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オシッコ問答ー女の立小便ー

作者: 水野知子

昭和にあった、「女の立小便」は、「中腰で後ろに飛ばす」形だった。これは江戸時代からの伝統だが、それが平成令和であっという間に消える。なぜだろう?

登場人物

 水野知子 大学2年 この話の語り手

水野まき 中学1年 知子の従姉妹 駄菓子屋の常連

 駄菓子屋のおじいちゃん 70歳


1.昭和への興味

 私、水野知子は、大学で社会学などを学ん、性教育についてのレポート「昭和の時代の性意識」を書きました。そこで、色々とは話を聞いた、駄菓子屋さんのおじいさんと、お友達になりました。

 今回は、先日のレポートお礼の為に、駄菓子屋さんに行った時の話です。

 駄菓子屋さんでは、ちょうどおじいさんが店番をしていました、そこで、私もお礼を言いました。

「おじいさん、おかげで無事レポートが出せました。価値観の変化を、よく考えていると、先生にも褒められました。」

おじいさんも喜んでくれました。

「それはよかった。今日は、時間があるかな?」

私も時間の余裕があるし、おじいさんの話に興味があったので、正直に言いました。

「今日はゆっくりするつもりできました。また、昭和の話など聞かせてください。」


2.女の立小便

 するとおじいさんは直ぐに話し出しました。

「水野さんは『女の立ち小便』というと、どのような格好だと思いますか。」

私は、自分ではしたことがないので、少し戸惑いました。

「私は、あまり経験ないのですが、普通に男の子のように、立ってオシッコすることでしょう。」

おじいさんは笑って

「やっぱりそうなるね。しかし昭和の時代の『女の立小便』は、前屈みの中腰で、後ろにオシッコを飛ばすか、真下に落とす方法だったよ。しかも、多くの人がしていたよ。某メーカーのサニスタンドという、専用の便器もあったんだ。」

私はこの話は聞いたことがありました。

「そう言えば『昔は下肥として、大小便を分けていたので、女性も立小便していたが、その姿は肥担桶にお尻を突き出す』と言う話を聞いたことがありました。」

「そうなんだ。これは、少なくとも江戸時代から伝わっている。しかも昭和の時代でも、上野駅の男子便所で、着物のお尻をまくって、後ろ向けで立小便している奥さんがいた。当時の東北本線は、上野が終点だったから、東北から来た人が多くは、男子用の小便所と言っても、タイル張りの壁に小便を流す溝のある形だったが、その壁にお尻を向けて放水していた。」

「上野駅でもそのような姿が見えたのですか?」

「そうだよ。町でも、小便所を使う女性が、まだいたのが昭和の30年代かな。当然、農作業の人の多くは、先ほどの立小便をしていた。もっとも、農作業中は、目立たないように、しゃがんでいる人もいたがね。これは、昭和の50年代でもあったね。」


3.現在の『女の立小便』

 そこで、おじいさんが、話を変えてきました。

「さて、水野さんの考える『女の立小便』は、立って前に飛ばす形ですね。」

私は、少し戸惑いましたが、かろうじて答えました。

「そうですね、そんな感じです。シャワーの時などに、立ったままおしっこする、その感覚です。」

 おじいさんは、なだめるような話し方になりました。

「普通は『そんなことしていない』という人が多いですね。しかし、貴女のように『シャワーしながら』という人がだいぶ出てきました。逆に、昭和の時代なら多くあった『中腰で後ろに』という人は、ほとんどいませんね。」

私も話の中心が見えてきました。

「そう言えば『中腰での立小便』は、思い当たらないですね。どうして前向きになったのでしょう?」

おじいさんは、嬉しそうに話しだしました。

「よく気がついたね。この変化には、色々な要因があるが、まずは男女とも外での放尿が少なくなったことだと思う.特に、子供のオシッコは、昭和の時代なら、外で行うのは普通だった。女の子でも小学生低学年ぐらいまでは、道ばたや、遊んでいた広場の隅でしゃがむ子はよくいた。その延長で、大人も人目につかないところで放尿していた。確かに、女性は隠れて行った人が多いが、かなりの人が便所の他で放尿していた.その中では、いわゆる『女の立ち小便』をしている人がかなりいた。しかし、平成になると、このようなトイレ以外でオシッコは、子供でも少なくなってしまった.まして、大人の女性はしなくなったね。」

「だいぶ変わってしまったのですね。」

「そのように『立ち小便』が少なくなったので、それまでの『女の立ち小便』も少なくなってしまった。親やおばあさんがしている姿を見ないから、伝わらなくなっただろうね。」

そこで、おじいさんはもう一つ、思い出したようです。

「そう言えば、昔は女の子、特に小学校低学年や学校に行くまでの子が、立って前に跳ばしていたら、親に注意されたという話がある。」

私は、少し驚きました。

「昔もあったのですか?」

「そうだね、庭のある家では、庭でオシッコは普通だった。しかし、女の子が立って前に跳ばすと、キチンとしゃがむように直された。また、銭湯の洗い場で、男女並んで立小便という図式もあったが、その時も、女子は叱られていたね。」

私は、銭湯でのオシッコは無いと思いました。

「銭湯の洗い場でオシッコはないでしょう。」

「当時は、洗い場の隅で、こっそり行うなら、大目に見ていたよ。大人でも、こっそりしていた人もいるね。今なら、シャワー中のオシッコだよ。」

「それなら、あるのかな?」

「そこで今思いついたが、昭和の時代は、女の子でも、外でオシッコすることがある。その時は、正しい形で得させるように、親が教えていたのだろうね。」

「そこではしゃがむだけですか?」

「中腰の後ろ向けも、知っている親は、子供に教えていたよ。便利だからね。」

この話で、少し見えてきました。

「つまり、昭和なら、外でのオシッコはあるので、正しい姿勢で行う。一方、今ではトイレ以外でのオシッコは、完全に秘密の行為なので、好きな姿勢で行う、ですね。」

おじいさんも頷きました。

「そのとおりだね。」


4.昭和は遠く

 おじいさんは続けて、昭和の話になりました。

「こうした立ち小便がなくなる理由は、色々あると思う。昭和の時代なら、土がむき出しの道や、広場は多くあった。しかし現在のような舗装が行き届くと、水たまりが残るね。また、さらに水洗便所の普及で、皆が清潔になり、匂いに厳しくなったいる。町中に監視カメラのある社会では、男でも立ち小便はできないね。」

「確かに大きく変わっていますね。私達でも、子供のオシッコはキチンとトイレで、と言う躾がされていますね。」

「そうなんだ。もう一つは、家の変化もある.多くの家には風呂があり、シャワーもある。だから、シャワーしながらオシッコという人は増えてきた。その場合には、女性でも立ったままで放尿する人が、多くなった。」

「言われてみるとその通りですね。」

おじいさんは、少し考えて話を変えてきました。

「こうして、外での放尿が少なくなる。そこで、子供の外でのオシッコも少なくなる。そうすると、『子供の遊びとしてのオシッコ』も、なくなっていった。」

「昔は色々とあったのでしょうね。」

「男の子の連れションや、飛ばしっこは、よくあったし、女の子でも一緒にオシッコはあったね。まれに、男女一緒になると、少し性的なモノも含まれるが、多くは遊びとして行っていた。」

「それが今では、性的な禁止事項に?」

「その通り、放尿は、かなり性的な意味が濃くなっている。大人の性的行為としての放尿だね。子供の遊びを、大人が他の意味を加えて取り上げる。これは、子供の遊戯だったパチンコが、大人がやり出し、賭博性が絡み18才未満禁止になったのと、同じ図式だね。」

「子供の遊びを、大人が取り上げて、不純なモノとしてしまう。これ有りますね。」

「もっと言えば、今では『子供のオシッコ写真』などと出したら、児童ポルノで規制される。昭和の時代なら、普通の風景としてしゃがんでいる子供も写っていた。」

 私は、これを聞いて心から思った。

「昭和は遠くなりましたね。」


5.平成の変化

おじいさんは続けます。

「さて、こうした性的な扱いになると、過激な方向に流れるようになるね。更に、ネット環境の充実により、マイナーな好みも、ある程度の人が集まるようになる。そこで、過激な方向で集まるようになる。」

私もこれは同じ考えです。

「それに加えて、ネット社会は、特定の趣向でつながりやすくなりますね。そして過激になる。」

おじいさんは頷いて続けました。

「その通り。そこでは、実用的な物より、マニアックな向きが強くなってくる。そこで、『中腰』から『前向き』が増えてきたように思う。こうしたネットの上の情報で、更に現実に行う人が増えてくる。それが、またネットに上がるから益々増える。このような、雪だるま式のフィードバックが起こっている。」

 私も、ネットの過激な世界には、少し思うことがありました。

「確かにそのような傾向がありますね。ネット上の画像や動画が有れば、それを真似する人が出てくる。その人達の一部が投稿する。こうしてマニアックな人が増えるようになりますね。」

 おじいさんは頷き、少し寂しそうに付け加えました。

「そこで、性的な色が濃くなってくるから、普通の排泄行為ではなくなっていく。まして、子供の遊びではなくなってしまった。」


7.実践編

 ここで、従姉妹のまきが、入ってきました。

「今日は、今日の店番は、おじいさんの日ですか。知子姉さんも一緒ですね。」

 おじいさんは、楽しそうに答えました。

「今日は一人かな、知子さんには、『女の立ち小便』の昔話をしていた。」 

すると、まきがいたずらっぽく笑って

「前ですか、後ろですか?」

と聞いてきました。おじいさんも微笑して

「昭和の時代からの話だから、後ろ向けが中心だよ。」

まきは私の方を見て

「実際に見たことないでしょう!一度見る。」

おじいさんは頷いていました。私は、まきのことは知っていたので、それほど驚きません。

「まきちゃんは、やりそうね。」

するとまきは、おじいさんの右方を向いて

「あそこ貸して貰えます?」

と言いました。おじいさんは笑って

「そう言うだろうと思った。見せてあげて。」

そこで、まきは私を連れて、店の横の狭い路地に連れて行った。少し奥に入って、まきは壁際の扉を開けた。その扉を開けると、丁度道から見えなくなる程度の狭い路地です。その中にあったのものは、壁に取り付けられている小便器でした。まきが説明してくれました。

「この店のトイレは、これだけなの。おばあさんもこれで、オシッコをしているの。」

私は聞いてみた。

「まきちゃんも?」

まきは、首を振って

「私達は、普通は店の隅っこで、しゃがんでいるの。でも、おばあさんに教えて貰って、これが使えるようになっているの。見てくれる。」

と言うと、スカートをまくり、下着を下げて、お尻を便器の方に突き出しました。直ぐに、シューという音ともに、オシッコが便器に吸い込まれていきます。話で聞くだけでなく、実際に見る迫力が違うので

「できるんでだねー!」

とつぶやいた。

 まきは、オシッコを出し終わると、お尻を振って、下着をあげました。そして、付属の手洗いで、手を洗って、にっこりして言いました。

「これ慣れると便利だよ。便座が汚れていても、それを跳ね上げて使えるし、汚い公衆便所などで、人がいないなら、小便器が使えるもの。さて、おじいさんが待っているから、戻りましょう。」


8.見た感想

 戻った私を見て、おじいさんが聞きました。

「実際に見ると、感じが違うだろう。昔は、これを見る機会が多かったね。」

 私も正直に答えました。

「初めて見たので少しびっくりしました。でも、できれば便利そうですね。」

まきが笑いながら言いました。

「少し慣れれば直ぐできるよ。それどころか、意識せずにしていたこともあるよ。便座が汚れて、空気椅子の様に腰を浮かしたオシッコは、結構皆やっている。」

 私も、この話は聞いたことがあった。

「そう言えば、海外で汚いトイレの経験者は、便器に登ってしゃがむか、空気椅子でやると聞いたことがある。それの練習にもなるね。」

 おじいさんがそれで思い出したらしい。

「そう言えば、昭和の時代には、汚い公衆便所が多かったね。そこでは、かなりの女性が、男用の小便所を使っていたね.前屈みでお尻を突き出して、オシッコを小便所に放っていたよ。私が見たのは、踊りの大会で、浴衣姿のおばさん達が、少し汚いが空いている便所に入って、壁とみぞだけの小便所に背中向けて、前屈みになっていた。浴衣の裾を上手くまくって、汚れないようにしていたね。」

 私もこれで解ってきた。

「そう言えば、今のトイレは、結構揃ってしかも綺麗ですね.だから皆が安心して使う。そこで『立ち小便』がいらなくなってきたのですね。」

 おじいさんは少し寂しそうに言った。

「そうなんだね。これが良いのか、悪いのかよくわからない?しかし変わったことは確かだね。」

 私はもう一言余計なことを言ってしまいました。

「昭和の時代には、多くの人の人前でのオシッコ姿があった。これを私たちは、マナーが悪いと言いますが、今のSNSなどに心の汚い部分を曝け出す人が、非難できるのでしょうか?」

昭和の時代は、道ばた等で、立ち小便が多くあった。そこでは女の立ち小便もあった。

これを現在人は、露出過剰というかもしれない、しかしSNSに心の闇をさらけ出す、現在の人たちとどちらが露出過剰だろうか?

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