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 退社時間となり、里山は早々に席を立った。課員達が退社するのとほぼ同時で、課員達はもの珍しそうに里山の姿をチラ見した。いつもなら、課員達がすべて退社してから席を立つ里山だったからである。

「お早いですね…」

 嫌味ではないが、道坂が微妙な顔でたずねた。いつもは、里山が席を立つ前に「じゃあ。お先に…」と、出ていく道坂だったから、調子が狂ったこともある。

「今日は、ちょっと急ぐんでね…。じゃあ!」

 こういうこともあるんだ…と道坂は、茫然ぼうぜんと里山のあとに続いた。

 里山が急いで退社したのには、当然ながら訳がある。朝から仕事がまったく手につかないほど子猫の小次郎のことが気になっていたのだ。里山の脳裡のうりにまず巡ったのは、病院でてもらおう…ということだった。小次郎が人の言葉を話すことなど、まず科学の常識では考えられないことだし、万に一つも有り得ないことなのだ。だとすれば、里山自身の体調不良、取り分け、頭の異常が考えられる。だが、仕事をしていても、これといって発想が異常とも思えなかった。とすれば…と里山は巡った。そして、次に考えたのが、もう一度、事実を確かめるしかない…ということだった。里山がその発想に至った頃、丁度、昼休みは終わっていた。今は、まずい…と里山は落ち着こうとした。退社時間となり、すぐ帰宅すれば確かめられる。なにせ、家は公園の横なんだから…と結論が出ると、里山の仕事はにわかにはかどり始めた。

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