引き金
掲載日:2013/11/19
「……そうか」
俺は、目の前にいる男をじっと睨みつけながらつぶやいた。
この男は、組の金を持ち逃げして、そのまま海外に逃亡したやつだ。
5年間の捜索の末、やっと見つけたのだ。
その金のありかを吐こうとしない。
だからこうやって銃を突きつける羽目になっているわけだ。
「なら、吐くまで痛めつけるだけさ」
無感情に、努めて無感情にしながら、彼の太ももに打ち込む。
悶え苦しむ彼に声をかける。
「今なら、病院に行けば治るが、どうだ、吐く気になったか」
だが、彼はまだ何も言おうとしない。
こんどは反対側の二の腕を撃ち抜く。
ぐわぁと声を上げて、彼はビクンビクンと震える。
「どうだい。こんどは頭を狙うが」
―死んじまえ
俺にははっきりとそう聞こえた。
だから、俺は引き金を引いた。
無感情に、無表情に。
金のありかは結果的に分からずじまいだったが、裏切り者を始末できただけ良しとしよう。
そう考え、俺は彼の部屋を出た。




