第1話:真夜中の通学路と、透明な少女
夜の通学路、街灯の下でポツンと立ち尽くす小柄な少女。
ランドセルを背負ったまま、七年もの間、誰にも気づかれずにそこにいた彼女に、もし声をかけてしまったら……?
切なくて、少しだけ不思議な数日間の物語。
最後までお付き合いいただければ幸いです!
深夜23時。バイト先へ向かう大学生のトモヤは、駅へと続く通学路を急いでいた。
街灯がまばらに灯る古い住宅街。その曲がり角に、不自然な「影」が立ち尽くしている。
(……なんだ、あの子?)
そこにいたのは、小学校の制服を着た小さな女の子だった。
身長は150センチくらいだろうか。ランドセルを背負い、俯いたまま一歩も動かずに街灯の下に立っている。周囲の人は誰も彼女を見ようとせず、たまに気づいた者は顔を青ざめて走り去っていく。
「……おい。君、こんな時間にどうしたんだ?」
トモヤが声をかけると、少女――ユウナは、信じられないものを見るような顔でトモヤを見つめた。
「……えっ? ……お兄ちゃん、私のこと……見えるの?」
ユウナの声は、震えていた。
「みんな知らんぷりして、私が声をかけても無視するの……。でも、たまにこっちを見る人もいるんだけど、みんな青い顔をして逃げていっちゃうの……。私、……何か悪いことしたのかな?」
「……んなわけないだろ。……よし、とりあえずここじゃ冷える。俺の家に来い。警察とか、お母さんに連絡してやるから」
トモヤは、震える彼女の小さな肩を抱こうとした。
だが、その手はまるで冷たい霧を掴むように、手応えなく彼女の体を通り抜ける。
(……!? なんだ、今のは……)
言いようのない寒気がトモヤを襲う。だが、ユウナの縋るような瞳を見て、彼は恐怖を飲み込んだ。
「……ほら、行くぞ」
触れないなら、隣を歩けばいい。トモヤは無理やり自分を納得させ、彼女をアパートへと導いた。
六畳一間の、男の一人暮らし。
「汚いけど、座ってろ。今、温かいもん淹れてやるから」
トモヤがコンロに火をつけ、振り返った瞬間――。
ソファに座ろうとしたユウナの体が、ふわりと浮き上がった。
重力なんて無視したように、彼女は座面に触れることなく、数センチ浮いたまま静止している。
そして、煌々と輝く蛍光灯の下で、トモヤは見てしまった。
彼女の足元に、「影」が一つも落ちていないことを。
「……お兄ちゃん? どうしたの、変な顔して」
ユウナが小首を傾げて笑う。
その少女の小さな背中の向こう側、壁の模様が――透けて見えていた。
第1話、読んでいただきありがとうございます!
影がなく、体が透けている少女。
彼女がトモヤのアパートについてきてしまったところで幕を閉じましたが……。
彼女は一体、誰なのか。
なぜ七年もの間、あの場所に縛り付けられていたのか。
次回、トモヤがスマホで検索して見つけてしまう**「残酷な真実」**とは――。
すぐに第2話を更新しますので、楽しみにしていてください!
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