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0.その少女が姫になれた理由


「ねぇ、魔法使いさん」


 金色の巻き毛に、スミレ色の瞳。

ウェディングドレスに身を包んだ少女はどこをどう見ても一国の姫だとしか思えない。

 まさか、この前まで灰をかぶってみすぼらしい格好をしていたなど想像もつかないだろう。


 こうして、少女が王子と式を挙げられたのはのは目の前で微笑んでいる魔法使いの助けがあってこそだ。


「結婚おめでとう、シエラ」


「ありがとう、披露宴は少し疲れました!

あと、その名前で呼ぶのは魔法使いさんくらいです」


 はて、と魔法使いは首をかしげた。シエラというのは本当の名前のはず。

…………あの継母と義姉達はシンデレラ(灰かぶり)と嘲っていたようだが。


「私、実は意外とこの渾名、気に入ってるんです。

なんだか可愛いじゃないですか、響きが」


「まあ、シエラが嫌じゃないのなら良いけど」




「………ねぇ、魔法使いさん」


 魔法使い、ヴォトゥミアに話しかける声は穏やかで、だが少し緊張を帯びている。


「どうして私に優しくしてくれるの? どうして、私のことを助けてくれたの?」


「あはは、急にどうしたの?」



「だって貴女、人間のことが嫌いでしょう」


 ヴォトゥミアは真珠色の瞳を少し見開いたあと、

ゆっくりと目を閉じた。そして、手を口元にやり黙り込んでいたが…しばらくすると頷いて


「…それはね、シエラ。 恩のある君の父上に頼まれたからなんだよ」


「えっ、お父様が?」


「確かに私は人間が嫌い。子供の頃、色々あって……

でも君の父上がね……っと、話すと長くなりそう」


 話を切ってしまったヴォトゥミアに、シエラ改めシンデレラは少し不満げだ。


「長くなって良いです! 式も終わりましたし、そこで切るのは無しですよ」



「…………それじゃあ、聞いてほしい」


――私、魔法使いヴォトゥミア・メルリヌスの昔話を。



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