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魔女の世界  作者: 明夢
8/9

魔女と収集家3

クフェア、シルフィード、アルメリア、シルヴァ。

二人の魔女と二体の魔法の子は現在、貴族が優雅な一時を過ごす為に拵えたアンティーク全とした豪華な居間で柔らかく身体に自然とフィットするアンティークソファーに腰を掛け紅茶を嗜んでいた。

アルメリアとシルヴァは飲むことは出来なくもないが好みではないのでクフェアとシルフィードの真似をし飲む仕草をしていた。

二人と二体の対面、傷一つ無いガラス製のアンティークテーブルを挟んだ先には一人用のアンティークソファーに優雅に腰を掛け二人と二体に対し優雅な笑みを浮かべる男がいた。


金髪をオールバックにしきっちりとした貴族衣装をピチピチに着こみカールした金髭を携えた同じ空間に居るだけで熱気を感じさせる筋肉質の暑苦しい中年の男。

クフェア達が今居る屋敷の主人だ。


何故雷獄の檻の中に入ろうとしていたクフェア達が男の屋敷に居り紅茶を嗜んでいるのか、それは時を少し遡る。


雷獄の檻を眼前に控え雨の如く降りしきる雷光の為の準備を行うとしていたクフェア達の目の前に雷獄の檻の中から砂埃をあげながら大きな屋敷が現れたのだ。


「なんだこりゃ」

「なに」


自分達が居る家は植物で出来ており移動も植物の力で動いている。

だが目の前に現れた自分達の居る植物の家より一回りどころか10回りは優に超える巨大な屋敷がどうやって動いているのかそもそもどうやって雷光降りしきる雷獄の檻から傷一つ見当たらない、つまり無傷な状態で抜けてこられたのか疑問が頭の中を巡り首をかしげる。


屋敷はクフェア達の目の前で止まる。

動いている最中は砂埃で見えなかったが止まると何故動いていたのかクフェア達は理解した。

屋敷の底には左右に巨大なキャタピラが付属されておりこれで屋敷を動かしているみたいだ。


ガゴン、ガゴン、ガゴン、ガゴン。


止まっていた屋敷は機械音を出し始めると底に有る左右のキャタピラを収納した。


「おおーなんかすごいな~、よく分からんけど」

原理等は分からないが感嘆な声を漏らすシルフィードと無表情に見詰めるクフェア。

アルメリアとシルヴァはよく分かっていないがシルフィードが褒めている?のが分かったので取り敢えず両手でパチパチと拍手をする。


屋敷の玄関口への石階段が砂漠の大地と設置すると両開きの扉が勢いよく開き貴族衣装を着こんだ中年の男が現れた。


「Bonjour美しきlady達」

男はクフェアとシルフィードに笑みを浮かべ流暢な言葉と共に優雅に一礼する。


「………」

「………」

クフェアとシルフィードの男への第一印象は怪しすぎる変人。

様々な人間を見てきた二人には男の口調、仕草には偽りが感じられない。

これで自分達を騙しているなら大したものだ。

それ以前にこの男は関わって大丈夫なのか無言に成る。

その時クフェアは何かは分からないが小さな違和感を感じた。

お辞儀する男に向けていた視線をほんの僅か横に居るシルフィードに向けるとシルフィードも自分と同じ様に何か感じたのか不思議そうな顔をしていた。

そんな二人にパチパチと拍手を今だにしていたアルメリアもシルヴァもクフェアとシルフィードの顔を見るとお互い顔を見合せ何かを察したのか拍手を止める。


男に再び視線を戻したクフェアは男を見ながら視界の端でまだ幼いながら分かっているのかは分からないが空気を読んだアルメリアとシルフィードにちょっと感心する。


「あーおじさん。ボクらに何か用なの」

何時までも一礼を崩さない男をにシルフィードが声を掛けると男は無駄の無い動きで優雅に頭を上げる。

クフェアもシルフィードも見た目や態度は怪しさ漂う男だが一挙一動は気品を感じさせる姿勢、これだけは評価に値すると思う。

「おおーなんという失態!我輩としたことが目の前の麗しきladyを目の前にし気を早した結果大事な事を忘れてしまうとは!」

大袈裟ではあるが男は本当に自身を恥じており嘆いていた。

「我輩って、一人称我輩って。クフェア、なんかボクこのおじさん面白く感じてきたよ。」

男の態度に慣れ始めたシルフィードには男の態度が道化のような面白さを感じ始めていた。

「やめなさい」

他人に対して無関心なクフェアだが流石にシルフィードの態度は初対面の相手に対して失礼だと感じたのか制止の声を掛ける………と言うのではなくこれ以上おかしな展開にもつにもつれ無駄な時間に付き合うのが嫌なだけなのだ。


「おおーなんとCuteな笑み!太陽(SUNSHINE)を思い浮かべさせる貴女のようなladyにはお似合いだ」

「SUNSHINEって、そんな例えじゃあダメダメだなおじさん」

「なんと!我輩、ladyに対し何かご無礼を、良ければ我輩の至らぬ点を御指摘願え無いでしょうかlady」

「おじさん。いいかい、ボクを例えるならSUNSHINEなんて論外だよ」

「おおーならなんと例えればよろしいのでしょうか」

「ハァ。本当ダメダメだなおじさん。

見て分からないかな、ボクに何が一番相応しいのかを」

「ふむ」

男はシルフィードの言葉にシルフィードの容姿或いは格好にヒントがあると思い頭から爪先まで注意深く見る。

「ふ…む、花、宝石、或いはヴィンテージ、アンティーク…」

男は一度外した手前もう二度と同じ失態は許されないと思考を重ね続ける。

緊張のせいか次第に男の額からは汗が流れ始める。


クフェアは端から見なくても馬鹿らしい二人の問答に呆れ半目で二人を見る。


アルメリアとシルヴァはシルフィードと男の真似をしシルヴァがシルフィード役アルメリアがシルフィードを見る男の真似をしていた。


「いいかいおじさん。

一度しか言わないから良く聞くように、ボクは風、そよ風、烈風、暴風どんな風だろうとボクなんだ!

ボクを例えるなら風に例えるべきなんだ!」

シルフィードへ胸を張って宣言する。

分かるか。

初対面の相手に何を言っているんだ。

とクフェアは胸を張るシルフィードに言いたい気持ちは有るが面倒なので言わない。

それよりそんな男にとって意味不明な宣言では男も理解出来ないだろうと

「なるほど!!」

男は理解した。

正気か、この男は怪しさ漂うどころかそもそもがまともじゃないのかそんな思いに駆られるクフェア。

「確かにlady、貴女はそよ風のような爽やかで優しさを感じる反面烈風のように鋭い知性も感じられ更には暴風のように力強さも感じられる。」

正気か。

男のシルフィードへの賛美に再び思うクフェア。

シルフィードへはふんふん、そうでしょ!そうでしょ!とどや顔である。

そんなシルフィードに男は今度は様々な風に例えシルフィードを賛美の嵐を告げていく。


「あつい」

もう好き勝手にしてくれと投げやったクフェアはただ砂漠の大地の頭上で照らし出す太陽を感じる。

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