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ナイト・ラスト  作者: 伊藤 おさむ
第一章
20/32

一年A組 第四班 5

 俺たちは、ひとまず先に野営地に向かうことにした。誘い出すならある程度どんな場所か知っていた方がいいからだ。


 そういう事で前衛が俺、ノア、ルイス、後衛がルーカス、ライ、セルティア王女に分かれて移動していた。


 魔獣の気配がなくなった森をノアとルイスが話しながら進む。


 俺はその会話は聞き流し、後ろにいるセルティア王女を気に掛けていた。


「・・・ラスト?」


「え、あ、どうした?」


 完全に意識の外で、阿保みたいな返事をしてしまった。


「セルティア王女を気にしてるみたいだけど、どうしたの?」


「いや、何でもない。気にするな。」


 やはり、ノアはこういった直感的な感覚が優れてるのかもな。気を付けないと。


「そういえば、今日ずっと気になってたんですけど、どうしてセルティア王女はラストさんにたいしての態度が冷たいんですか?」


「あ、それ僕も気になってた。ラスト、何かした?」


「いや、俺にも身に覚えがなくてな。」


「ほんと?何かキッカケがあるんじゃないの?王女さまは人懐っこい訳じゃないけど、何か理由がないとあんな態度を取る人じゃないよ。変なこととか言ったりしてない?」


「・・・そういえば、班が王女さまと同じだって分かった次の日に仲良くならないとなって思って話しかけたな。」


「なんて言ったんですか?」


 俺はその時を思い出しながら言う。


「たしか、『あなたのことを知りたいので、良かったらこの後お茶でもどうですか?』って言ったかな。」


 それを聞いて引くと同時に納得した顔をする二人。


「それは、王女さまも怒るよ。」


「うん。」


「ちゃんと物腰柔らかく言ったぞ!」


「いや、そこは関係ないよ。」


「むしろ逆効果かも・・・」


 どういうことだ?友達になるにも互いの事を知るのは大事だろ。


 理解できない俺にノアがバッサリと言う。


「それ、傍から見ると完全に王女にナンパしてる人だよ。」


「ッ?!」


 衝撃を受ける俺を二人は呆れた顔で見てくる。


 言われて見れば確かにそうだ。


 王女相手にナンパ。俺、ヤバくね・・・。


「あれ、なら最近感じる妬みの視線やルーカスの態度にも関係あったりする?」



「それもありますね。だって、ナンパした平民が他の貴族差し置いて同じ班になってるんですよ?ナンパしたから同じ班になれたなんて勘違いする人も実際居たみたいですし。」


 あれラストさんが原因だったんですねと納得しだすルイス。


「それで最近王女さまに声かける人が増えたって話も聞いたよ。王女さま随分鬱陶しがってた。」


 じゃあ、王女さまに近づけなくて任務の難易度上げたのは自分じゃねーか!


 いや、王女さまへの関心が上がって監視の目が増えたと考えよう。そうしよう・・・。


「あれ?そういえばさっきラスト、王女様と班が一緒だと分かった次の日っていたよね。でもナンパ事件はそれより・・・」


 ギクッ!


「そういえばルイスに聞きたかったんだが召喚魔法が、うまくなるコツってあるのか?召喚獣との関係もいいようだが。」


 ノアが話している途中でルイスへの質問を挟んでどうにか誤魔化す。・・・誤魔化せたよな?


「あ、はい。小さい頃からよく親に言われてたのは、出来るだけ毎日召喚してあげることですかね。」


「というか、召喚魔法にうまくなるとかあるの?」


 あまり魔法方面には詳しくないのか、ノアが聞く。


「もちろんですよ!単純に数をこなすことで魔法の精度が上がって消費魔力も減りますし、そしたら契約できる召喚獣の数が増えたり、同時召喚なんてことも出来るようになります。」


「へー。じゃあ、さっきみたいに召喚獣との会話も出来るようになるのか?」


「それは私のスキルなので特別な個体以外は難しいですが、召喚獣と仲良くなれば誰でもある程度のコミュニケーションはとれるようになりますよ。・・・・というか、もしかしてラストさんも召喚魔法使えるんですか!」


 ルイスは急にテンションを上げ、前のめりになって聞いてくる。


「あ、ああ。一応」


「ぜひ!ぜひ見せて下さい!」


 この子、召喚獣の話になった途端にぐいぐい来るな。


「いや、あの・・・」


「お願いします!」


 わざわざ頭まで下げてくる始末。どんだけ見たいんだよ。


「ルイスさん、落ち着いて。そろそろ着くよ。」


 俺が困惑していたところにノアが言う。


 耳を澄ますと水のせせらぎがかすかに聞こえる。


「分かった。なら後衛組と合流するか。」


 そして、無事に野営地点の河原まで到着し、俺たちはハイオークと戦う準備を始めた。



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