偽者 4
俺は森の中を全力で進む。
「この方角からして、場所は遺跡か?」
考えてみると野営ポイントを選んだのも、道中の魔獣を全部狩って進んでいこうと提案したのもライだ。
すべてはここを通る旨味を無くして人を寄せ付けず、王女さまを運びやすくする為といったところだろうか。
それに昨日、ルーカスのハイオークを遺跡に誘い出す案を蹴って、遺跡に俺たちが向かうのを嫌った節がある。
遺跡に何かあるのか?何かマズい物があるのなら納得だな。
目的地を遺跡だと断定して、俺はスピードを上げる。
攫われたのが何時なのかは分からないが、俺が寝て起きた間と考えると最悪三時間は経っていると考えよう。
出来るだけ急がないと。
スキルの肉体強化まで使って五分程全力で飛ばして、ようやく遺跡にたどり着いた。
「なんだ?ここの魔力は?」
明らかに普通ではない雰囲気を感じる。
漂う魔力も不吉な物を感じる。
ひとまず、ルイスの鷹を飛ばすか。
「頼んだ。」
「キューー!」
鷹は肩から飛び立ち、空で一度旋回してルイスの元へ向かった。
それを確認して遺跡の入り口へ向かう。
この半壊した遺跡と魔力の醸し出す雰囲気のせいか、昔の記憶がフラッシュバックする。
同時に真っ赤に染まっていく右手。
「ッ・・・だめだ。切り替えないと。」
俺は幻視を振り払うように頬を両手で叩き、気合を入れなおして遺跡の中に踏み入る。
もしものために偽造の指輪も外しておく。これには力に制限を掛ける効果もあるからだ。
中に入るとそこには、スケルトンやアンデットがあちこちにひしめいていた。
「とりあえず、進むしかないな。」
はやる気持ちを抑え、慎重に進んでいく。
アンデットたちも俺を見つけると普通に攻撃をしてきた。
それらをバサバサと切り、倒しながら奥へすすむ。
「スーッ」
「どうした?」
何個も角を曲がりながら進んでいると、真っすぐな道にでた所で蛇が遺跡の壁目掛けて鳴きだした。
「この先に王女さまがいるのか。」
頷く蛇。
普通の壁に見えるが、ここに隠し通路でもあるのだろうか。
「『魔力吸収』」
手を壁に添えてスキルを発動すると、その壁は透過していき、下へ続く階段が現れた。
「うっ?!」
階段が現れたとたん、禍々しい魔力を一層濃く感じた。
俺は深呼吸をして落ち着いて、今まで以上に警戒しながら階段を進む。
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