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20 旅路

 それからしばらくして、王都からの救援隊が到着した。それと同時に、国からの呼び出しでザハーグさんも王都に行くこととなった。

アーチェスは居なかったが、流石に僕をこんなとこに置き去りにするべきではないということとなり、僕も途中の街、「ヴォロ」まで同行することとなったのだ。


だだっ広い草原を馬車は進む。

「ヴォロというのは、どんな街なんですか?」

「よくある地方都市だ。正式な名を、ヴォロ公爵領ヴォローゼ州ヴォロ。正直、あのヴォロ公爵はいけすかん。よくある傲慢な貴族。」

この世界のよくある地方都市と言われても、僕にはそれがわからないのだが。まぁ、中世の城塞都市を想像しておこう。

しかし、そんな領主のいる街に僕を放っておくというのは、いささか不満である。なぜそんなとこに置いていくんだ。

「ただ、そこにはザバーベという人間がいる。こいつが中々の切れ者で、名のしれた魔法使い。坊主には、こいつのもとで修行してもらう。」


「魔法使いってなんですか?」


「あー、そこを説明してなかったな。ついでにジョブについて話しておこう。」


それからザハーグさんは語り始めた。


「まず、冒険者達はその役割を分担するために、基本的に様々なジョブに就いて協力しあっている。そのジョブは、ギルドによって基幹ジョブと上位ジョブの2つに分けられている。だから、ジョブを決めるときはギルドに行って、そのジョブの採用試験を受けなければならない。もっとも、上位ジョブともなれば採用試験どころの話ではないんだが……。まぁ今はそれはいいだろう。」


「で、魔法使いはその上位ジョブの一つだ。魔法を扱うジョブの最上位。上位ジョブになると、その人に異名をつけることが慣例で、ザバーべの場合は、【星落とし】。俺の場合は、【鉄槌の山男】、みたいにな。この異名は、大体その人の成したことや得意分野、性格でギルドが決める。……個人的には、この【鉄槌の山男】は好きじゃない。ギルドのセンスを疑うぜ。」


「たしかに、山男とか書いてて中々失礼だとは思いますけど」


「だろ?これでも俺は街育ちなんだが……。まぁいい。基幹ジョブのことはザバーべに聞け。色々頼んであるから、心配はしなくていい。」


今まで1日中救助活動やらで忙しそうだったのに、いつ頼んでいたのだろう。上位ジョブの方々ともなると、なにか特別な伝達手段でも持っているのだろうか。


「まぁ、なんだ、ヴォロの街に着くまであと数日はかかる。ザバーべのところに着けばいろいろと忙しくなるだろうから、今のところはゆっくり昼飯でも食おう。」


そうしてザハーグさんは、馬車の後ろの方から小さな箱を取り出して、何か唱えたかと思えば、その箱を開いて、中からトーストとバターを取り出した。サクサクという音が、静かな草原にて軽快に響いた。

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