偽者 10
「これで・・・終わったのよね?」
「ああ。帰ろう。」
ラストはセルティアを負ぶろうとしゃがみこんだ。
「・・・何よ。」
「お前もうヘロヘロだろ?いいから遠慮するな。」
「なっ!あなたに負ぶわれろっていうの?」
恥ずかしいのか、純粋にラストに負ぶわれることが嫌なのか、中々動かないセルティア。
「もういい。」
「ちょっ!」
ラストは片手でセルティアの肩を抱き、もう一方の手を膝裏に通して持ち上げる。
所謂お姫様抱っこだ。
セルティアが腕の中で暴れるが、それを無視してラストは部屋から出る。
部屋の外には来る頃にいたスケルトンやアンデットは見当たらず、あの禍々しい魔力も無くなっていた。
そしてルイス達と入れ違いにならないように、二人は遺跡の前で待つことにした。
座り込む二人。
しばらくの間、二人の間に会話は無かったが、セルティアがおもむろに話し出した。
「その・・・ありがとう。助けてくれて。」
弱々しく話すセルティア。
「気にするな。・・・これが俺の役目だ。」
「やっぱり、あなた私の護衛だったのね。」
「・・・・。」
「もしかして、『黒』?」
「ッ!」
ラストは言い当てられた事に動揺した。
そして、この状況で隠し通せるわけはないとも思い、諦めて話し出す。
「ああ。悪いな、騙すような形になって。」
「それこそ、気にしないでいいわ。おかげで助かったのだし。」
「そうか。なら良かったよ。たぶん、俺は今回のことで、この任務から外される。」
「ッ!」
ラストは満足げに笑って言う。
「俺の任務は気づかれずにセルティアを護衛することだ。結果、護衛も満足に出来ず、セルティアにも俺のことがバレた。」
「けれど、私は無事だったわ。」
「確かに無事ではあったが、任務としては何も果たせていない。知ってるだろ?『モノクローム』にとって、これがどれだけ重要な事なのか。」
「・・・・。」
『モノクローム』はこの国の象徴的存在だ。
そんな組織に属しいている人物が、任務の失敗、それも存在意義と言ってもいい王族の護衛に失敗したなど、国にとっての恥だ。
たとえそれが、表に出ない『黒』であっても変わらない。
「それに、護衛が付いてるのがバレたなら、もう『黒』の必要はない。そもそも護衛は『白』の方が得意だしな。」
「・・・分かったわ。」
セルティアは不満がありそうだったが、理解も出来たためどうにか納得した。
「あっ!いました。二人とも無事です。」
「セルティアさま!ラストさん!」
どうやら迎えも来たようだ。
遠くから教師陣や四班の連中がこちらに向かってくる。
「行こうか。」
「そうね。」
二人は立ち上がり、みんなの元へ向かった。
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