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ナイト・ラスト  作者: 伊藤 おさむ
第一章
25/32

偽者 5

 

 ここはどこなの?


 目を覚ますと、無骨な石の天井が見えた。周りの魔力は気分が悪くなるくらい禍々しさを帯びている。


 こんな所からさっさと逃げ出したいのだが、両手両足縛られ動けそうもない。


 しかも、この拘束具には魔封じの機能をついているようで、魔法を使っての逃亡も難しそうだ。


 状況を確認する為にも周りを見ようと目を動かす。


 すると、知っている背中がなにやら作業に取り掛かっているのか、忙しなく動いていた。


 そうだ、思い出した。確か私は野営見張りをしていて、ライに・・・。


「?!んん!」


 ねえ!冗談だったって、揶揄いたかっただけだって言ってよ。


 嘘なんだよね・・・


「え?!起きちゃったのか?おかしいな。あれだけ睡眠薬飲ませたらあと二時間は寝ていてもおかしくないのに。」


「っ?!」


 やっぱり、セルティアはこういった魔法を使った薬の抵抗力が高いんだねと一人納得している姿に、これが現実で彼の言葉が本当だったということを痛感した。


 してしまった。


「・・・・」


 彼は一人、黙々と作業を続けている。


 あらためて周りを確認したけれど、ここは一体何の施設なのかしら。


 あの壁の石板もライがさっきから触っている装置も見たことないわ。


「あ、口はあると苦しいよね。大人しいみたいだし、外そうか。」


 周りの観察をしていると、ライがそんなことを言いだし、口に着けられていた拘束具が外される。


「・・・・」


「・・・・」


 この広間にカチャカチャとライの触っている装置の音が響く。


「質問していいかしら?」


「何だい?」


「ここは何の施設かしら?見たことない物が沢山あるけれど。」


 ライは作業の片手間に答える。


「セルティアが知らなくても無理ないよ。ここにあるのは全部、古代装置って言われるものだからね。所謂禁忌の儀式とかで使われるものだから、興味を持って調べないと普通知れないよ。」


「なんであなたがそんなものを知ってるの?」


「ん?なんでだったっけ?忘れたけど、やりたいことをやってたらココにたどり着いたって感じかな。・・・おし!これで準備は出来たかな?」


 ライは移動すると制御端末のようなものを触り始めた。


「こんな装置を使って、私に何するつもり?」


「そうだね。それは説明しておくべきかもね。」


 会話には付き合うが、その端末を操作する手は止まる様子もない。


「・・・・」


「簡単に言うよ?まずセルティアの魔力を吸いだして、それを瘴気にまみれた魔力に変換、それをここに設置してる魔石に入れていくんだよ。」


 ライの指さす台座には、紫色のひし形をした魔石があった。


「そんな事して、結局何がしたいのよ?」


「あ、そうか。俺は当たり前に知っていたから言い忘れてたね。この魔石はね、昔とある冒険者たちが遺跡で見つけたペンダントについていた石だよ。そしてこの石はね、魔族の意思の塊、つまりコアなんだ。」


「え?」


 そんな話、聞いたことないわよ。


 もしそんなのがあるなら、当然話題にもあがるはず。


 ・・・・そういえば確か三年前だったかしら、ある村で魔族が現れたって話題になってたわね。


 けれど証言は子供の意見しかなく、魔族の体は吹き飛ばされて無くなっていた。結局、調査はされたが確信的なものは見つからず、そのままその話は聞かなくなった。


 そこで一人が言ってたわね。むかし冒険者だった男に憑りついて暴れたって。


「分かった?そういう事で起動するよ。」


「最後に一つ質問してもいいかしら。」


「ん?なんだい?」


「十年前に出会ったあなたはこんな事を平気でするような人じゃなかった。一体何があったの?」


 初めて手をとめて、考えるような仕草を見せた。


「んー・・・キッカケ、キッカケ。あれ何だっけ。忘れた。まあいいや。質問はこれでおしまいかな。」


 ライが何か操作し始めると、何かが動く駆動音が聞こえ始めた。すると、左右から湾曲したガラスの板が現れる。


 これで閉じ込められたら、もうチャンスが・・・。


「ライ!最後にもう一つだけ―――」


「ダメだよ。質問はさっきのでおしまい。」


 相手にしてもらえないのなら、もう時間稼ぎも難しい。


 状況は明らかに絶望的・・・。


「それと、俺たちが出会ったのは『九年前』だよ。間違えてたセルティアにはお仕置きが必要だね。」


「え?」


 ライが手元の端末を操作すると装置が稼働し始め、体中から魔力が抜けていく。


「っっっ!」


 すると急に体中が熱くなり、全身に激痛が走る。


「あ、言い忘れてたけど、この装置の魔力の吸収方法は特殊で体内の魔力を暴走させて、表にあふれ出てきた魔力を吸収する仕組みだから、魔力量の多いセルティアなんかは特に苦しいと思うけど頑張ってね。ちなみに、こんな仕組みの理由は、この方法で集めた魔力の方が瘴気の魔力への変換効率がいいらしいよ。なんでなんだろうね。やっぱ苦しませるからかな?」


 ライは一人で解説をするが、その声はセルティアには聞こえていない。


 聞こえたとしても反応する余裕はないだろが。


「やっぱ装置が古すぎて魔力を吸収するスピードが遅い。このままセルティアを観察するのもいいけど、やれることは色々やっておこうか。」


 しばらくセルティアをするとライはまた機械いじりを始めた。




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