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自称女神と異世界生活  作者: 水野清一
第1章 出逢い
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第2話 女神

「なぜなら私は、女神ですから」


 彼女は胸を張り自信満々にそんな事を言ってきた。


「・・・はぁ?」


 やはり、彼女は残念な人らしい…。


「あぁ、信じていませんね!」


(いきなり自分の事を女神だと言われても信じられるわけがない・・・。

しかも、彼女はストーカーだし・・・。)


「・・・今、何か失礼なこと考えてませんか?」


 ジトっと、した目で見ながらそんな事を言ってきた。


「…いや、…考えてないが」


 と答えつつも


(失礼なことも何も事実だと思うのだが?)


 やはり、そう思ってしまう。

彼女は納得していないのか、まだジト目だ


「…むぅ、まぁ、いいですよ。

そんなに簡単に信じてもらえるとは思ってませんから」


 まだ納得していない顔つきだがそれでも彼女はそう言ってきた。


(こちらとしては真実かどうかも分からない事を証拠もなしに信じろと言われてもな・・・)


 そんな事を考えていたのだが、いつの間にか彼女は真剣な顔つきになり俺の事をじ~っと見ていた。


「それにしても神殿で見かけてから思っていたのですが・・・弱そうですね♪」


 満面の笑顔でいきなり失礼なことを言ってきた。


「自称女神の癖に初対面の相手に満面の笑みでいきなり弱そうとか言ってんじゃねぇ!!!」


 いきなり弱そうとか失礼にも程がある。

これでも、遺跡調査の為に鍛えているのだ。

荒事だってそれなりに有る、強くなければやってられない。


「自称じゃなくて本当に女神だもん!!

それに、弱そうなのは事実なのだし間違ってないもん」


 もん…って、と言うかまた失礼な事を言ってきた。


「だからっ俺の実力も見ないで弱そうとか言ってんじゃねぇ!このっ残念女神!!」


 つい反応して言い返してしまった。


「私、残念じゃないもんっ!女神だもんっ!」


 女神に随分とこだわりがあるようだ。


「そんなに言うんだったら。

お前が本物の女神だって証明してみろよ」


 証明できるのならしてみろというものだ。


「・・・・・今は、・・・ムリです」


 いきなり尻すぼみになって答えた。

思ったとおり証明など出来ないようだ。


「はぁ…やっぱり偽者じゃないか」


 やはり自称女神は偽者の様だ。

本物だったら本物だったで対処やなんかに困るのだか。


「…本当に偽者じゃなくて私は女神なんです信じて下さいっ」


 泣きそうな顔になってそう言ってきた。

少し感情的になり過ぎて言い過ぎてしまった様だ。


「わ、分かったから。泣くな…」


 少し情けないが泣かれるよりましだ。

・・・

 それから少したって、落ち着き出した頃、聞いてみた。


「それで…なんで今は、証明するのがムリなんだ?」


「それは、貴方が神殿で私の力の核を壊してしまったからじゃないですか~…」


「壊した?、神殿?、えっと、どういう事だ?」


 さっきから彼女が言っている神殿が何処なのか考えてみる。

 もしも、彼女が言っている神殿が遺跡の事を言っているのだとすれば。


 そこまで考えて、遺跡調査の事を思い出してみる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 遺跡に到着した彼は遺跡入り口で内部調査の準備と道具の確認をしていた。


「…カメラ良し、映像確認良し、ライト良し、護身用のナイフも大丈夫っと」


 遺跡調査には危険が伴う、外部調査でどれだけ入念に調べても内部に入り自身の目で見なければ分からない罠や通路と言ったものが有るのだ。


 遺跡にはいくつかの種類がある。

当時の人々が称えた偉大な王や偉人の墓所だったり、当時の王や人々が住んでいた住居跡だったり、その他には色々な儀式を行う儀式場や彼らが信仰していた神様を祀ったりする神殿であったりと様々な目的で作られた数多くの遺跡が存在する。


 遺跡には当時の人々が仕掛けた罠が存在しているものが多いい。

 中でも当時の人々が信仰していた神様を祀る神殿や成人の為の儀式を行う場所には、危険な罠が多いい。

 必ずしも罠が存在する遺跡ばかりでは無いのだが油断して命を落とした人たちは多いいのだ。

 そして、外部調査の結果今回の遺跡はそういった危険な罠が多く存在する遺跡の可能性が高いのだ。


「よし、準備完了!早速内部調査に入りますか」


 そう言って立ち上がり遺跡内部へ入って行った。

中に入りまず目についたのは何本も立っている遺跡を支える太い柱だ。


「随分と太い柱だな…

それにかなり細かい模様が細工してあるな…

此処まで細かい細工がしてあるのは珍しいな…

外の調査の時も思ったが中も保存状態がかなり良いな…

まるで最近作られたみたいに…」


 普通こういった遺跡は長い間、雨風に晒される為劣化が激しく保存状態は酷く悪いのだ。

人の手によって管理されてない遺跡は特にその傾向が激しく所々崩れていたりするのは当たり前なのだ。

しかし、この遺跡には外側に木々が覆い茂ってはいたが風化して崩れていたりとそういった劣化が診られなかった。


「誰かが管理しているのか…?

しかし、町で聞いたときはそんな事を誰も言っていなかったが…」


 この遺跡の調査を始める前、近隣の都市や町で情報収集をしていたのだが、誰一人として誰かが管理しているなどとは言っていなかった。

それ所かこの遺跡に近付こうとする者は誰もいないと言っていた。

何故なら彼等にとってこの遺跡は神聖で危険な場所として認識されているのだから。


 彼らの話では昔遺跡を調べに来た者達がいたのだと言う。

暫くは町で食料を買いに来たりしていたらしいのだが、忽然と姿を消したらしい。

暫く姿を見せない事を訝しんだ町の人や政府の人達が心配し見に行ったのだが彼等が寝泊まりしていた場所や遺跡には何も痕跡が無かった。

まるで最初から誰も居なかったかの様に…。

これは、何か有ったのだと思い事態を重く見た政府は直ぐに捜索隊を編成し遺跡に向かわせた。

しかし、探しに行った捜索隊も誰一人として帰って来なかったのだそうだ。

聞いた人達は皆こう言った。

彼等は、遺跡に住まう神の怒りを買ったのだと。

それ以来、誰も遺跡には近付かなくなったのだとか。


 恐らくだが時期的に考えても、遺跡を調べに来た者達とは彼の両親なのではと思われる。

遺跡の調査中に何が起こり何らかの理由で姿を消してしまったのだと考えられる。


「本当に神様が住んでいるのかもなこの遺跡は…」


 あり得ないと思いつつもそう考えてしまうほどこの遺跡の状態は良いのだ。


 そんな事を考えながら遺跡を奥へと進んで行く、すると目の前に現れた物を彼は見て凄く驚いた。

そこには、歴史的な絵画と見比べても遜色のないほど緻密に書かれた壁画があった。

空から一筋の光を浴び、沢山の人々に祈りを捧げられる正に女神と呼ぶに相応しい美女が描かれていた。

更に、絵の下には文字らしきものが書かれていた。


「これは…ルーン文字か?

え~っと…われ、らを、しゅく?違うな…しゅ、ごせ、し、あぁ、守護せし、か」


 彼は行動派である為余り文字の解読は得意ではないのだが父が残した手帳には古代文字の解読した時の事が書かれている為支っ掛え支っ掛えではあるが何とか解読する事ができた。


「ようやく読めた…えっと。

破滅より我等を守護せし女神アテナ此処に描かん、か…女神アテナって言えば確か…?ギリシャ神話で語られる都市の守護女神だったよな…?、と言う事はこの中央に描かれた女性が女神アテナなのか?」


 なぜこの遺跡に?と疑問ではあるのだが…。

もしかするとこの遺跡は女神アテナに所縁のある遺跡なのかもしれない。

伝承や書物に語られる事は無いが神々に所縁のある場所や物は以外と多いのだ。


(この遺跡もその一つなのかもしれないな)


そんな事を考えながら更に遺跡の奥へと進んで行くのだった。



第2話はここまでです。

次は遺跡の中で何が起こったのかを書きたいと思います。

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