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19 被災地④

朝だ。


もっとも、爽やかなそれではない。実に不快感の残るものだ。それでも、魔力は回復していた。

昨日かけた魔術が切れたのだろうか、どうも身体が重い。


今日分の魔術をかけて、また里の跡に繰り出す。

焦げ臭さは幾分か薄れ、また各所で復興に参加している者たちが見える。


建物の解体をするもの、床に杖を刺しながら歩くことによって遺体などを捜索するもの、道のすすやらを掃いて道路整備をするもの……行っていることは様々だが、皆復興のために一生懸命その作業をこなしていた。


そうだ、すすや灰、瓦礫を回収して回れば、色々作業もはかどるんじゃないか。


そう思い立ち、魔法で木製の箱を作る。その天板を外し、底面に木製の車輪も取り付ける。台車と言えるほど立派ではなく、耐久性も高いわけではないが、運搬能力だけで言えば一人前だ。


次に、また箱を作る。ますのような箱だ。これで灰やらすすやらを拾って、台車に入れる。瓦礫は手掴みでなんとか台車に。


多分、今僕は北入口あたりにいる。回収しつつ南下していって、旧里役場まで行こう。きっと最優先で解体が進んでいるはずだ、さぞかし瓦礫も多いだろう。


掬って、入れて、また進む。ほうきで掃く方が勿論良いが、僕の魔術では作れない。


「まったく、トレーニング程ではないけれど、十分に疲れるな。これ。」


かがんで、くんで、台車に注ぐ。腰が痛くなりそうな作業だ。年取ったらできなくなるのかな。


里役場の跡地のあたりに来た。しかし、思ったより灰は集まっていない。雨や風に飛ばされたりしたのもあるんだろう。

それでもいいんだ、目的は瓦礫の収集なのだから。


「おい、そこのにいちゃん。台車があるんだったら、瓦礫を本部の集積場の方へ運んでくれないか。解体してみれば思った以上に瓦礫が出てな、用意していた台車じゃ運びきれなくなったんだよ。」


読みは当たって、見事仕事を見つけられた。

瓦礫と言っても、ほぼ同じような色。殆どが黒い。たまに原型が残っている物もあるが。


台車に載せながら、僕はその瓦礫の中から一つ石を見つけた。碧く透き通った石。どこまでも見透かされ、またどこまでも底のない深い沼に引き込まれているような感触を覚える石。


こんな素晴らしい石、捨てるには勿体ない。宝石なのかもしれないし。捨てるはずの瓦礫の中から取ったのだ、流石に窃盗にはならないだろう。


ポケットにその石を入れて、一杯に瓦礫を積んで重くなった台車を押す。


集積場ってどこだろうか。そう思いつつ、本部へ向かった。陽はまだ沈んでいなかった。

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