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「あら? どうしたの?」

「いや、なに…。ほれ、アレだ」

「おかしい人ね。ナニ、ホレ、アレじゃ分からないわよ」

 けむい顔で沙希代は里山をめた。

「朝、出がけに言ってたろ。ほれ、隣の公園の猫だよ」

「まだ、いたの? その猫」

「お前、猫、嫌いか?」

「なに言ってんのよ、嫌いな訳ないでしょ。猫も犬も大好きです」

「なら、いいじゃないか」

「誰が世話するのよ。私は教室でいないんだから…」

 沙希代は手芸教室で講師をしていたから、里山のあと沙希代も出て、家はからになるのだった。

「猫なんて、そんな世話はかからないさ。多めに餌をやっときゃ、いいじゃないか」

「そりゃ、そうだけど…」

 沙希代は声をゆるめた。里山は敵陣攻略まであと一歩だな…と思った。そう思えたのには、もうひとつの理由があった。里山が冷蔵庫を開けたとき、沙希代は小声で、「しょうのない人ね…」とつぶやきながら遠ざかっていったからである。ある種の黙認だ…と里山には思えたのである。

 里山は上手い具合に入っていたシーフードツナの缶詰を手にして、これだな…と冷蔵庫を閉じた。

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