16 被災地①
そして見えたのは、変わり果てた里。
稲穂だった物が風に揺られ、灰を振りまいている。
「うわぁ……。」
僕は、足を止めて、じっとそれらを眺めていた。
「って見てる、早く里に行かないと。」
ひとりごこち。
そして僕は灰の流れに逆らうかのように走った。
人里に入った。何も無い。
確か、生存者と行方不明者の捜索だったか。
リストや人数が無い分、捜索は難航するだろうし、探す当てもない。
道の脇にある田だった物に入り、足元を探す。
灰しかない。
歩き回っていると、爪先に何かがあたった。
灰を掻き分けると、骨の欠片があった。
火葬場、箸で拾う骨とは違う。いや、志半ばで不条理に灰に帰した命と、灰に帰した亡骸を一緒にしたくなかった。
この骨は、生きていたのだ。
水筒の水を飲み干し、まだ熱い命の欠片を入れた。
そして、その骨のあったところのあたりを探し始めた。
欠片をいくつか水筒に入れた時、地が揺れた。
びっくりして周囲を見回してみると、遠くないところで土煙が上がっているのが見えた。
建物が倒壊したのだろうか。
巻き込まれた人がいるかもしれない、行ってみようか。
僕は到着するとすぐに瓦礫をどけはじめた。瓦礫の中から、人の呻きが聞こえたような気がして。
「誰かいるんですか?」
瓦礫の山の中にそう問いかける。
「いる……、助けてくれ……。」
かすかに、そう聞こえた気がした。
魔術をかけているおかげだろうか、いくら瓦礫をどけても疲れてこない。
しかも、心なしか動きが速くなったように感じる。
しばらく瓦礫をどけていると、髪の毛が見えた。
僕はそこに顔があると思い、瓦礫を掻き分けた。
目を瞑った老人が横たわっていた。
死んでいるのかと思ったが、息があった。この状態で寝たのか?と思いながら、周辺の瓦礫をどけて、身体を持ち上げた。
所謂お姫様抱っこというやつだ。もっとも、今抱えているのは老爺だが。
人を抱えたまま活動を続けるのは無理だと思い、救護所本部に戻ろうとしたとき、老爺が目を覚ました。
「おお、やはり助けてくれたか。若者よ、ありがとう。とりあえず、降ろしてくれんかの。」
「は、はい。」
そう言って、僕は老爺を降ろした。
「さて、改めて礼を言うぞ、若者。礼といってはなんじゃが、これをおぬしに授けよう。」
そう言って、老爺は羽織っていたローブの中から杖を取り出した。瓦礫の下敷きだったはずなのに、曲がっても折れてもいない。
「これは儂特製の杖じゃ。名前は『木の杖』。ふっふっふ、良い感じの名前じゃろう?」
いやどうみても某RPGみたいなネーミングじゃないかこれ。しかも最初の方で手に入る強くないやつ。
そんな僕の考えが顔に出ていたのだろうか、老爺は僕に、
「む?何か不満でもあったかの?」
と問うた。
「いえいえ、そんなことはございません。」
嘘です、おおありです。
ネーミングセンスがないだけでなく、しかもそれを自覚してないというのは、そこそこの問題です。
でも勿体無いし頂けるものは頂いておこうか。
「なら良い。この杖は儂が久しぶりに作った杖でな?木の杖という名前ではあるが、木より魔粉と魔剤の方が多い。ちなみにヴァジェストロニエの木が使われておるから強度も馴染みも尋常ではないはずじゃ。魔粉もかなりこだわっておって、オリハルコンを細かく挽いて魔導鬼姫の血につけたものを使っておる。魔剤は魔鉄液、やはりあれが一番癖が無いからな。」
ふむ、説明されても強いのか弱いのかはよくわからないな。
自信満々で話してるあたり、本人からすれば中々の上出来なんだろうけど。
でも、これを貰えば僕が使うことになる。そうなれば、杖についてしっかり知っておかなければならないだろう。
……よし、ドヤ顔に聞くのもちょっと悪い気もするが、聞いてみるか。
「すいません、せっかく教えてもらったんですけど、自分杖のこととかわからなくて。それについても教えて頂きたいのですが……。」
老爺は納得したような仕草を見せて、「なるほど、そういうことか」と呟いた。
「よかろう、装備のあれこれを教えてやろう。転生人の若者よ。」
読んでくださり、有難う御座います。
感想、ブックマーク頂けると有難いです。
また、さぼってしまいました。
やるぞと思っても、どうしても途中で詰まってしまい、そのまま…となってしまうのです。これが私の悪いところ。
夏休みシーズンに書けたのがこれを含めて3話。もう2話くらいは書きたいと思っています。
それでは、これからもよろしくお願いします。
P.S.ちょっとアクセス解析したらいつもの3倍くらいあって震えてます。これが夏休みの力でしょうか……。サボらず投稿すればよかったです(泣)




