも低姿勢何の?俺別にそこまで偉い人間じゃないよ?あ、ステータス上ではもう人間ですらなかったんだった………。
「と、とにかく今から【解呪】を使って呪いを解くぞ!」
このままではまたグダグダになりそうだったから俺はスキルを使う宣言をしスキルを使った。
「【解呪】っ!」
その声でスキルが発動しリーゼの身体を光が包み込んだ。
「……………」
その光が収まった後には先程と変わらない姿で立つリーゼの姿が有った………。
あぁ………呪い解けなかったか。
この可能性は有ったのだ仕方ない………。
「………すまない。呪いを解けなかった」
「いえ、大丈夫です………」
そうリーゼは仕方ないと言ってくれた。
不甲斐ないな………。
まだ、こちらに来て1日も経って無いのだから出来る出来ない以前の問題何だろうが………それでも。
「………それでは、私はアリエスさん達の所に………」
リーゼがそう言ってアリエス達の所に向かおうと動き出した。
「ビリッ」
………?今何か聞こえた様な?。
先程から俺は不甲斐なさにうつ向いてリーゼを見てなかったが今聞こえた音はリーゼの方から聞こえた様な?。
音の発生源を確かめる為にリーゼを見て俺は固まった………。
今俺の目に写っているモノがあまりにも信じられなかった………。
俺の目には肌色が沢山見えていた。
しかも、見えている色は肌色だけでは無い。
肌色の他には二つのピンク色と少量の金色が見える。
童貞の俺には刺激が強すぎるのだが如何せん男の本能何のだろうか俺の目に写っている存在から目が離せない。
………なぁ、先輩方こんな時俺はどうすれば良いのかな?。
[据え膳食わねば男の恥じ……童貞、捨てちまえよ!]
何か聞こえた気がした………。
って!バカな事考えてる場合じゃない!?。
「リ、リーゼ………その、………えっと」
どもってどうするよ!俺ぇぇぇぇ!?。
ハッキリと伝えなきゃダメだろぉぉぉぉ!?。
とにかく言わないと………。
「エレナリーゼさん呪い解けてます!?」
フィリア!?居たのか!?。
………あ!そう言えば先に下りてますって言ってたっけ。
………すっかり忘れてた。
………ってか、居たの全然気が付かなかった。
しかも、俺の言いたい事を言ってくれたよ!。
本当なら俺が言わなきゃいけないんだけど………まっ!結果オーライだな!。
取り敢えずリーゼの呪いが解けたのは良かった。
さて、次は旅の準備をしないとな………。
その前に………。
「えっと!リーゼ!取り敢えず何か着てくれ!?」
「そうですよ!?服持ってますよね?それと一樹さん取り敢えず部屋を出て下さい!」
「す、すまん!?今出る!!?」
「あら~?」
リーゼは暢気すぎる気がするが何はともあれ良かった!。
エプロンが破れたのは予想外だったけどさ!。