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学校探偵少女は、高校生  作者: 神崎 遙人
2/2

02

ピアノが奏でる曲は・・月光か・・

扉を開けて何秒たっただろうか

ピアノの音はやみ窓から映る沈みかけた夕日と静寂だけがこの空間を包んでいた。


「やあ、事件かい?」


少女は、ピアノの方から、こちらを向いてそう言った。


「いや・・あのここは吹奏楽部ですか?」

「吹奏楽部に入部しようと思って入部届出しに来たんですけど・・」


少女はピアノに立てかけてあった杖らしき物を手に取りピアノの前にある応接スペース的な向かい合うソファーに座って言った。


「残念ながらここは吹奏楽部ではないんだワトソン君」

「ここは探偵部、学校での事件やお悩み、捜し物などなど、とまあ部活さ」

「まあかけたまえ」


とりあえず、めんどくさそうな感じだが従っていこう。

ソファーは古めかしい物だった案外ふかふかだった。


「それで・・事件かい?」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」


「いや吹奏楽部に入部しようと思ってピアノの音がしたのでここが部室なのかと思っただけで・・事件とかではないです」


「そうか・・事件じゃないのか」


そう小さな声で言った少女はすこし頬をふくらませて誰が見てもわかるようにふてくされていた。


「私がこの部を作ってから初めてのお客さんだと思ったのに・・」

「せっかく毎日探偵みたいな帽子と杖用意してもう一年がたちました」

「そうですよー探偵がピアノ弾けたらかっこいいなと思って吹奏楽部から使わなくなったピアノもらって練習したらなんか楽しくなって段々弾けるようになっちゃって」

「私吹奏楽とかのほうが向いてたんじゃないとか思って最近鬱になりかけてたのに」

「そんな私の期待を君はなんだい吹奏楽部の入部届をもってくるなんてひどいじゃないか!」


なんだか可愛かった。何だろう小さい子のイヤイヤ期みたいなかわいさを持つ少女だった。


「そう言われましても・・」

「俺は、リア充陽キャになりたくて吹奏楽部に入ろうと思っただけで・・」


「そうか・・残念だ」

「今年入部部員がいなきゃ廃部になるって言うのに初日の見学には誰も来なかったし」

「あーだれか入部してくんないかなー」

「あーこまったなあ」


圧がすごい・・。これ見よがしに勧誘を受けている気がする。しかしリア充陽キャになるには吹奏楽部に入らなくては・・とすこし腕を組み悩んでいる隙に入部届けをとられた。


「あっ俺の入部届!」


「これを返して欲しくばこの部に入部したまえ、ワトソン君」


それってどっちにしろ逃れられないじゃん・・


「というかワトソン君って何ですか?」


「きみはあのかの有名なシャーロックホームズの助手を知らないのかい!」


「知らないですけど・・」


「とりあえず君が入部しないならこの入部届は返さない!乙女の初めてを奪った罰だ!」

「責任をとりたまえ!」


あー何だろうすごく悪いことをした人みたいになってる。


「君が入部してくれるならこの入部届は部長の私が承諾し先生に提出しておこう」

「君が入部してくれないならこれは返さない」


「それってどっちにしろ逃れられないじゃないですか!」


うちの高校はなんだかよくわからないが入部届は入学式の日に一枚しかもらえずしかも特殊な仕様になっているらしいのでコピーもできないらしい。となると

あの入部届を取り返さなければならないのだが・・


探偵部・・はともかく・・年上の先輩と二人きりの部活・・これも案外悪くない。

これも陽キャではないが実はリア充なんじゃないか?


「わかりました先輩!俺はこの部に入部します!」


そういうと目を輝かせて机に両腕をつきぴょんぴょんしたあとゴホンと一息ついてからすこし乱れた帽子に手をかけながら言った。


「そうかいワトソン君!それと私のことは先輩じゃなく先生とよびたまえ」

「それと一人称は僕にしたまえ」


こうして、早くに上がった月明かりに照らされる部屋で、僕の探偵部とへの入部が決定した。


「そうと決まれば歓迎会だ!お茶くらいかないが用意しよう」


暗くなった部屋の電気をつけてティファールで先輩はお湯を沸かし始めた。


「誰か来る・・」


先輩はそうつぶやいた。

部屋の扉が開きすこし冷ややかな風が流れ込む。


「事件なんです!」


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