仮想世界
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―今日も、部屋から外を見た。
いつ見ても変わらない景色にももう慣れたと思う。
目の前の道路を通る車の排気音。
すぐそばを走っていく子供たちの声。
少しうるさくて、窓を閉めたくなった。
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―…くだらない。
いっそ、壊れてしまえばいいのに。
そう考えながら僕はノートパソコンのキーを叩く。
書くことはいつもの日常と、全く逆の非日常。
僕はこの2つを並行して書く事で暇つぶしをしている。
いつもの日常のほうはまあ普通の日記だ。
今日は何があって、何を見て、何をしたのか。
それを事細かに記すだけ。
非日常のほうは…およそ現実ではあり得ない事を書いている。
こうだったらいいのに、と。
あり得ないと知っていても願わずにはいられない。
「あー…疲れたなぁ」
部屋に響く僕の声。
どんなに大声を出しても反応がないから面白くない。まあ迷惑もかけていないが。
いつかの曲をかけながらベッドに転がり込む。
少ししたら寝てしまおうか。
そう思いながら、携帯端末をいじる。
少し暗くなってきたことに気づいて、外を見る。
何も聞こえない。
見えるのは昔学校だったであろう廃墟だけ。
それらが夕日をうけてきらきらと光っている。
「…そろそろ寝るか」
誰ともなくそう呟いてベッドに入る。
もし明日、目が覚めた時誰かがいてくれたらいい。
またあり得ない事を考えて、毛布にくるまった。
「こんな世界なんか、だいきらいだ」
明日も明後日も続いていくだろう日常。
この中で、僕はいつまで狂わずにいられるだろうか。
ひとりっきりの世界でそんな事を思いながら眠りについた。
全てが消えてしまった世界で僕は生きていく。
初小説。 だいぶ書き直したけどどうなのか